日本農業をつぶすか菅政権
菅首相はTPPについて各国と協議を開始すると表明しました。とんでもない政権があったものです。
農漁業の輸入の自由化をこれ以上進めたらどうなるか、そうでなくとも日本の食糧自給率の現状に心を痛めない人はいません。日本という国の将来、独立国としての基盤にかかわる問題だからです。現に民主党もマニフェストでは自給率50%を掲げたはずです。
すでに危機的な日本農業
農産物の平均関税率は11・7%、水産物の平均関税率はわずか4%、日本の農漁業はこの低い関税率のために十分に痛めつけられています。全国に広がる限界集落や耕作放棄地に象徴される農村の衰退、これまでの自民党政治が大企業の言いなりになってきた結果です。オーストラリアの農家の耕作面積は300ha、日本の「大規模農家」の100倍です。そのもとで農業分野の関税を完全に撤廃したら食料自給率は14%にまで低下するという農水省の試算もあります。
志位委員長は10日に開かれた「TPP交渉への参加に反対し、日本の食を守る緊急全国集会」のあいさつで、日本農業に壊滅的打撃、食の安全を破壊する「亡国の政治」、ごく一握りの輸出大企業のために日本を売り渡す「売国の政治」と糾弾しました。
都留市の耕作放棄地は
今年の3月の市議会で同僚議員が耕作放棄地について質問しました。これに答えてあきらかにされた、都留市の耕作放棄地の現状は以下のとおりです。
2005年の農業センサス(統計調査)では耕作放棄地は100ha(ヘクタール)、耕作放棄地率は26・4%でした。さらに2008(平成20)年10月に実施した「耕作放棄地全体調査」では、耕作放棄地面積のうち「人力・農業用機械で草刈りなどを行うことによりただちに耕作することが可能な土地」は74ha、「草刈りなどではただちに耕作することはできないが、基盤整備を実施することで耕作することが可能な土地」は113haで、合わせて耕作放棄地面積は187ha、本市の農地面積465haの40%です。
40%という数字には里山の畑地なども含まれるのでしょうが、先人が苦労して開墾した農地が確実に減少しています。
自治体の努力では限界
市は2008年に「耕作放棄地再生活用5カ年計画」で対策をすすめ、09年度は96a(アール)の耕作放棄地が解消されたとしています。1ha=100aですからこれからが大変です。さらに市は曽雌にんにく生産組合や新規農業参入者、米粉用水稲栽培などに期待を寄せています。また、2月には953戸の農家に対して耕作放棄地の有無、面積、利用予定、未利用理由、貸し出しの意思などのアンケートを実施し、その集計結果の活用に取り組んでいます。しかし、まだ農業の明るい姿は浮かび上がってきません。
「対策」が追いつかなければ市の周辺地域の過疎化は避けられません。国政と直結する農業の実態です。