昨年12月8日、ペルーのクスコで開かれた第三回南米諸国首脳会議は「クスコ宣言」を採択し、南米大陸12カ国の地域統合をめざし歩き始めました。目標は欧州連合(EU)型の統合だそうです。東南アジア諸国連合(ASEAN)などにつづく新しい地域統合の流れです。これはアメリカ主導の経済グローバル化や新自由主義の経済政策の克服と一体で進められています。
イラクからの撤兵続く
アメリカの無法に追随しイラクに派兵している国も37カ国から 撤退または撤退を開始した国が13カ国、撤退を予定・計画している国が6ヵ国となりました。これらの国の中にアメリカが盟友としていたオランダやイタリアが含まれていることは特筆してよいでしょう。依然として派兵を継続している国は18カ国と半数を割りました。ここにも明白なアメリカ離れが進んでいます。
世界政治を大局的に見ることは、私たちに明日への希望を与えます。
そうしたなかで日本の政治はますますアメリカへの追従を深め、世界政治の逆流となっています。小泉内閣は新年度、「新防衛大綱」で自衛隊の「本来任務」を「専守防衛」から「海外派兵」にシフトしています。アメリカ一辺倒の極みです。
テロ犠牲者に2億円、オウムでは
こうした政治が国民生活にいかに冷淡か、思わぬところで明らかになりました。今年はオウム真理教の地下鉄サリン事件から10年、新聞・テレビが特集を組みました。そのなかでターゲットが国であり、明らかなテロなのに、被害者に何の保障もないことが取り上げられていました。毎日新聞によればアメリカでは9・11同時多発テロの犠牲者一人当たり日本円で国から2億800万円、負傷者にも4000万円あまりが支払われています。日本ではオウム真理教の破産管財人から支払われた100万円足らずだといいます。アメリカに追従しながら、アメリカのいいところは真似をしていません。
こうした、国民生活を省みず、アメリカと財界を主人公とする政策は地方切捨てと同義語です。しかも政府の新年度予算はさらに国民負担を求める増税路線に踏み出しました。
青年から希望を奪う政治
問題はこの政府が打ち出す地方切捨ての政治に対してどういう対応をするかです。
国は市町村合併を柱に地方交付税の削減、教育や福祉の負担金・補助金の削減を進めていますが、地方切捨ては多くのマイナスの波及効果を生み出しています。小規模農業の切り捨てをいっそうすすめ、山野を荒らし、地域産業・地場産業、地域の商店街の疲弊(ひへい)をもたらします。弱肉強食を極限まで推し進めることによって競争に敗れた青少年から未来を奪います。22日の内閣府発表によると青年の無業者は213万2千人、うち職探しも職業訓練も受けていない、いわゆるニートは85万人に達し、10年前に比べ27%も増えているといいます。青年から希望を奪う政治に未来があるでしょうか。
(つづく)