第五回

試験当日の雰囲気はこんな感じ
 いよいよ試験当日である。
 試験会場の松本合同庁舎に到着すると、すでに結構な人が集まっていた。ロビーで知った顔に出会うが、向こうは気づかない様子。ここは声を掛けるのは遠慮して、そそくさと指定された席についた。
 この会場には180人くらいはいるのだろうか?受験年齢層は幅広いようだが、学生が多いような気がする(信州大学生か?)。30代、40代とおぼしき男性の姿もそれなりにあるが、半数近くが女性の受験者というのは驚きだ。やはり女性の資格習得熱は相当のものなのだと改めて実感する。

 隣の席の女性は先ほどから一生懸命自作のノートを眺めている。私もまとめ(前回参照)を印刷したものを持参して、サーと目を通した。そういえば最後に受けた試験というものは就職試験だっただろうか?それから10年以上のブランク。ひさしぶりに受ける試験というものの緊張感が知らず知らず体を硬直させた。しかし、初めから65点狙いと決めて受ける試験。そう考えると少しだけリラックスできる。

 いよいよ試験開始。
 今まで問題集しかやったことが無かったために、問題の順番が一般常識から始まったのにはびっくりした。問題集の順番ではいつも法令が先で一般常識は巻末にあったのだ。ここでペースを乱してはいけないと思い、日ごろの順番どおり、まず法令問題から取り掛かる。マークシートの位置を間違えないように、充分注意することが大切だ。
 しかし序盤で、得意な(つもり)の民法が難しいのにはまいった。条文知識ではきっと解決できないであろう問題が二問。ガーンと打ちのめされた気分で、ちょっと精神的に不安になる。そこで、この二問は後で時間を掛けて考える事にして、とりあえず法令問題の最後までやり通した。最後までやると、不安のあった行政不服審査法は設問が少なくて良かった!と思ったり、完全に正解がわかる問題が幾つかあって次第に落ち着いてきた。ここでやっと民法の問題を冷静に考えることができた。
 その後、一般常識に取り掛かる。こちらは全般的に簡単な印象。中国の思想と東南アジアの近代史が出題されていたのに少し戸惑ったが、何とか解答できる問題であった(昨年日経新聞で連載されていたスハルト大統領の「私の履歴書」を読んでいたのが良かったのかもしれない)。数学はまずます。物理は見事に引っかかってしまった。

 前半の択一試験が終わると、ちらほらと空席が出た。諦めて帰路につく人たちのようだ。行政書士試験は簡単だ!というイメージだけで受験した受験生は戦も半ばでドロップアウト。私はここで気を抜かず頑張るとしよう。隣の女性も気を引き締めている感じ。時事用語辞典に目を通している。

 いよいよ、論述。ぶっつけ本番で論文を書く。800字がどれほどの長さか、1時間をどう使っていいのか、少々不安な未体験ゾーンへ突入だ。
 問題のテーマは「地球温暖化と環境税について」というもので、環境税導入に賛成か、反対か、立場を明確にして書くというものであった。論述を書くにあたって「地球温暖化と従来の公害との違い」を説明しろ、とか「環境税のメリット・デメリット」に言及しろとか、結構細かい指示がついていた。どうもそれが新しい出題形式だったらしいが、指示が多い分その指示に沿って文脈を考えると問題無く文章の構成はできた。
ただ、時間が足りなかった事を告白しよう。そして、文章も800字には40字以上満たなかった。

 そして、終わった。
 法令問題に若干不安は残ったものの、一般常識と論述は合格レベルだと思い、まあまあの気分。迎えに来た妻に「他の受験生に比べて、貴方だけ晴れ晴れした顔をしているのはなぜ?」と突っ込まれながら、受験会場を後にした。
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