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「議員定数削減」公約に疑問

 市議選が近づくと立候補予定の人はさまざまなチラシで宣伝を始めます。ふだんは議会報告などしない現職議員も同様です。
 そのなかで小泉改革以来、議員定数削減を公約に掲げる候補が増えました。今回も削減公約のチラシを配っている候補がいます。念の入ったことに「定数削減に反対した議員と賛成した議員」と実名入りです。
 前回同様の公約は「議員など何をしているのかわからない。経費のムダ。少ないほうがいい」という一部の「これが改革だ」という世論に乗じたものです。ただし表向きの理由は「自らに厳しく」「少数精鋭の議会」です。

少なければ少ないほどいいか
 日本共産党は定数削減には反対です。少ない議員では市民の声を反映しにくくなるからです。また二元代表制の一方の代表、市長との関係でも力が弱まり、バランスが取れなくなります。そうでなくともオール与党で長の提案に「何でも賛成」の議会が多いのです。
 そもそも「改正」前の地方自治法では人口3万人以上の市の定数は30と決められていました。都留市議会は1971年の選挙で小選挙区から全市1区、大選挙区制に変えたさい22へと大幅に減らしました。さらにその後、自治法「改正」で「上限26」と決められ、これを機に全国で「行革」の一環として定数削減が進められ、都留市議会は前回の選挙から18に減らしました。法律の上限から3割を減らしたことになります。「改正」前の自治法から見れば4割もの削減です。
 もう一つの数字があります。投票率です。

無関心層を増やす定数削減
 投票率の推移を見てみます(補選を除く。小数点以下4捨5入)。
 1959(昭和34)年94% 63年96% 67年95%
 71(昭和46)年92% 75年91% 79年93% 83年93% 87年91% 91(平成3)年90% 95年86% 99年86% 2003年86%
 07(平成19)年80%
 行を変えた年が定数を減らした年です。立候補者が少ない年は投票率が下がっていますが、大きく下がったのは定数が削減された年です。そして定数が30だった当時の95%から前回は80%にまで低下しています。
 前回、定数18に立候補者は19人でした。声のかからなかった有権者も多かったに違いありません。そのため10人に2人は棄権したのです。少ない人数ではありません。この人たちは支持する議員がいないのですから議会への関心は薄くなるでしょう。無関心層の増加は市政にとってマイナスです。

優れた人が立てない
 大勢の人が集まればよりよい知恵も出ますし、私たちのまわりには優れた見識をもった人が大勢います。しかし定数を減らすたびにこうした人が立候補しにくくなっています。不況の影響もあり、かつては市の顔であった市の中心部には一人の議員もいません。
 議員数は行政課題ではありません。これがはたして政策といえるかどうかも疑問です。