市町村合併をあらためて問う

 県市町村合併推進協議会(北大路信郷会長)が知事に新たな合併構想案を答申しました。案は「早期に実現すべき合併」「情勢に応じて合併を進める」の二つに分類しました。
 都留市・道志村と「早期に合併すべき」とされた西桂町の前田町長や身延町との合併を提案された早川町の辻町長がすぐに反応しました。「住民の理解は得られない」と。

合併した村の住民の怒り
 合併した村の友人に聞いてみました。「合併してどうなりました?」
 友「保育料が上がる。一番高い階層では年間30万円も上がるそうだ」
 私「30万円はないでしょう」
 友「ウソならいいけどね。水道料も基本料金が2倍になるし、介護保険料は新年度の引き上げで1.8倍になるという。村の時代にあった色々な生活支援の補助金もなくなった」
 私「良いことはない?」
 友「良いことか分からないけど議員報酬は村の時より10万円近く上がった」
 「負担は低い方に、サービスは高いほうにあわせる」という約束はまったく反対になっていると、怒りは治まりませんでした。友人はつけくわえました。「この上、増税なんかやられたら村民は国と合併に叩きのめされる」

道志村で始まった村おこし
 一方、合併を拒否した道志村の「その後」が新聞に載りました。
 要約すると、タマゴ博士として有名な動物学者の吉村卓三さんが、合併しない道を選んだ村の将来を心配し道志村に多数のコレクションの寄贈を申し出て、吉村さんが芸能プロダクション「浅井企画」の幹部とも親しかった縁で同社も村おこしに全面的に協力することになり、所属する坂上二郎さんが乗り出したというものです。これを受け入れた道志村は吉村さんと坂上さんを観光大使に任命し、構想を練ってもらうことにしました。ちなみに吉村さんのコレクションは史上最大とされる絶滅した巨鳥「エピオルニス」の卵、葛飾北斎の版画50点、国内最古というセルロイドのキューピー人形など、多岐にわたります。
 道志村は都留市から見たら山の向こうの村ですが、京浜方面から見たら富士五湖方面への観光ルートです。地の利を生かした村おこしの成功を願わずにはいられません。

国にも地方にも無責任な政治
 合併は国の借金を減らすための自治体リストラです。でも、山あいの村は合併して生き残れるでしょうか。自治体は地域の自然や住民の暮らしを守って次代に引き継ぐ責任がありますが、合併で役場がなくなれば村そのものがなくなる危険性があります。困難でも役場を中心に地域の産業とその担い手を育成することこそ本当の「生き残る道」であり、国はそれを援助する責務があるはずです。
 60年代から続いた農業つぶしと食糧自給率の低下、山林の荒廃、さらに合併で農山村を痛めつける政治。その先に大合併で東部市?冗談じゃありません。そうなったらもう自治体ともよべません。祖国愛も郷土愛も感じられない構想に大きな怒りを覚えます。


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