元日号で「桂川に水が流れる」ことを書きました。昨年7月17日(788号)の続きです。しかし、その後「よく分からない」という感想が寄せられましたので、あらためて「そもそも」を書いてみたいと思います。
桂川には大きな恩があります
私たちの子どもの頃は桂川と羽根子の山はもうひとつの「教室」でした。ところが60年代初めから大腸菌の増加で桂川は遊泳禁止になりました。自然の恩恵を十分に受けた世代としては残念なことでした。そこで75年に市議に初当選して決意したのは「桂川の水の浄化をライフワークにしよう、桂川を子どもたちと一緒に遊べる川に戻そう」ということでした。
一本の川になっていない桂川
下水道など排水浄化問題については別の機会にゆずりますが、昔の人は、水は3尺流れればきれいになるといいました。しかし、それは自然の川を流れた場合です。波立つことで空気を取り込み、川底の砂や岸辺の草の間を流れることで浄化されるからです。セメントなどで固められた水路を流れた水は浄化されません。そこで「水路を使い桂川の水を独占的に使っている」東京電力です。
東京電力に関心が向いたもうひとつの理由は、桂川の水は周辺地域の財産ではないかと思ったことからです。桂川に舟を浮かべている写真を見たことがあります。もし、桂川がそんなふうに使えたらこれは市民の暮らしを豊かにするのではないか、と。
発電所の取水口を党の議員団であらためて視察した結果、2つのことが確認できました。
1つは、桂川には8つの発電所がありますが、その取水口の下に水がまったく流れていないということです。都留市内でいえば川茂の堰堤の下が典型です。桂川は東電の取水口によって寸断され、水は昔からの農業用水などを除き、全部、東電の水路を流れているということです。実際に桂川を流れている水は、それぞれの地域で鹿留川、杓子流川、大幡川など支流の水なのです。
もう1つは、その独占的に使う権利が市町村の頭越しに国と東京電力の間で30年という長期の契約で保障されているのです。「これは許せない」と思うと同時に「契約切れが昭和80年?これでは子どもと一緒に遊ぶどころではないぞ」とがっくりきたものでした。
議会が動いたからこそ
その後、一般質問などで取り上げてきましたが、「議会が直接対応した方がいい」と同僚議員の賛同を得て桂川流水利用特別委員会を設置したのが02年の9月議会でした。
特別委員会は早川町の辻一幸町長や東京電力から水力発電の歴史や現状について見解を聞き、現場視察などを重ねました。そして30年目に当たる昨年末、東京電力から放水量と取水契約期間短縮が明らかにされたのです。
放水量はわずか(元日号)ですが、少しでも水が流れると川の景観は大きく変わります。放水のための施設の工事は新年に持ち越されましたが、東電は「今年秋ごろには実現する」といっています。