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どこからみても無用の長物リニア

 6月1日、南アルプス市で開かれた山梨革新懇と「南アルプスの明日を考える会(南アルプス革新懇)共催の「大丈夫?リニア中央新幹線」と題した学習会に招かれました。
 すでに実験線が走っている都留の現状を報告しろということでしたが、もちろん、学習会の中心は専門的に研究している講師の話で、リニア新幹線を考える相模原連絡会議中野渡旬(なかのわたりじゅん)さん(工学博士)の「リニア中央新幹線と暮らし・環境」という講演でした。骨子を紹介します。

コンコルド、アクアラインの轍
 中野渡さんは大型プロジェクトの失敗例をいくつか挙げ、リニアがその轍を踏むことは明らかだと話を進めました。
 まず輸送量の需要があるかという点で、東海道新幹線の乗客数は横ばいで、労働人口は営業開始時に3分の2にまで減ることを示し、JR東海の社長自身が「採算が取れないと認めている」ことなどを紹介しました。
 エネルギー消費も飛行機の3分の1というが所要時間を勘案すれば負けているし、新幹線の3・5倍、同じ速度で走っても2倍になると指摘しました。
 8割がトンネル区間で、活断層を通過する点で安全性にも大きな疑問があると強調しました。南アルプスは年に4ミリ隆起している地層の動きの激しいところ。そこにトンネルを掘って大丈夫か、事故で大深度のトンネルの中で停止したらどうなるかなど、過去のトンネル事故の例も引き合いにし、安全性について疑問を呈しました。
 まだ、電磁波について、日本の安全基準が他の国より極めて甘いことを数字で示しました。また、地元相模原市での計画を示し、環境破壊の心配、経済波及効果の過大な予測などを批判しました。

通過地点での反対運動
 南アルプス市の地元代表でお二人が発言しました。1人は戸田地区の人で、区のお金で「リニア通過反対」の幟旗を立てた経過などを通じて、反対運動が進んでいることを報告されました。地下水が多く軟弱な土地なうえに橋脚の下で色々な心配があり住み続けられるかと発言しました。
 もう1人はリニアが地区の真ん中を通る予定の宮沢地区の人で、昨年11月に戸田地区と一緒にルート変更を求める意見書を提出、2月に臨時総会を開き反対の署名運動に取り組み、地区の95%の署名をJRに届け申し入れをしたと報告しました。しかしいくらかの改善策が示されたものの基本は変わらず受け入れられないと訴えました。
 私は都留市でのJR東海の地元対策の歴史を中心に報告しました。20年前、地権者や自治会役員などを中心に200人もの人を宮崎の実験線へ飛行機で招待(何の意味もない観光)したことから始め、一気に用地の取得を進めたこと、現在の苦情については直ちに対応、「力」を見せつけ反対運動への発展を阻止する対策をすすめていることなど、そのおごりを告発しました。
 長野、静岡、神奈川からも参加があり、80人の予定が2倍の160人が集いました。