今泉先生のメールに学ぶ2

人間にとって良い環境とは

 (前号より)
 私が動物学の研究者をめざした1960年代の日本では大型ほ乳動物にであえる自然は日本のほとんどどこにもなく、私は小さな動物、ネズミ、モグラの研究者をめざしました。いまのように殖えることを予測した動物学者は一人もいなかったでしょう。
 カワウソのように絶滅するか、絶滅寸前まで減ると、おおあわてで天然記念物に指定して、その指定すら抜け穴だらけで絶滅に追いやる政治と経済のありようそのものがいま、大型ほ乳動物を殖やしています。農業と林業を見捨てて、自然の持つ人間が育つ上で大切な意味をかえりみず、その結果として本来なら牧場にしたらよい土地をゴルフ場にしています。
 せっかく農地解放で得た農地を見捨て、スギを植えたまま放置して顧みないということが農民の心をどれほど荒廃させたか、私たちは反省すべきですね。イノシシが出没する藪(やぶ)のほとんどは、そのような土地であって、人間が使わないために自然が回復しています。その回復した自然がイノシシをやしなっています。最高の自然とはいえなくてもイノシシやクマをやしなうだけの豊かさがあるのですから、藪やスギの植林地といえども都市の貧弱な自然の比ではないかけがえのない価値ある自然です。
 しかし、本来の警戒心を失って、畑にくりかえし出没し、ついには罠にかかる、ということは、その特定のイノシシがまともに育てる環境がない、ということでもありますね。人間も育てない、動物にとってもさしてよい環境ではない、では、どのような環境であれはいいのか、を考えていくことが必要です。町の人のほとんどが山に入らない現在、野生動物は人間というものが自分たちにとって何を意味するか学ぶ機会が限られます。そのことが無防備な野生動物をつくり、野生動物の価値を理解しない人間をつくっています。
(つづく)

珍しい未舗装道路です

未舗装路画像
 市内で未舗装の道路を見なくなりました。その結果、谷村中心部を一周するウォーキングトレイル事業では特別な素材を使った舗装がされています。ところが未舗装道路がごく身近にありました。右の写真です。これまで整備されなかったのには理由がありますが9世帯が使う生活道路で舗装は切実な願いです。「雨の日には道幅より広い(?)水たまりができます」と関係者は笑いますが…。


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