「苛斂誅求」「苛政は虎よりも猛し」

 前にも使ったような気がしますが、小泉改革で真っ先に頭に浮かぶ言葉です。

苛斂誅求(かれんちゅうきゅう)=租税などをむごくきびしくとりたてること。苛求

苛政(かせい)は虎よりも猛(たけ)し=住民に重税や徴兵などの負担を強いる苛政。苛酷な政治は人食い虎よりも更に凶暴で、人々を苦しめる。

自殺者7年連続で3万人超
   毎日新聞5月22日付に「減らぬ自殺者」という記事が載りました。「98年から7年連続で3万人超」だそうです。もっとも多かった03年では3万5千人に迫っています。全国では都留市の人口に匹敵する人が自ら命を絶っているのです。男性と女性の比較では男性が女性の2倍以上、2万5千人を超えています。
 インターネットの社会実情データ図録からもう少し数字をあげると、日本は統計を取ることができた99カ国の中で高いほうから10番目、人口10万人あたり24.1人です。日本より多い国は旧ソ連圏の国などで、ソ連が崩壊し一気に資本主義体制に突き進んだ経済的混乱が原因と思われます。地図では20人以上の国は赤く塗られており、日本も当然「赤」で、位置関係から見ても日本は旧ソ連かと思わせるような配置です。笑えることではありませんが、異常な経済という点で共通しているのかもしれません。
 もう一つのデータで分かるのは自殺者数の推移が失業者の増減と一致していることです。折れ線グラフで一目瞭然です。一家の稼ぎの中心となる男性が職を失った絶望と表裏をなしていることの証明です。

  批判精神なくしたメディア
 人口10万人あたり人といえば都留市では8人くらい、1年を通じて3月に二人です。数字が示す現実です。ところが、人が死を覚悟するとはどういうことか、この深刻な問いかけが分からない人がいます。この記事のもとになった厚生省研究班の「指摘」にあきれました。「国民レベルでの、啓発を含めた対策が必要だ」というのです。これに対し、毎日新聞の小見出しは「『働き盛り』襲うストレス」です。まったく悪政に対する怒りが感じられません。
 以前、深夜にNHKテレビがデンマークの政治を取り上げていました。デンマークでも自殺者は少なくないようです。しかし「デンマークでは食っていけなくなって自殺する人はいません」という解説が記憶に残りました。人の精神構造は複雑ですから、社会が発展しても自殺を根絶するのは困難かもしれません。しかし、「食っていけなくなって死を選ぶといという状態は明らかに異常です。
 働き口がなくて絶望、働いても痛みつけられるという一方で空前の利益を上げる大企業と大銀行、これを正すことこそ政治ではないでしょうか。ところが逆に政府はいま、「残業しても手当てを支給しないでよい」という法律を作ろうとしています。極限まで「強きを助け弱きを挫(くじ)く」政治、これを苛政といわなくてなんといえばよいのでしょう。


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