半年で終わる成年後見人体験
私は昨年9月から市内に住むSさんの成年後見人になりました。ところが、Sさんがこの24日に急逝してしまいました。この「手紙」では触れなかったので、10ヵ月の体験から「成年後見人とは何だったのか」を振り返ってみたいと思います。
司法書士の指導を受ける
「Sさんの横浜市在住の弟さんが小林さんに成年後見人になってもらいたいと言っている」と司法書士から告げられたのは4月頃でした。あとで聞くと私を推薦したのは市内に住むSさんの義妹のYさんでした。その後、市内民間病院に骨折で入院しているSさんを何度か見舞い、司法書士、介護福祉士と成年後見制度のなかの補助、補佐、後見の3段階のいずれが適当かを協議しました。骨折で入院したのですが、明らかに病人になっていました。その後、裁判所の書記官から成年後見制度の説明を受けたり、書記官と一緒にSさんの病状をみたりして時間が経過していきました。結局、後見に落ち着いたのですが、その過程で必要な書類の中に私自身が「後見登記されていない」ことの証明書があり、それをもらうために法務局に行かなければなりませんでした。私は大月市にある法務局と思い、司法書士に「私が行きます」と軽く言ったのですが、大月ではダメで甲府の本局でした。
後見が開始されると
手元に8月29日付の裁判所の「審判」があります。成年後見人に小林義孝を選任し、成年後見監督人に司法書士を選任するという内容です。その後、司法書士の指導を受けて「財産目録及び年間収支予定表」を作り裁判所に提出しました。そのために10月4日にもう一度甲府法務局に行き、成年後見人になったという「登記事項証明書」を貰い、これを示して五つの金融機関を回らなくてはなりませんでした。複数ある通帳を整理し、新たな通帳の名義を「成年被後見人S、成年後見人小林義孝」にします。金融機関も経験が少ないのか、最初の金融機関には司法書士が同行してくれましたが、1時間半かかりました。キャッシュカードは発行されません。
官僚的機関と親切な機関と
自宅には戻れないだろうという予測で、ガス、水道、CATV、電話、電気、テレビなどの契約を解除しましたが、東電、NTT、NHKの電話対応には腹が立ちました。つながって話がつくまで都合3日かかりました。意外に親切だったのは信用保証協会でした。返済が遅れて総額で90万円に膨れた残金を一括返済することで40万円に負けてくれました。「共産党に頑張って貰いたい」というコメント付きでした。金融に詳しい知り合いは「そんなのは当たり前」といいましたが、素人には嬉しいことでした。10月に入所した老健「つる」の職員の親切な対応にも助けられました。
葬儀は親戚の皆さんの了解をいただき家族葬で執り行いました。1カ月以内に裁判所に後見終了の報告をすることになります。
勉強させてくれたSさんに感謝し、合掌。