第六回

試験以降はまるで「アルジャーノン」
 試験が終わってから二日ほどは本当に脱力していた。果樹園の仕事も台風の影響でずっと多忙を極めていたし、最後の追い込みをしようという試験の前日にはご近所に火災があり地元消防団の私は夜の11時まで消防活動をしていたという、なんだか笑い話のようなハプニングまであったからだ。

 しかし、三日目には合否が気にならない訳が無い。解答速報がないかな?とインターネットをうろうろ探しているとLECのホームページ内に速報を見つけることができた。しかしそこには解答の枝番号が書かれているだけ。これでは私には自己採点することは不可能だ。なぜなら行政書士試験の問題用紙は回収されてしまって手元には残ていないのだ。そのため答合わせは不動産法律セミナー12月号(東京法経学院出版)の問題の復元と解説をまで待つことになった。
 その号が発売されるまでの約三ヶ月間は林檎収穫の一番忙しい季節でもあったために試験の結果はなるべく考えないようにしていた。せっかく覚えた多くの法令も反復学習することなく、忘却に任せていた。法令を詰めこんだ速度が速かったために忘却する速度も速いような(まるでアルジャーノンに花束を)印象さえあった。

 でも、それには理由がある。不合格なら心機一転また来年の夏から勉強を始めれば良いと思っていたし、もし幸運にも合格した場合でも、試験で獲得した知識と行政書士の実務とがそれほど結びついていないような印象を受けたからだ。行政書士試験というのはもちろん実務に役立つ法律知識を有しているのか、いないのか、を判定しているのだろうが、それよりも幅広い情報を整理する資質を試されているのかもしれないと感じたのだ。なぜなら他の資格試験のように実務直接結びつく「申請書の書き方」や「有限会社の設立」は出題されず、社会問題についての論述が要求されている。そんな気持ちが勉強を怠らせた。

 けれども、今思えば、もし開業するつもりがあるならこの時期は本当に重要だ。合格通知が来てから開業準備をするのでは半年は時間を無駄にしてしまうし、継続的な勉強の”癖”も途切れてしまうからだ。開業後の仕事の事、自分の専門とすべき分野など、熱が冷めないうちにリサーチするならこの時期ではないだろうか。この時期に具体的な行政書士のイメージが作れなかったことが、私の開業が遅れている原因だと思う。

 で、発売日には本屋へ直行。採点開始だ。
 この頃になるとナサケナイ事だが、問題を見ても自分がどれを解答したか忘れてしまっているという事態になっていた。それでも確実なところで計算すると一般教養は7割近く、法令は5から6割程度、論述は8割ほどの正解だ。やはり難しいという印象を受けた民法のできがイマイチであった。解説にも民法の難易度がかなり高くなった述べられていた。
 
 採点後は、法令の得点が合格ギリギリの所にいるのだろうと感じていた。あとは運まかせ。年を越した合格発表を待つことになる。

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