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議員を減らした結果

 51・79%。びっくりしました。甲斐市議選の投票率です。山日新聞によると前回甲府市議選の44・15%に次ぐ低さです。
 山日新聞の見方では合併で地元代表意識が薄くなったことと目立った争点がなかったことが原因としています。それで済ませていいのでしょうか。

何度も取り上げましたが…
 新聞は投票率が極端に低いと大きく報じますが、そのことのもたらす結果についての問題意識は薄く、対策はありません。
 私が注目するのは定数削減です。地元代表意識も政治意識の一つの要素です。それが薄くなった大元に定数が合併前の54から22へと約6割も減らされたことがあります。身近に議員がいなくなれば市政に対する関心が薄れるのは当たり前です。そのことによってさらに投票率が下がる、悪循環です。最善の民主主義は住民の政治への直接参加ですが、それが不可能なもとでの代議制です。議員が少なければ市民の政治参加の道が細くなり、民主主義は後退します。
 「目立った争点がない」に至っては報道機関としての新聞の役割の放棄ではないでしょうか。新聞は争点を明らかにして有権者に知らせるのが仕事のはずです。ところが逆に「『安心安全なまちづくり』『福祉の充実』など、違いが見えにくい」と、わざわざ争点がなかったと強調するのです。 
 甲斐市でいえば昨年12月議会で水道料を10%値上げしました。加えてこの3月議会で消費税分を上乗せしました。これに反対したのは共産党の2人だけでした。選挙の時、「市民生活を守る」と公約したとしたら、これに賛成した議員は公約違反です。
 しかし、新聞はこういうことに沈黙します。「公約違反だ。これが争点だ」と書けば共産党の応援になるからです。だから「争点がない」というしかありません。

国政ではさらに重大問題
 3年前の4月、大震災の直後に「国会議員定数削減と私たちの選択」(新日本出版社)という80ページのブックレットが出版されました。坂本修・小沢隆一・上脇博之共著です。
 「日本の国会議員は多いか」という設問をインターネットで検索しても同じような事実が記されたサイトはありますので、事実の問題として踏まえることができます。
 結論からいえば日本の国会議員は極めて少ないのです。「多い」と主張する人たちはアメリカとだけ比較しますが、アメリカは連邦制で、権限の強い州の集まった国ですから、比較の対象とするのは無理があります。
 福祉の国スウェーデンの国会議員(一院制)は349人です。2008年現在の人口は912万人ですから、日本で同じ比率にしたら4862人(4140人増)です。同様にイギリス並みなら2902人(2180人増)、イタリア並みなら2039人(1317人増)、フランス並みなら1896人(1174人増)です。少ない国会議員で、庶民の声が届きにくい日本はスウェーデンと対極に あるように見えます。お金だけで論じたら寂しくなる民主主義の制度の問題です。