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研修で思った自治体財政の困難

 先週書いたように1月27日から29日まで議会の研修に参加しました。研修先は佐賀県の神埼市と嬉野市でした。佐賀県を訪うのは初めてですが、テレビで見た「佐賀のがばいばあちゃん」はいいドラマでした。
 神埼市では「巡回バスの実証運行の実例」、  嬉野市では「地域子育て支援事業」について研修しました。それぞれの研修内容は「議会だより」で各常任委員長から報告されると思いますが、私が感じたのは合併して誕生した新しい市の財政の厳しさです。

神埼市と嬉野市の印象
 神埼市は広い耕地を持った市です。総面積は約125?(都留市は約160?)で山林・原野が約66%、田畑が28%、宅地が約5%です。北の山地と南の穀倉地帯(佐賀平野)に大別され、知られた地名をあげれば東隣が吉野ヶ里町、西隣が佐賀市、南を流れる筑後川は有明海に注ぎます。06年3月の市制施行で人口は3万3千人です。キャッチフレーズは「自然と歴史と人が輝く未来都市」、佐賀市のベッドタウン的な位置にあります。
 嬉野市は県西部に位置し長崎県に接します。無投票当選したばかりの市長さんがあいさつに見えました。嬉野温泉は「日本3大美肌の湯」です。北に向かうと有田、伊万里があります。市制施行は06年1月、面積は約126?、神埼市と同程度です。人口は約2万9千人で合併時よりやや減少しています。
 ともに人口や予算規模は都留市とそう変わりませんが、ざっと見ただけでも神埼市は広い耕地、嬉野市は温泉と、都留市から見たら羨ましいほど資源に恵まれた市です。
ところが09度当初予算でみると市税収入は神埼市が約31・3億円(構成比25・5%)、嬉野市が約25億円(同22・3%)です。都留市は財源豊かとはいえませんが、それでも市税は39・5億円(同33%)です。現地で両市の「概要」をみて、内心驚きました。これが「地方」の自治体財政の実態かと…。
他市の内情についてコメントする立場にはありませんが、農業が大切にされたら神埼市は明らかに豊かな市です。九州の農・漁業が発展すれば観光の町としての嬉野市もさらに賑わうのではないでしょうか。

夕張市の財政破綻は
 自治体の財政を学ぶ機運が高まっています。そのさい「夕張のようになってはならない」と、財政破綻した夕張市の行政や議会の対応が取り上げられたりします。耳を傾けなければならない指摘もありますが、中には国の責任(エネルギー政策の転換と残された社会基盤投資の負担押し付け、観光・リゾート開発を主導した責任、地方行革による交付税の削減など)を免罪する例もあります。
 夕張市は自主的な行革で05年までの4年間に17億円も節減をしたのに、小泉行革で交付税などが23億円も減額されたため努力は水泡に帰し、破綻に追い込まれました。
 「地域主権」を掲げる鳩山政権ですが、どこまで本気でしょうか。地方を衰退に追い込みツケを地域住民に回した小泉政治、いま地方から怒りをもって「行革」を問い直さねばと、目的から外れた感慨をもった研修でした。