戦争体験者に学ぶ8月
8月は戦争を考える月です。メディアもさまざまな特集を組みます。
どんな戦争も「正義」と「防衛」
山日新聞は投書欄でも特集しました。戦争体験者は2度と戦争をしてはならないという思いで共通しています。
ある高齢者は「戦後、日本は憲法で戦争はしないと決めた。これで私たちの子どもや孫は、平和に暮らすことができると安心し65年がたった。もうすぐ戦争を語り継ぐ人たちはいなくなる。なぜあんな無茶な戦争をしたのか、それは『戦争をしてもうかる人がいるからだ』。老兵の結論である」(神宮司敬90歳)と教えています。
わかりやすい話です。「真理を表す言葉は単純である」。若いころ格言集で出会った言葉を思い出しました。この投書がいう「もうかる人」が政治を動かし教育を使って「正義」と「防衛」の美名のもとに国民を駆り立てるのが戦争です。しかし、その「真理」に到達するには勉強が必要です。高齢者の戦争体験に学ぶのはその大切な勉強の機会です。
戦争をきちんと終わらせる
「治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟」という組織があります。「国家賠償法の制定を求める請願」運動に取り組んでいます。以下は請願の趣旨です。「戦争の始末をつけていない日本」が浮き彫りになっています。
戦前、天皇制政治のもとで主権在民をとなえ、侵略戦争に反対したために、治安維持法で弾圧され、多くの国民が犠牲をこうむりました。
治安維持法が制定された1925年から廃止されるまでの20年間に、逮捕者数10万人、送検された人7万5681人、虐殺された人80人以上、拷問、虐待などによる獄死1600人余、実刑5162人にのぼつています。
戦後治安維持法は、日本がポツダム宣言を受諾したことにより、政治的自由の弾圧と人道に反する悪法として廃止され、この法律によって処罰された人々は無罪とされましたが、政府は謝罪も賠償もしていません。
ドイツでは連邦補償法で、ナチスの犠牲者に謝罪し賠償しています。イタリアでも、国家賠償法で「反ファシスト政治犯」に終身年金を支給しています。アメリカ・カナダでは、第二次世界大戦中強制収容した日系市民に対し、1988年に市民的自由法を制定し約2万ドルないし2万1千ドル(約250万円)を支払い、大統領が謝罪しています。韓国では、治安維持法犠牲者を愛国者として表彰し、犠牲者に年金を支給しています。(略)
私たちは「ふたたび戦争と暗黒政治を許さぬ」ために、国が治安維持法犠牲者に謝罪と賠償をすることを要請します。
請願の項目
1、国は、治安維持法が人道に反する悪法であったことを認めること
2、国は、治安維持法犠牲者に謝罪し、賠償を行うこと
3、国は、治安維持法による犠牲の実態を調査し、その内容を公表すること