愛読者になったばかりなのに2

 米原万里の本、4冊のうち3冊を読んだと、先週の「手紙」に書きました。しかし、実際は三冊目の「魔女の1ダース」の「エピローグ(終章)」を残していました。米原万里の本を読んだ方には退屈でしょうが、今週はこの「エピローグ」の「ブダベストの日本人」に考えさせられた話です。

教育とはなにか、どうあるべきか
 財団法人・日本国際協力センターという外務省の外郭団体の東京支所長である平野偉(いさむ)という人が80年代末、市場経済への移行を推進していたハンガリーに「青年海外協力隊」を派遣しようと、ハンガリーの担当責任者と検討したときの話です。  これまで派遣してきた発展途上国と違い、井戸を掘ったり、灌漑施設や橋を建設したり、農業指導は必要ない、スポーツは人口が日本の10分の1以下なのにオリンピックでは倍以上も金メダルを獲得していて「とても、日本がご指導申し上げるような相手ではない」


 日本側が恥じ入っていると、ハンガリー側が助け舟を出した。
 「日本の伝統的な武道は、ハンガリーでも大変人気がありますから、剣道や柔道の先生を派遣してくださると、助かります」
 「ああ、それならお役に立てそうです。ではどんなレベルの先生を派遣いたしましょうか」
 「そうですねぇ。わたしどもは、初心者ですから、大家の先生などに来ていただくのはもったいない。贅沢はもうしません。柔道と剣道の基本をわきまえておられる方なら、どんな方でも大歓迎です。まあ、ついでに、と言っては何ですが、その方が宮本武蔵の『五輪の書』と新渡戸(にとべ)稲造の『武士道』を解説してくださると有り難いのですが…」
 「はあ」
 と溜息をついたまま、何と答えてよいか迷っている平野氏にハンガリー側は、さらに続けた。
 「そうそう、ハンガリー人はもともとアジア系のフン族の末裔ですから、日本文化全体に対する親しみと関心が強いのです。日本語の教師を派遣していただけると、大変人気を呼ぶと思いますよ」
 「どんなレベルの日本語教師がおいりようなんでしょうか」
  と今度は平野氏は恐る恐るたずねる。
 「集まるのは、入門者ばかりですから、これも偉い先生に来ていただくのは恐縮です。まあ、日本語の基本が教えられて、お茶とお花のたしなみがあって、清少納言の『枕草子』を解説してくださる方なら、もうどんな方でもよろしいのです」



 米原さんは、このやり取りを楽しんでいますが、私は平野氏同様、楽しめませんでした。いま日本は教育から競争を排除し、子どもを教育の主人公にすえなければ諸外国から本当に軽蔑される国になるだろうと感じました。
 「赤旗」日曜版には志位委員長の「教育基本法改定どこが問題か」講演の要旨が載っています。胸がすく講演です。ぜひ、日刊「赤旗」、党のホームページで全文をお読みください。


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