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Inside Farming Vol.24 (Japanese)



1998年、インターネットは「普及」した

 一昨年の例(1997前半1997後半)に習い、1998年のインターネットを振り返ってみる。
 
 不況を映し出す内部告発HP、砒素事件関連のセンセーショナルなHP、現実社会での事件に結びついた薬物販売のHP、取り締まりの本格化してきたアンダーグラウンド全般、圧縮技術の進歩と著作権法の狭間で爆発的な広がりを見せるMP3、などなど混沌の中に乱立するそれらのサイトはインターネットがまだサブ・カルチャである事を証明している。
 しかしその一方で、田舎の町の飲み会でも普通にインターネットの話題が出るようになったり、日々見ているTV番組のテロップでは番組のHPのURLが流されたりと、ネットが情報伝達のインフラとして家庭にまで浸透し確立されてきた事を感する一年であった。一言で言えば「普及」。これが私の1998年のインターネットの印象だ。

 98年の12月には「河合果樹園」のホームページの”のべ閲覧者数”が10000を超えた。個人の主催する農業サイト、しかも林檎に特化したサイト(しかも通販サイトとしてはわずか3ヶ月間しか注文を受け付けていない)でこのヒット数はおそらく1999年初頭において全国でもこの分野ではトップクラスであろう。しかし冷静にこのサイトに興味を持ってくださる訪問者の増加理由を考えるとき、ネットに接続するネット人口の増加、ネットに接続する人間の層の多様化という(ある意味で外的な)要因以外に私には思いつくものがない。
自分もそうだが、かつては仕事やコンピュータ関連情報や海外文献検索にネットを利用していた人間が、急に「美味い林檎」に興味を持つだろうか?そう考えるよりも、健康、安全、食品、果実、などにもともと興味を抱いていた人々がネットに接続する環境を手に入れたのだ!と考えるのが順当な物の見方というものだろう。

 それを裏付けるように、98年は健康や安全に興味をもつ主婦の方や女性からのメールが急増した。昨年は雑誌、新聞、TVなど幾つかのメディアにこのHPと園主が紹介される機会に恵まれたのだが、その紹介後に頂くメールの多くは女性の方であった。この匿名社会のインターネットで女性が面識もない人に無用心にメールを出すのは当然躊躇するはずだ(私も薦めない)。しかし、あえてメールを出して下さる方が増えたという事は、それだけメールを身近に使っている女性が増えた事の現れではないだろうか。もちろん、いままで匿名社会のネット上でバーチャルな存在だった「河合果樹園」が既存のメディアに登場し匿名性を捨てることで、実社会の”存在”をアピールした結果、安心してメールを出して下さったのかもしれない(これがネット上だけではなかなか確立できない個人サイトの信用の確立というものなのかもしれない・・・)。

 もうひとつ、「普及」を感じさせる身近な出来事があった。それは”ご近所ホームページFURUHATA'S HOME PAGE仲間”が出来たことだ。歩いて5分以内に住む3人がそれぞれにホームページを開設しているというという繋がりで12月下旬に飲み会を開くことができた。お一方は絵画を趣味とする古畑さん。地域や子供の話題満載のご自分のページと共に古畑さんがHPを作成を担当した絵画グループ「輝き21」のページではギャラリーが充実。多く花満開 PC Factoryのすばらしい作品を美しい画像で堪能できる。もうお一方のYuzさんは自作のクロックアップPCにOSはMicrosoft Windows NT Workstationを使うという本格派。ホー ムページの花満開PCFactoryで紹介されるNTのTipsなどはなかなか役に立ちそうです(それぞれ古畑さん、YUZさんへのリンク・ボタンです)。

顔は知っていても、仕事も年齢も異なり、あんまり話もしなかった3人が、ホームページの話題で急接近できたなんてすばらしい!(田舎では画期的なことです)。グローバルなネットを使って出来たローカルな関係が、ネットのインフラとしての「普及」をほんとに身近に体感させてくれた。楽しいお酒が98年のインターネットの締めくくりで良かった。


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写真、本文とも Copyright(C) 河合果樹園