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40年をふりかえる(8)

許せない流域下水道の負担増

 今週の見出しを憶えている人はかなり記憶力の確かな人です。今週は家の片づけをしていて見つかった「週一の手紙」第486号1999年7月31日付の再録です。ワープロが故障して呼び出せないものです。
 フェイスブックなどで小越智子県議の苦労を見るにつけ、県議会ばかりでなく県政も変わっていないと痛感します。県の姿勢を見る一助となればと思います。


 27日の新聞をご覧になったでしょうか。「桂川流域下水道 事業費300億円増額」とトップ記事でした。桂川流域下水道というのは富士吉田(一部)、西桂、都留、大月、上野原の各公共下水道をつなぐ幹線下水道で、建設費は国がほぼ半分、残りを県と市町が半分ずつ負担します。

非常識な増額
 着工した93年の全体計画は398億円でしたが、95年には450億円に、そして今回の750億円にと、二倍近くに増額されるというのです。当然、市町の負担も増えます。都留市は五市町合計の31・5%負担で、33億2900万から55億8900万円へ、約1・7倍になります。大月市、上野原町は深城(ふかしろ)ダムが3度目の増額ということでいっそう深刻です。
 県は、詳細な調査・設計に伴う変更(244億円)、当初予算との相違(30億円)などを理由にあげていますが、世間に通る話ではありません。
 この問題で28日に議会の全員協議会が開かれ、市から説明がされました。
 市長はコメントを控えましたが、各議員からは「調査にも設計にも金をかけたはずだ。その責任はどうなるか」など、県に対する批判が相次ぎました。
 私は「こんなことが許されるなら予算も契約も意味がなくなる。県の判断ミスなら県の責任で処理すべきで、市に負担増を押し付けるのは筋違い。民間なら責任者は即刻クビだ。県は税金の使い方に無感覚になっているのじゃないか。深城もかかえている大月、上野原のことも考えて安易な妥協をすべきではない」と強調しました。

県の真意はどこに
 新聞には、県が「多額な事業費の上積みを遺憾とし、市町とのコミュニケーション不足を陳謝」とありますが、土木部の説明資料は「社会情勢などの変化を踏まえ、現時点での必要に応じ計画内容を見直すことは当然」と開き直っています。使われない10億円のループ橋、142億円がムダになった米倉山開発を思い出します。
 一部に「やりかけた事業だから」「再びこういうことのないように」などとあきらめ半分の意見もありますが、それでは県の思うツボです。事実、市の職員のなかには「市町が事業に参入しやすいように初めは事業費を少額に見せるという、県のもともとの作戦」という声があります。
 こういう問題で県にたいして断固たる態度を取れないのでは、地方自治も地方分権も絵に描いた餅です。