知り、知らせたいことがたくさん
5月11日付日刊「赤旗」は1面トップで「日本の高学費 世界一」と報じました。「国に届け! 値下げ求める声」「高校・大学修学費1000万円超■バイト学生8割」と。
「バイト学生8割」は深刻です。日曜版読者のみなさんもこうした記事に何度も接していてよくご承知でしょう。
問題は日本政府が「2012年9月に高校・大学までの段階的学費無償化を定めた国際人権A規約13条2項b・cの批准留保を撤回」(このこと自体は運動の成果です)したにもかかわらず、実行(学費値下げ)が伴っていないことです。こうしたなか、日本共産党の宮本岳志衆院議員は2月の予算委員会で、国際人権規約を守り、学費値下げと、給付制奨学金などを実施するよう求めました。
あまりにも違う、違いすぎる
「食べもの通信」という定期誌を読みました。このなかで訓覇法子(くるべのりこ)さん(日本福祉大学福祉経営学部教授・スウェーデン在住)の文章を見つけました。1992年にスウェーデンの福祉について、現地で講義を受けた先生です。
文章のテーマは「人生の基礎を築く教育
学校給食も完全無償」で、「完全に無償で提供する国はフィンランド、エストニア、スウェーデン」だけとしたうえで、その意義と内容について述べています。私が注目したのはその前段のスウェーデンの教育と社会あり方について述べている部分です。ちょっと長いですが引用させてもらいます。
いつでも、どこでも、だれでも受けられる教育制度
スウェーデンの教育は、家庭背景に関係なく人生の基礎を築く機会をすべての人に平等に保障するため、大学院まで無償です。高等学校までは基礎自治体が、大学は国が運営しています。工業社会から移行しつつある知識社会では、生涯にわたって必要なときに何度でも学べる柔軟な教育制度が必要となります。
スウェーデンは早くから、いつでも、どこでも、だれでもやり直しのできる教育制度づくりを行ってきました。大学入学のための年齢制限はありません。働く人が専門資格を取るために学びたいとき、仕事を辞める必要はなく、学業休職法によって休むことができます。学業中は国からの学業ローンで生計を立て、働いて収入を得られるようになってから返します。返されたお金は、今学ぶ人たちにローンとして貸し出される仕組みです。
昨年4月にこの「手紙」で「人を見捨てない国」(三瓶恵子著)という本について紹介し、何度でもやり直しがきくスウェーデン社会について書きました。訓覇法子さんの文章はそれと一致し、裏付ける内容です。日本と、なんという違いでしょう。
被災地復興や原発への後ろ向きの対応、戦争する国づくりと軍事費拡大、切り縮める社会保障、国民負担増と大企業減税、日本の政治は国民が喜ぶことをなぜやろうとしないのか。その世論づくりへ、先進国との違いをもっと知らせることが大切と感じます。