後期高齢者医療制度

高齢者に無慈悲な医療制度

 市の広報8月号に「後期高齢者医療制度」を解説したチラシが折り込まれました。この制度は75歳以上の高齢者を対象にし、来年4月から実施される予定です。
 きれいなチラシで、これだけ見たのでは今までの制度との違いは分かりません。しかしその実はとんでもない制度です。せっかく参院選で自・公が敗北したのですから、いまからでも世論の力で変えさせていくことが必要です。(5/17「赤旗」主張など)

チラシは「保険料を納めます」だけだが
 制度が始まれば、75歳以上の人は現在加入している国保や健保を脱退し、この保険に組み入れられます。現行制度との大きな違いは、家族に扶養されている人を含め、すべての後期高齢者が保険料の負担を求められ、介護保険料と同様に大多数が年金から「天引き」されることです。保険料は今後都道府県ごとに決められますが、厚生労働省の試算では平均6200円です。介護保険料(平均月4090円)とあわせると月1万円を大きく超えます。
 2年ごとに改定される保険料は、後期高齢者が増えるのに応じて、自動的に引き上げられる仕組みになっています。ちなみに、3年ごとに引き上げられている介護保険料では6年で平均月千円も上がりました。
 チラシではこうしたことについてなんら触れず、「保険料を納めます」と書いてあるだけです。まったく説明になっていません。
 さらに、この制度実施と同時に、保険料の年金からの「天引き」は65〜74歳の前期高齢者の国保にも適用されるようになります。負担させることについてはあくまで貪欲です。
 日本共産党の小池晃参院議員が国会でとりあげたように、大阪市の一人暮らしの高齢者で年金額が1万5千円の場合で試算すると、介護保険料と国保税の合計は月4413円にもなります。年金額の約30パーセント近くが強制的に「天引き」されることになります。
 柳沢厚労相の「天引き額が年金額の2分の1を超えないよう配慮する」との答弁は「2分の1までむしりとる」という冷酷な宣言です。

「保険証とりあげ」まで盛り込む
 従来、75歳以上の高齢者は、障害者や被爆者などと同じく保険料を滞納しても保険証をとりあげてはならない≠ニされてきました。ところが新しい制度では保険料を滞納すれば高齢者でも保険証をとりあげ、短期保険証・資格証明書を発行するようにしたのです。
 昨年12月3日放送のNHKスペシャル「もう医者にかかれない」で、厚労省の国保担当の課長補佐が「(国保制度は)負担した人にだけ給付がある」「一銭も払えない人は対象にしていない」と言い放ちましたが、この冷酷な仕打ちが後期高齢者に適用されるのです。

「包括払い」も検討
 さらに、この制度で厚労省は診療報酬を「包括払い」にしようとしています。病院がどんな検査や治療をしても同じ病気なら保険から支払われる額は同じで、丁寧な対応をすれば病院は損をするしくみです。高齢者にたいする医療差別を制度化し、病院を共犯者に仕立て上げようとするものです。


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