今泉先生のメールに学ぶ4

野生大型動物との接点で

 (前号より)
 もちろん、私はそのように価値あるものと思っているわけではありませんが、『手紙』での公開など、小林さんが役に立つとお考えであれば、何なりと、どうぞお使いください。
 私信のため、長くならないよう文章をはしょってありますので、理解しにくいところがままあると思います(たとえば「カワウソのように絶滅するか、絶滅寸前まで減ると」というのは「カワウソのように一度、絶滅したと考えられ、後に再発見されたり、絶滅寸前まで減ると」というのが正確なところです)が、メールの形で率直というか、小林さんにあまえて書いたもので、それが出ているとしても、読者の皆さんは勘案して読んでくださると信じます。

 いま、岩手にきていまして、雪が降ってきました。ここ一か月ほどカモシカが山の中の私の畑にやってきて、休んでいます(カモシカがやってくるのは冬が中心です)。私はコンフリーの花がすきで、そこらじゅうにうえてあります(大きく育つコンフリーには雑草をおさえる力があります)。カモシカは本来、森の動物で木の葉が主食です(葉食性と呼ばれています)。そこで、水かけ菜やダイコンを食べないのは当然として、コンフリーを好んで食べるのは不思議です。もちろん、今の時期のコンフリーはロゼット状に葉を地面近くに広げて、すでに枯れたも同然ですので、コンフリーには葉を食べられたとしても、被害というほどのこともないでしょう(糞をしていってくれるので、コンフリーにはいいことばかりです)。
 他にカモシカが私の畑で食べるのはほとんどが木の葉で、チャの葉と花、ツバキ、アオキ、マサキなどの葉を食べていきます。そこで、私は鹿留の発電所のカラタチの生け垣から、種子を手に入れてカラタチを育て、その間にチャやツバキの木を植えています。それらの葉は食べませんので、大きく育ち、カモシカがとどかない高さまでのびました。カラタチは10本以上ありますが、今年、200個あまりの実をつけ、私は、来春はこの実から取った種子とツバキの種子を混合栽培しようと楽しみです。トゲがあるために動物が近寄らない植物として、私は他にサンショの生け垣もつくっています。サンショの間に植えたツバキもカモシカなどに食べられないようで、トゲがある植物は大型動物の食害をふせぐのに有効であるのは確かです。

 私はチャの葉と花、ツバキなどが食べられて困るというのではなく、どのようにしたらそれらの木も生き残れるか、共存の形をさがしています。アオキ、マサキなどは、カモシカに立ち寄ってもらうために挿し木で殖やしたものです。じつは、だいぶ以前に、足和田村に伝わるポルトガル伝来のトウモロコシを岩手でつくって、クマにサービスしてしまいました。では、カラタチの生け垣でかこったらクマの訪問を拒否できるか、これもためしてみたいところです。
 またまた長くなりましたが、私の畑にやってくる大型動物がいることをお伝えしました。

今泉 吉晴



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