志位訪米が浮き彫りにした
「現実政治」に無力な日本の政権
5月25日付「赤旗」に志位委員長の訪米報告の全文が載りました。インターネットで見てはありましたが、文章になったものをマーカーで印をつけながら読むのはまた違った感慨があります。6ページにわたる長い報告ですが、一気に読みました。
政治の世界でこんな楽しい体験をすることがあるのかというのが、最初の感想です。それはそうです。「相手が誰であれ、遠慮なくモノが言える党」の、最後に残っていた「相手」と正面切ってやり取りしたのですから。かつてソ連共産党と論争するたびに、その経過を掲載した「赤旗」を、胸を躍らせながら読み進んだことを思い出します。
報告は「核廃絶」と「基地撤去」へ日本国民の声を届けるという活動内容ですが、もう一つ、世界情勢の劇的進展と取り残された日本の政治、その中で唯一まともに世界から(アメリカからさえ)受け入れられつつある日本共産党の姿を浮き彫りにしました。
心地よく響きあう民主主義
米軍基地は日本の政治の根本問題、平和憲法と安保の矛盾の集中点です。対立点は明らかで義はこちらにあります。「しかし、どんなに立場が違っても、否定できない事実と道理はあるだろう。それを冷静に、諄々(じゅんじゅん)と、外交的節度を保ちつつ、しかしきっぱりと米国政府に伝えよう。私たちは、こういう姿勢で会談にのぞみました。」「おそらく、米国政府が、アメリカの地で、日本の国会議員から、正面切って、沖縄県民の声がどこにあるかを聞いたのは、これがはじめてではないか」。相手の対応はどうだったか。米国務省担当者のあいさつです。
「ようこそ国務省へ。お会いできて光栄です。時代は変わりました。これまで日本共産党との接触はありませんでしたが、日本共産党は日本の公党です。意見交換をすべきです。」激しいやりとりのあと、「見解は違っても意見交換をするのは有益であり、民主主義の基本です。これからも続けましょう」。
打たれたたくさんの布石
志位委員長一行は民主、共和両党の連邦議会議員とも会談しています。率直な意見交換のあとで、やはり「見解は違っても意見交換するのは有益であり、民主主義の基本です。これからも続けましょう」となっています。
志位委員長は言います。「私は米国の政界とつきあううえでは、はっきりとモノを言うことこそ重要だと感じました。相手の気持ちを忖度(そんたく)してぐずぐずと意見を言わないのが一番悪い(笑い)。「トラスト・ミー」(私を信じて)などといって(笑い)、意見をいわずに信頼だけを求めるというやり方も一番悪い。はっきり言うべきことを言ってこそ、立場がまったく違っても、ある信頼感が生まれる」。
全米法律家協会での講演、諸外国代表との交流と、たくさんの窓口が開かれた訪米でしたが、その入り口が4月21日のルース駐日大使との会談だったとは…。ワシントンでの米国政府との会談の手配を要請した志位委員長、応じたルース大使、新しい時代の到来を象徴しているではありませんか。