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パンフ「日本の巨大メディアを考える」志位和夫

新聞やテレビの果たしている役割

 ある「赤旗」読者の方が「新聞を読んでいると消費税引き上げに反対しちゃあいけないようなことばかり書いているが、おかしくないかえ」と言いました。

「第4の権力」
 ―本来、「マスコミには立法・行政・司法の三権を監視する使命がある」という意味合いで言われ出した言葉だったはずなのだが、「マスコミが現に持っている権力は立法・行政・司法の三権に並んでおり、警戒すべきものである」という意味に用いられる場合も散見される。
 これはインターネットの解説の一つですが、マスコミについて「危険な権力の一つ」という見方を紹介しています。その是非はともかくとして、日本の昨今の大新聞の論調は、冒頭の「赤旗」読者に限らず誰もが異常と感じているのではないでしょうか。

見抜かれた「権力寄り」
 いま国政で世論が大きく二つに割れている、正確にいえば政府と国民の二つに割れているテーマがたくさんあります。それは大震災被災地の復興のあり方であり、原発、TPP、オスプレイ、消費税などです。これらの課題で全国紙のほとんどは政府寄り、政府の応援団の役割を担っています。
 東京での集会によく使われる代々木公園の隣にはNHK放送センターがあります。何千人、何万人が集まって抗議集会を開くと、隣のNHKに向かって「ニュースで取り上げろ」と叫ぶ人がいます。しかし、その日のニュースで取り上げられることは、これまでほとんどありませんでした。しかし、この夏の様相は一変しました。毎週金曜日の官邸周辺の集まりです。「反原発」を課題にツイッターなどを介して集まった人たちを無視できなくなったのです。そしてその集約点となった7・16集会の報道についてはテレビ、新聞でご覧になったとおりです。

なぜ権力に弱いか
 日本のメディアの実態を明らかにし、「赤旗」の存在意義を明らかにしたのが表題のパンフレットです。このパンフレットで引用されているのは『メディアの興亡』(杉山隆男著、1986年、文藝春秋)です。
 ニューヨーク・タイムズ紙の、社屋を売っても権力と戦うという構えを紹介した後、言います。
 ―ところが日本はどうだ。社屋を売って政府と戦うどころか、社屋をたてるために政府から土地を分けてもらっている。読売は大蔵省が持っていた土地に新社屋をたてたばかりだし、毎日の敷地のうち竹橋寄り部分は皇宮警察の寮、つまりは国有地だったところだ。日経もサンケイも社屋がたっているところは、もとはといえば大蔵省の土地である。そして朝日だって築地の海上保安庁の跡地に社屋を作ろうとしている。日本の大新聞という大新聞がすべて政府から土地の払い下げを受けて『言論の砦』をたてているのだ。これで政府相手にケンカをやろうというのが、どだい無理な話なのである―