小泉改革のめざすアメリカの現実

 小泉改革の本丸=郵政民営化論が論戦を通じ笑いの対象になりかかっています。郵政民営化が実現するとなんでもよくなると、こじつけの宣伝をしているからです。

郵政だけではすまなくなって
 インターネットで「自民党の政権公約2005」をみてみました。「改革を止めるな」「郵政民営化なくして、小さな政府なし」「年金も、景気も、『小さな政府』から」と大見出し。そして、真ん中に「改革の本丸郵政民営化で官のリストラを実現」とあり、外に向かってその効能が色々書いてあります。
 官のスリム化により財政を再建→少子高齢化の下でも年金・医療など社会保障の充実を可能に
 官製市場を開放して民間経済に活力を→雇用と消費を刺激して民間主導の景気回復を
 ※国にしかできない仕事に国の力を集中→こどもたちの世代にツケを残さず安心で安全な社会を維持 ※→「地方にできることは地方に」三位一体の改革で地方経済の建て直し ※→「この国のかたち」をつくる戦略的外交の推進 安全保障の確立

みんな郵便局が悪いのよ?
 どれも「風が吹けば桶屋が儲かる」式の屁理屈ですが、郵政を民営化すれば雇用がよくなる、年金がよくなる、地方もよくなる、外交までよくなるといいたいらしいのです。
 志位委員長は「これ、裏を返せば『みんな郵便局が悪いんだ』となる。年金を悪くしたのも郵便局、景気を悪くしているのも郵便局、外交が悪くなったのも郵便局、これはぜんぜん成り立たない。つまり、自分のやってきた政治を全部郵便局のせいにするという、こういうムチャクチャな話」と批判しました。
 小泉首相の任期5年のうち4年が過ぎて、「改革」総仕上げの段階に入りました。それが自分の後ろ盾となっている財界の要求にこたえる郵政民営化です。そして、もっと大きな狙いは日本社会のしくみをアメリカと同じようにつくりかえることです。

救いのない差別社会
 そのモデルとする本家、「富めるアメリカ」で悲惨な現実が浮き彫りになりました。ハリケーン「カトリーナ」の被害です。まだ被害の全容は分かりませんが、数千人(1万人をこえる?)の犠牲者が出たとみられています。
 被害の中心地ルイジアナ州ニューオーリンズは地盤沈下がはなはだしく、ハリケーン接近を前に避難命令が出されていました。しかし、ニューオーリンズの住民46万人のうち3分の2は貧しい黒人で、避難命令が出ても逃げる車を持っていませんでした。一方で保険に入っていた白人は「家が新しくなるだけ」といわれています。災害は人を差別します。
 貧困層が全米平均の2倍というこの地域からイラクに出兵している青年が多いと聞くと、これが小泉改革=新自由主義の行き着くところと実感します。
 青年から希望を奪い、弱肉強食を極限まで進める小泉改革、総仕上げをさせる必要はありません。11日を小泉改革ストップの日にしましょう。たしかな野党の前進で。


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