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Inside Farming Vol.22 (Japanese)



避けられないモチベーションの低下。脱却できるか?

いつもなら一年を終える充実感があるのだが、今年はどうだ。
心に空いた空間を、どうやって満たしていけばいいのだろう。


猛烈に忙しい収穫と出荷が終わった。
前回のInside Farming 21で 「もう半月もすれば「ふじ」の収穫が始まる。その中には”木から落下こそしなかったが、枝などですれた傷のある「ふじ」”が大量にあるだろうと思う」と予言した。そしてその通りであった。落下して林檎の絶対量が少ない上に、傷だらけ出荷できない林檎も大量にある。

とにかく、あまりの傷の多さと台風以降の長雨による果実の窒素過多(味に渋味が残る)に、 お歳暮用に予約注文していただいた高級贈答セット用の林檎が不足していまうのではないかというのが一番の心配事であった。足りるか足りないか終始胃をキリキリさせながら、傷がほとんど無い林檎と、窒素が抜けた林檎を選ぶためにいつもの年の倍近い時間をかけて箱に詰めた。

最終的に林檎を何とか確保できたのはラッキーという他はない。
直売を始めて10年、本来ならば忌々しき事態なのだが、初めて注文数が減少したのが幸いしたのだった。注文して下さるお客様の減少は少なかったが、発送する個数を減らしたり、発送先を絞り込むお客様が増えてきている。景気の悪さは消費低迷と一体。台風と不況のダブルパンチだ。(中には「台風の影響が大きかったようなので今年は注文を自粛します。でも来年はまた注文します」とメールで言って下さったお客様もいらしゃった。感動。そして感謝)。
いずれにしても責任が果たせただけ良かった。

一方、贈答林檎以外の一般市場の林檎価格はどうかというと、ここで価格はかなりの高騰を見せた。”良い林檎”は昨年の価格の2倍から3倍の価格が出ている。とにかく長野県全県で林檎は記録的に不足していて、いつもの年なら値下がりには敏感、しかし値上がりにはほとんど鈍感な市場も今年ばかりは反応せずにいられなかったようだ。
これを商機と捉えて今までは県内の市場では見なかった青森産の林檎が11月から納入されていたのにもびっくりした。お歳暮用の林檎を買いつけている業者の中には、今年に限って青森産の林檎を使うというところもあったようだ。それだけ長野県の林檎は品薄で高かったのだ。被害に遭わず林檎を出荷できた人は千載一遇のチャンスをものにしたであろう。それはごく一部の人であっただろうが・・。

昨年から今年の夏まで続いた林檎価格の低迷と、大きな被害をもたらした今年の台風で長野県の林檎農家の多くが岐路に立たされている。このまま行くのか。止めるのか。
そして、河合果樹園のあるこの波田町でも特に若い(といっても30代だが)経営者は頭を痛めている。このまま行けるのか、行けないのか。(次号に続く)



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