まさに「小泉改革」総点検の国会

 「小泉改革総仕上げの国会のはずが、次々と問題が浮上、与野党対決の国会に」「小泉政権がほころび始めた?」「潮目変わり守勢に」。新聞の論調が変わってきています。

「小泉改革」のあだ花が次々
 「防衛施設庁官製談合で審議官ら3人逮捕」が1月最後の大ニュースでしたが、同じ日に農水大臣が米国産牛の輸入再開前に現地調査をおこなうとしていた閣議決定の方針を守らず再開決定後に調査したことが明らかになり、国会が紛糾しました。
 堀江貴文ライブドア社長の逮捕は各方面に大きな衝撃を与えました。その前が耐震偽装事件でした。この2つの事件を生み出した共通の前提が「規制緩和」でした。
 「お金で人の心を買える」とはすごい感覚ですが、これは「改革の申し子」と衆院選で推薦した小泉政権中枢の政治家と共通するのではないでしょうか。そして「金儲けのためにはあらゆる手段が許される」という考え方は、市場原理にまかせれば世の中はうまくいくという「新自由主義」の是とするところでしょう。「勝ち組・負け組」を生む格差拡大社会は弱い者いじめを承認する社会です。殺伐とした社会になるのは当然です。こういう結果と直結する「改革」とは何でしょう。
 その象徴としてのライブドア事件について経済評論間の内橋克人さんが語っています(読売1/27)。

「一人勝ち社会」許すな=内橋さん
 内橋さんは事件の背後にどのような世界の潮流があるか、「根源的な構造」を問います。
 「現在、時代は三つの『熱狂』に翻弄されている。第一に米国発の単一の価値観を世界経済の標準とする『世界市場化(グローバル化)』、第二に情報技術(IT)と結びついた超巨大マネーの国家を超える力、そして第三にマネーの動きをより自由にすべきだとする新自由主義的な考え方だ」「市場に任せさえすればうまくいく、という市場競争至上主義が『改革と』と称され、多くの国に押し寄せた。これを双手をあげて礼賛したのが日本だ」
 堀江容疑者を評価する声に対していいます。「間違っている。彼は旧体制と手を組もうとした。日本経団連への入会を熱望し、衆院選出馬で小泉政権のお墨付きも得ようとした。彼が破壊しようとしたのは市場経済の節度だ。真に破壊すべきなのは、政官財の癒着構造などだ。一攫千金を狙うような若者に、挑戦者を名乗る資格はない」 明快です。
 そして「規制緩和だけを進め、必要な規制まで悪として退けた結果、不正が見逃された」
 事件を教訓に日本経済のめざすべき方向を示します。「マネーや市場が主人でなく人間が主体の社会でなければならない。連帯、参加、協同を原理とする『共生経済』が今、中南米経済の再生の支柱になっている」と。

政治の役割問い直すチャンス
 安全より金儲け優先の鉄道事故、豪雪被害を深刻化させた農業・農村切捨てなど、「小泉改革」にとどまらない戦後政治を検証する材料も一気に浮上しています。政治とはなにか、真の改革へ国民的検討の好機です。


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