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6月議会 一般質問(1)

井倉区画整理事業について

 今週から一般質問を連載します。

 子どもの頃、クラスには私を含め農家の子が大勢いました。農家は米や麦、副業としての養蚕、機織りなどで生計を立てていました。やがて、「百姓じゃ喰っていけない」という政策が進められました。地方では出稼ぎで生計を立てる家庭が多くなり、都留市では誘致企業で働く人や東京方面の建設現場に日帰りで稼ぎに行く人が増えました。
 大型開発や重化学工業に人や金が投入され一次産業が破壊された過程ですが、この間、社会保障の整備も置き去りにされました。それでも急成長した日本経済は「世界の成長モデル」であるかのように宣伝されました。バブル破裂から20数年、いまや逆立ちした経済構造のもとで、日本はOECDの中で唯一、経済成長から取り残された国、労働者の待遇が下がり続ける国となりました。

進んだ商店街の疲弊
 一次産業が破壊される一方で地方の商店街は大型店とコンビニエンスストア、チェーン店の進出によって打撃を受けた歴史でもありました。全国的に地方行政は大型店の進出にどう対応するかが大きなテーマになりました。
 大型店進出の条件は一定の人口と購買力です。市内では大月市民をも対象にした田野倉の郊外型商圏と都留大周辺に展開され、地元商店街の衰退が進みました。
 しかし区画整理事業で井倉に新商圏ができれば田野倉、都留大周辺も再編は避けられません。零細な地元資本・商店はいっそう苦境に追い込まれます。ところが昨年6月議会で、こうした重大な問題のある事業について、商工会には何ら相談をしていなかったことが明らかにされ、地元業者と地域経済を無視した事業であったことが明らかになりました。
 市民生活との関係では、すでに市周辺部にかろうじて移動販売に助けられている高齢の買い物難民がいますが、地元業者の撤退が進みこうした事態が拡大する可能性があります。

市長選の判断材料にされた
 こうした問題のある事業に市が肩入れをするなどということはもってのほかです。市長選で堀内市長を応援した人の判断の中にこの事業はなかったでしょうか。事業を止めてもらいたいという期待です。しかし、計画は何ら変わっていないように見えます。
 事業は区画整理組合による井倉の土地活用とされていますが、実はほとんど市の丸抱えの大形店誘致事業です。市が投資する金額は道路と公園の用地取得費の2億3700万円と工事費2億3015万円、合計4億6715万円ですが、これに加えて2億円の貸付です。総額では6億6715万円になります。
 一方、市の財政面からみると今年度、財政調整基金を大幅に取り崩します。前年決算見込み残高21億5千万円から今年度当初予算では8億5千万円、約4割も取り崩します。
(つづく)