◆池田真理子ワクワク報告
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公的医療保険制度そのものが問われている   (08年6月1日)

 東久留米市の私が住む地域での後期高齢者医療制度をテーマにした小集会に参加。

 政府の「若い人に負担させられない」という説明に、「今の高齢者も現役時代は病院に行かずに高い保険料を払い続けてきた。退職し高齢化して病気が出てくるようになった。そのときにまた、若い人には負担させられない、自分たちでお金を出せというのか」との発言がでました。

 医療保険財政の困難は、国庫負担を30%から25%へと削ったこと、若い人たちの雇用の非正規化などで企業の保険料負担が減っていることなどによるものです。その政治の責任を不問にし、世代間の対立をあおるやり方は卑劣です。

 改めて公的医療保険のあり方が問われています。

 80年代以降の公的医療での国民負担増で、いざというときのためにと民間の医療保険への加入がひろがっています。すでに、国民の公的な健康保険料の支払い約16兆円にたいして、民間の医療保険などへの支払いが26兆円と上回っています。背後には、公的医療を縮小させ、混合診療や株式会社参入で新たなもうけ口を求めるアメリカと日本の財界の圧力があります。

 「民間医療保険は誰でも加入できるとテレビで宣伝しているが、実際は私のように障害をもっているとまず入れない。保険料をとるだけとって実際には支払われないことが多い。医療が営利事業であっていいのか」。さらに、「30歳の娘が、給料が少なく、国民年金と国保料を払う余裕がない。将来、確実に保障されるあてもないのに払う気になれないという。それに対して、若い人に説得力あるものを示せない。根本を直していく努力が並行して必要ではないか」などの発言も。

 後期高齢者医療制度を契機に、公的医療保険制度をどう立て直すのか、税金の使い方、若い世代の雇用のあり方の転換が、議論され始めていると感じました。


地域を支える「人情」      (08年6月2日)

 東久留米市の商工会幹部の方の和菓子屋さんを訪ねました。店内でお茶をいただきながら、懇談。さすがに有名なお店だけにお客さんがつぎつぎに入ってきます。驚いたのは、遠くの商店街の店主が、わざわざ買いにこられたこと。「こうして互いの店で買うんだよ。こういう人情が地域を支えているんだよ」。

 和菓子作りは大変な職人仕事です。毎朝4時おきで作業が始まります。大型スーパーやデパートなどに納品を求められると、寝る時間もなくなるそうです。

 地域に根付いた小売店だからこそ、地域の様子はよくわかるといいます。小規模な業者がその力を発揮できるように、商店街を計画的につくるなど、行政の攻勢的なイニシアチブが必要との意見でした。業者仲間で知恵を出しながら、市の巨大イオン誘致と正面からたたかっておられます。

 アドバイスもたくさんいただきました。


「族譜」 ― 歴史認識の軽さと重さ      (08年6月3日)

 青年劇場の演劇「族譜」を鑑賞しました。これまでずっと観たいと思っていたものです。

 日本が、植民地支配下の朝鮮で強制した「創氏改名」がテーマ。1940年ころから、中国への侵略戦争に朝鮮人を動員するために、「内鮮一体」「皇国臣民化」をスローガンに、学校では日本語しか教えず、日常生活も日本語を強要。さらに名前まで日本式に改めさせます。もし、日本と朝鮮が逆の立場だったら、私たちはどう感じるでしょうか。

 演劇で出てくる族譜は、一族の代々の当主が家族の系譜と何があったかを記録したもの。そこには、豊臣秀吉時代の野蛮な侵略のもとで、一族がどう命をつないだかも記されています。「創氏改名」を強制された当主は、その「族譜」を示して、この祖先とのつながりを断ち切るわけには行かないと、苦しい思いを訴えます。

 対応する朝鮮総督府の若い日本人担当官。気楽に考えればいいと、日本式の名前まで考案してみせます。拒否する当主に、こわもての軍人が凶暴なおどしで迫ります。結局当主は、学校から閉め出された孫のために改名届けを出し、「族譜」に一族が断絶したことを記して、自殺。

