学ぶ姿勢を示された小石沢光男先生

10月23日、去る4月3日に亡くなられた 小石沢光男先生を偲ぶ会が開かれました。
 先生が会長を務めてこられた「都留市の福祉と医療をよくする会」が準備をし、当日は先生にゆかりのある70余名の方々が各界から集い、思い出を語り合いました。指名されましたので私も忘れられないできごとを報告させていただきました。


 先生は言うまでもなくお医者さんでした。この集いの通知をいただいてから、私は山本周五郎の「赤ひげ診療譚」を読み、あらためて先生が現代の赤ひげ、新出去定(にいできょじょう)だと痛感しました。また先生は、歌を愛しました。写真が好きでした。しかし、私にとっての先生は「学ぶ人」でした。

驚かされた先生の一言
 ある日、先生と二人きりになる機会がありました。体調を崩されていた先生は、私に「まだ人には言ってませんが、肝臓のガンなんですよ」と打ち明けられたのです。なんと答えてよいのか言葉の見つからない私に、先生がつないだ言葉は意外なものでした。
「この機会に(療養の機会という意味だったでしょうか)不破さんの「『資本論』全三部を読む」を勉強しようと思っています」と仰ったのです。
 今日、持参したのですが、この本は日本共産党の不破哲三議長が「資本論」について一年間講義したものを七冊にまとめたものです。私は先生の病気のことを考え、読みきれるだろうかという思いが頭をよぎりました。しかし、先生のお顔を見て、そう考えてはいけないと知りました。   
 言うまでもなく「資本論」はカール・マルクスの著書です。一般的には共産党の原典と言われていますが、それだけではなく、現代という時代を分析し「資本主義社会」と名づけた本であり、社会のしくみ、歴史のすじみちを解き明かしたという点で比類のない本です。しかし、「資本論」は全3部、日本では4分冊(新書版では13冊)で、そう簡単に読めるものではありません。私も若い頃最初の一巻だけ読んで挫折した経験を持っています。不破さんの本はこの「資本論」を読む手助けになるものです。
 小石沢先生のこの言葉に、大変打たれまして、私も先生に負けずに学ぼうと決意し、この本を購入しました。しかし、ごらんのようにまだ注文表がはさまっている状態で1ページも読んでいません。先生がどこまで読まれたか、確認するすべもありませんが、「私もまだ読みきっていないんだよ」と言ってくれたら救われます。
 このときのことは、「義孝さん、油断しちゃいけない、最後まで勉強だよ」、先生の深い教えの言葉だったと今でも心に残っています。そんな先生が、長年、日本共産党都留市後援会の会長を務めて下さったことに感謝すると共に、大きな誇りとしているところです。
先生、本当にありがとうございました。


小石沢先生の存在の大きさを共通の思いにし、ご遺志を継ごうと語りあった偲ぶ会でした。合掌。


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