エキスパート編


 エキスパートと言えば、やはり悪雪!特にコブ斜面でしょう。
 最近のスキー場は、整備が進んでいるので、新雪、深雪の斜面は滅多にお目にかかれません。
 また、スーパーパラレルの大ターンは、よほど空いている斜面でないと危なくてできません。(最近のスキー場ではほとんどむり。)
 そこへ行くと、人が滑ればイヤでもできてくるのがコブ斜面です。
 午前中はきれいな一枚バーンでも、午後にはコブコブの斜面になっているといったことも少なくありません。
 いやでもそこを滑らなければならない場面が多いものですが、そこを何事もないように滑っている人を見ると、注目度満点ではないでしょうか?
 コブのエキスパートの滑りをハタから見ると、ポジションを後傾気味にして、コブからコブにポンポンと跳びながら、テールの方でスピードコントロールをしているように見えます。
 また、違うエキスパートは、大きなコブでも膝を思いっきり曲げて、ショックを吸収しながら滑っているように見えます。
 さて、本当にそうなのでしょうか?
 実は、そうではないのです。
 階段をジャンプしながら降りるような滑りは一見派手で格好良く見えますが、スピードのコントロールや方向付けも一瞬でやらなくてはならず、とても体力が持ちませんし、腰や膝への負担も大きいので下手をすると体を壊して二度とスキーができなくなってしまいます。
 また、コブの中で吸収を意識しすぎて、膝を曲げてばかりいると、お尻が落ちた後傾となり、スピードについていけずにコブで飛ばされ、コントロールができないままとんでも無いことになってしまいます。
 また、体全体がつぶれたようになってしまうので、1つ、2つまでは何とかなっても、その先のコブに対応できず、挙げ句の果てに暴走!ということになってしまいます。
 実は、滑っている本人の意識は、外観とは全く違うのです。

コブ斜面1

コブ斜面2
 スタンスは、開脚の方が一見安定感がありそうですが、コブ斜面では左右のスキーが別のラインを通るのでバランスを崩しやすいのです。
 また、コブ斜面では瞬間的なスキー操作が要求されることや、コブからのショックを全身を使って受けるために、閉脚での同時操作とした方が有利な場合が多いのです。
 さらに、コブから受けるショックや刻一刻変化する斜面の状況に即座に対応するため、スキーを振り出さないように気をつけながら、スキーを体の真下に置き、肩幅の範囲で操作するようにします。
 コブの状況に応じて、体軸が頭のてっぺんから踵までしっかり通るように気をつけながら、重心を前後に移動させますが、絶対に後傾にならないよう、手を絶えず前に置きストックを前方へ突くようにします。
 ストックを強く突くと、反動でかえってバランスを崩す場合があり、また、突いたストックが後方に残ってしまうと上体が開いて、遅れてしまう原因となるため、軽く突くようにし、突いた後はレバーを倒すようにストックを前に倒すようにして、腕が後ろに残らないように気をつけます。
 そのようなポジションでコブから受けるショックを、足首、ヒザ、腰を曲げることによって行いますが、吸収を意識しすぎると、雪面への力の働きかけが無くなりスピードコントロールができなくなるため、ある程度のショックをブレーキングに生かしつつ、余計なショックをうまく抜きながら膝を先行させて次のターンに入って行きます。
 また、吸収のために足首、ヒザ、腰を曲げるためには、その前に伸びていないとなりませんし、出来るだけ長い時間雪面への力の働きかけをするために、エキスパートスキーヤーは、曲げた足首やヒザ、腰を「伸ばす」ことを意識しています。
 特に、腰は前方に押し出すように意識しながら伸ばしていくことによって、後傾を防ぐことができ、柔軟で素早い脚部の曲げ伸ばしが安定した滑りを可能にします。
 ライン取りは、始めのうちはコブの中腹部分を狙い、ストックをコブのトップに突くようにした方が楽です。
 コブの中腹部分では、接地面積が少ないため、比較的スキーは回りやすいので、スキーを回そうとしなくても、上半身と下半身のひねりを使い、曲げた足首やヒザ、腰を伸ばしながら、外足でしっかりと雪面をとらえつつ次のコブに向けてスキーの方向付けをするだけでコブを攻略することが出来ます。
 はじめのうちは、コブの中腹部でコブを削るような意識を持ち、ズラシの要素を使いながら、ゆっくりと回していくと、スピードコントロールが確実に行えます。
 くるっと回してから横ズラシでは横方向からのショックが大きく、バランスを崩しやすいため、ゆっくりとズラシながら回すように気をつけます。
 スキーのトップのインエッジからコブに当たってゆき、スキーのセンター辺りではフラットにして両足でコブのショックを受け止め、スキーの長さを十分に生かしながら次のコブに入ってゆくことに心がければ、ズラシの要素の少ないスピードコントロールも可能となってきます。
 慣れてきてスピードも上がってくると、結果として、空中に飛び出すこともありますが、意識としては絶えず雪面を捉えながら回し続けるように滑ることによって、短い時間でのエッジング、スピードコントロールができるのです。
 それから、コブ斜面で一番大切なことは目線を遠くに飛ばして、先々の状況を的確につかみ、それに対応する準備をするということです。(私が以前数えたら5〜6個前のコブを見ていました。)
 まずは、あまり斜度がきつくなく、コブも適度な大きさで、卵ケースのように規則正しく並んでいるところを探して、ゆっくりとしたリズムで練習し、徐々にスピードを上げて行くようにしてみましょう。
 コブ斜面ではベンディング操作が基本と言われることが多いですが、ベンディングにこだわる必要は全くなく、時にはテールジャンプのようなターンのほうがコブに合わせ易く、有利なこともあります。
 また、どうしても不規則なリズムのコブや深くえぐれたコブがある場合は、その手前で十分に減速して、振り幅の少ない素早いリズムのターンを入れたり、ジャンピングやエアターンなどで処理したり、コブの溝を避けた頭の部分でターンをしてからその後のコブに合わせていくといったように、リズムを変化させることによって、全体としてラインを外さない滑りができるようになります。
 つまり、コブの状況に合わせて、持てる技術を総動員して、コブに挑むことが、コブ斜面攻略の秘訣です。
 絶対にやってはいけないことは、気後れして、腰を引いてしまうことです。
 斜度がきつかったり、コブが大きい場合などは、どうしても気持ちが後ろ向きになりがちですが、そういうときこそ意識して手や体を前に持っていき、次のコブを早目にとらえようと意識しましょう。
 イメージどおりの滑りができるようになってくると、コブが可愛く見えてきますよ。

 どうも、スキーを言葉で表現するのは難しいのですが、少しでも感覚が伝われば幸いです。(^^;
 とにかく、見本となる滑りを見つけて、後ろについて技術を盗むのが一番だと思います。
 もし、質問や疑問がありましたら、jh8_vvn@hotmail.comまでメールをください。
 解ることはお答えしたいと思います。

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