Inside Farming Vol.17 (Japanese) 減農薬への挑戦。クエン酸で殺菌剤を半分に! 農産物に対する安全性重視の傾向はここ数年特に強まりつつある。 もちろん、無農薬で栽培できれば、消費者も生産者も言う事無いのだけれども、日本の気象条件(温暖多湿)では無農薬の林檎は(商品として販売できる品質の果実が)栽培できないと思われる。 そこで、河合果樹園では @ 病気も害虫も少ないように農園管理をしっかり行い、必要以上の農薬を散布しない。Aバランスの良い土壌を作って病害虫に対する作物の免疫力を高め、農薬を減らしていく。B農薬に代わる自然のものや安全な物質を利用していく。C低農薬にすると、虫や病気の発生する危険が高くなり、生産性が落ちる可能性がある。そこで少しくらい見栄えが悪くても、おいしくて安全ならば買ってくれる顧客を確保する。 という4つの方向性で低農薬栽培に挑戦してきた。 (−「林檎についての質問」のページ「なぜ無農薬にできる作物と、無農薬にできないけれど低農薬にできる作物があるのですか?」−参照−) 実際に河合果樹園では1989年から、同じ薬剤の散布でも10a当たりに散布する量を30%減らしてきた。1990年以降は地域の病害虫対策指導基準の防除回数13回に対して9回、多くても10回の散布で栽培してきた。1996−1997は有害な昆虫が林檎園内で増えないように交尾を阻害するフェロモン剤を利用して散布する殺虫剤を減らす実験園と、それと平行して防除回数を8回、多くて9回にする園を決めて実験もしてきた。 そのほとんどの挑戦に対して成果が得られているが、1996−1997フェロモン剤利用ではカメムシの発生による果実への被害と経済的損失、油虫の発生、生産コストの増加などがあった。減農薬への効果はあったものの、フェロモン剤を使用しなくても防除回数を8回から多くて9回にする挑戦と減農薬効果は同程度であったため、本年1998以降はフェロモン剤は中止し、防除回数の削減への挑戦のみを継続することにした。(フェロモン剤の名誉の為に言及しておくが、1996年はたままたフェロモン剤の効果の無いカメムシが全国的に大発生した年であった。また、環境の異なる他県や他地域の果樹園ではフェロモン剤使用の効果も出ているところもある) そして今年1998年のチャレンジである。(前置きが長くてゴメンね) 食品添加物の一つとして一般的なクエン酸の殺菌力(とういか水のクラスタ構造を細かくするらしい)を利用した減農薬。クエン酸を農薬に加える事によって農薬(殺菌剤)の量を半分にしようというのである(もともと使用量が少ない上に半分にするので、地域の農家よりも6割減になる)。 世の中にはクエン酸以外の殺菌力のある自然な物質を利用して農薬(殺菌剤)の量を半分にしようという試みもいくつかあるようだが、クエン酸は代表的な食品添加物であるし、人間が水に溶かして飲んだり顔を洗ったりしても有害ではないと言われいる。また、科学的に成分がはっきりしている、というのが選択のポイントである。 いくつかの先進農家の防除暦を取り寄せたり、かつて土壌分析を依頼した親友の果樹栽培技術員に防除暦を作ってもらったりと、準備万端調って、実践開始。 あとは仕上げを御覧じろ!(私自身も成果がとっても楽しみです) Go to Inside farming index page kawai@wmail.plala.or.jp 写真、本文とも Copyright(C) 河合果樹園 |