大学の授業料を考える
既報のように、6月議会の一般質問で大学への繰出し金について取り上げました。そのさい、大学連絡協議会の開催を求めました。
授業料、来年度も据え置き
8月2日に開かれた大学連絡協議会では@社会学科再編拡充について、A授業料についての二点が議題になりました。
このなかで、今年度に続き来年度も授業料を据え置くことが明らかにされました。「一部の公立大学が来年度授業料の改定を見送り、受験生確保の一方策としてアピールしていくという情報もあり」、現在の授業料で大学運営が可能なため、と説明されました。
私は6月議会開会日に「大学会計が黒字というが論議の中に学生が出てこない、高い学費についてどんな論議をしたのか」と指摘しました。授業料の据え置きは黒字の学生への還元と考えてよいでしょう。
無償化は世界の流れ
7月17日付「赤旗」日曜版は日本の高学費を特集しました。その数日後、「毎日」がよく似た特集を組みました。「公教育揺らぐ機会均等」とかなり衝撃的な見出しでした。以下はこの記事のリード部分です。
「『公教育』の理念が揺らいでいる。とりわけ高校、大学。教育を受ける権利を保障し、機会均等を図るはずが、『受益者負担』の名の下、授業料値上げが続く。…国立大授業料にいたっては、過去30年で約15倍になり、中山成彬・文部科学相が国会答弁で『急激過ぎる』と認めるほど。家計圧迫の度を増している。」
この記事がなかなかと思わせるのはグラフでOECD(経済協力開発機構)加盟国の比較をしていることです。
「国民生活金融公庫総合研究所の04年度『家計における教育費負担の実態調査』によると、国公立大の4年間で、子供1人にかかる教育費は平均425万円。兄弟姉妹も合わせた世帯別の年間教育費(在学費用)は150万円を超え、年収400万円未満の低所得層では、実に収入の6割弱が教育費に消えている。
国際的に見ても、日本の高等教育への公的支出は、極めて貧弱だ。OECDの01年度統計によると国内総生産(GDP)に対する高等教育への財政支出割合は、加盟29カ国で韓国に次ぎ、下から2番目。フランスやドイツなど12カ国は、大学の授業料は無料だ。」
国連から勧告受ける
「毎日」の記事は続けてこう書きます。「日本は『国連人権規約』のうち『高等教育の漸進的無償化』の条項を今も留保しており、締約国151カ国で、留保はマダガスカル、ルワンダと3カ国だけになった。」そして「赤旗」が引き取ります。「01年、国連は日本政府にたいし『留保』撤回を勧告しました。勧告にもとづいて日本政府がどのような措置をとったのか、06年6月までに報告することが求められています。」国辱ものですね。
国際人権規約13条2‐c
「高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること」