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12月議会報告 一般質問(2)

国民健康保険の危機と加入者負担(1)

一般会計から補てん
 先の9月議会で国民健康保険の現状が極めて憂慮すべき事態に立ち至っていることが明らかにされました。国民健康保険会計は一般会計からの繰り入れ5千625万円と広域化等支援基金貸付金から1億6875万円の借り入れをしました。同時に財政調整基金からの繰り入れを4531万7千円減額しました。昨年度決算で基金が底をついたためと説明されました。

国の負担の大幅削減
 こうした国保会計の危機は都留市だけのものではありません。1984年の国保法改悪で自民党政府は国の定率国庫負担を「医療費の45%」から「給付費の50%≒医療費の38・5%」に改定しました。当然その減額分は運営主体である自治体と加入者の負担増になります。さらに80年代から90年代にかけて事務費の国庫負担の廃止、保険料減額措置に対する国庫補助の廃止、助産費補助金への国庫補助の削減など、国の責任を次々に後退させてきました。その結果、国保の総収入に占める国庫支出金の割合は80年代の約50%から2007年度決算では25%となっています。国の地方に対するさまざまなペナルティーも影響しています。

加入世帯の生活悪化
 そしてこの間、国保加入者の低所得化が急速に進みました。国保加入世帯の平均所得は1984年度の179万円から167万円へと実額で下がっています。自営業者の経営難、非正規雇用者、失業者の流入などが原因であることは検証の必要もないと思います。現に都留市の場合も一昨年よりも昨年、同じ税率のもとで国保税収入は減っています。また、決算段階で28・9%もの滞納があり最終的な収納率も90%を割り込んでいます。
 自公政権末期から今日に至る間、国民や関係団体の批判の高まりを受けて、さまざまな手直しもはかられました。それについて詳細には論じませんが、民主党政権の打ち出した施策の中心は国保制度の広域化であり、先の通常国会では国保運営を都道府県単位に集約するための一連の制度改変を盛り込んだ国保法改定が行われました。

注目すべき「手直し」
 この間打ち出された手直しのなかで、患者負担の減免対象を定めた新たな基準の9月13日の通知にもとづく「Q&A」は注目すべきと思います。
 新基準は、災害・休廃業・失業などで収入が生活保護基準以下に急減し、預貯金が生活保護基準の3カ月以下の世帯で、入院療養を受ける場合を患者負担減免の対象とするというものです。新基準減免額の2分の1を特別調整交付金で国が負担することが明記されました。保険料を滞納している世帯であっても新基準に該当する場合は減免を行うよう求めています。また、そうした世帯は保険証取り上げの対象とならない「特別の事情」に該当する可能性があると指摘し、保険証の取り扱いに留意を促しています。(つづく)