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事業仕分けをどう見るか

 24日、東京大学など9大学の学長が都内で記者会見を開き、連名の声明を発表しました。内容は「科学技術予算削減に異議あり」です。25日にはノーベル賞受賞学者なども批判しました。29日付「赤旗」日曜版は「ここがおかしい」と特集しています。

「そもそも」が小泉流手法
 事業仕分けとは何でしょう。「赤旗」日曜版に解説があります。
 ― 国や自治体が実施している事業を「必要性」「国、自治体、民間のどこが担うか」などを基準に、議員、職員、民間人などが、「廃止」「縮減」「見直し」「要求通り」などに仕分けていくもの。
 仕分けの結論には法的拘束力はなく、鳩山首相は「最終的には内閣が決める」としています。
 加藤秀樹氏(行政刷新会議の事務局長で元大蔵官僚)が代表を務める民間シンクタンク「構想日本」が、「行政改革」を進める手法として02年から地方自治体で実施してきました。
 その後、小泉内閣の「行政改革推進法」(06年)のなかで「事業仕分け」が規定され、「骨太の方針」にも実施を明記。08年には自民党が「政策棚卸し」という名前で実施し、「構想日本」も参加しました。―
 日本共産党の佐々木憲昭議員の質問に答えて亀井静香金融・郵政改革担当相が批判しました。「小泉政治を、市場原理至上主義を支えてこられた方々を、国民の、一般の意見を代表するというような形でお使いになるのはどうか。特に外国人はどうか」と。詳しくは「赤旗」日曜版をお読みください。

「民間人」にもいろいろ
 錦の御旗「費用対効果」を持ち出し、「すべての事業を仕分けにかけろ」などと言い出したら、地方自治体では成り立たない事業がたくさんあります。もともと金勘定にはなじまない、住民が安心して住み続けるために欠かせない条件、憲法25条にいう「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障するのが行政の責任です。消防や図書館などをみれば分かります。
 小泉政治は地方行政を財政難に追い込み、「仕分け」に誘導しました。しかし、仕分け人がいかに公平を装っても、それぞれの立場にはそれぞれの利害があるし、参加する民間人が事業に対してきちんとした認識があるかという問題もあります。地方でも「小泉改革」にたいする全面的な総括が求められます。

世界がよく分かる本
 「激動の世界はどこに向かうか」(不破哲三著)が売れています。「マルクスは生きている」に続くヒットです。毎日新聞の「風知草」欄で山田孝男氏が「外交における信頼とは」と題して書いた文章の影響もあるようです。中国共産党の理論家たちの質問に不破さんが答える形で政治・経済論が展開されていますが、話は「世界」にならざるを得ません。中国共産党と不破さんの関係に驚かされます。
 山田氏は鳩山発言との対比で中国との「信頼」をいうのですが、相手は総理大臣、レベルの違いを喜んでばかりはいられません。