 民族の、そして人間の誇りをかけて苦しむ朝鮮の人々の心の重み。それは現在の在日の人たちの日本名にもつながっています。一方で無反省なままの日本人の認識の軽さ。自民党の麻生太郎氏の「創氏改名は朝鮮人が望んだこと」という発言にもあらわれています。

 脚本を書いたジェームス三木さんが舞台挨拶。「36年間にわたる日本の朝鮮に対する植民地支配が、歴史教育できちんと教えられていない。その歴史の空白を埋めたい。文化は国を超えて最短距離で交流できるもの。そういう芝居を書いていきたい」。期待しています。


青春爆発の運動会     (08年6月7日)

 きょうは、4月に中学生になった息子の初めての運動会。楽しみに出かけました。

 小学校の運動会に比べて、体格も運動能力もパワーアップして、迫力満点。学年別の全員リレーや大ムカデ、大縄跳び、いかだ流しなどのチームプレーも、見ているだけでワクワクします。

 この日に向けて、雨にたたられながらも、早朝練習や放課後練習もこなしてきました。閉会式では、結果を発表する女子生徒が感極まって涙声に。「最後までがんばれ!」の掛け声もかかり、ああ青春だなとまぶしく感じます。

 息子は、母親のカメラ操作ミスで、自分ががんばった決定的瞬間が一枚も撮れていないことを知り、「僕の青春を返せ!」と叫んでいます。


東京商工団体連合会総会であいさつ    (08年6月8日)

 東商連は今年創立60周年。第62回定期総会であいさつさせていただきました。

 日本の全事業所の99%、労働者の75%が中小企業です。この日本経済の主役が、自民・公明政府の「構造改革」で不良債権処理の対象になり、国民への増税・負担増で消費と需要を冷え込まされ、いままた「投機マネー」で原油・原材料・食糧などの高騰に追いつめられています。

 婦人部協議会の「08年業者婦人実態調査」では、「商売だけでは食べていけない」が54%、「所得200万円未満」が36%。07年中小企業白書によれば、1986年をピークに企業数が100万以上減少、なかでも小規模事業所がこの10年間で約半数が廃業に追い込まれました。

 今年の中小企業対策予算は、わずか1761億円。1企業あたり4万円程度。一方在日米軍への「思いやり予算」は、2083億円。米兵一人当たり500万円以上です。石原都政も、都心再開発や東京オリンピック誘致に狂奔し、築地市場移転や石原銀行にみられるように、都民がつちかってきた経済活動を足蹴にする態度です。今の政治の責任はあまりにも大きいと思います。

 でも、しっかりと声を上げ、助け合う組織があることは、何よりもうれしいことです。地域に密着し消費者に密着しているからこその強さもあります。新たな前進を願っています。


習熟度別授業は、学力向上につながるのか   (08年6月8日)

 東久留米市の教育問題を語り合う会に参加。多方面から今学校で起きていること、子どもたちの様子などが発言され、大いに学ばされました。

 さもありなんと感じたことの一つは、習熟度別授業の問題。小学校の算数、中学校の数学はクラスが能力別に編成されています。しかし担当教師間で十分協議されることもなく、単に子どもたちを振り分けることで、低学力の固定化につながっているのが現実のようです。分数計算ができないまま置き去りにされた中学生も多いとのこと。

 昨年、息子が小6の時、学校公開日に算数の習熟度別授業を参観しました。2クラスをABCの3段階に能力別編成した授業。Aクラスは参観の父母を前にはりきって「はい!はい!」と挙手をし、Cクラスでは子どもたちが凍りついたように下を向いていました。子どもたちの心を傷つける習熟度別授業の弊害を見せ付けられた思いでした。

 互いに助け合い解り合う授業を排除した結果、習熟度別授業についてのアンケートで、「できない子」とレッテルをはられた子どもは「一番下のクラスが楽」と答え、「できる子」は、「上のクラスだとできない子を待つ時間がなくなって良い」と答えたそうです。息子も、「○○君といっしょのクラスだから、僕はできるほうだよ」と友だちと比較して自分の位置を確かめていました。そして「学校は競争させるからいやだ」とも。

 習熟度別授業は、きちんと検証すべきです。一人一人の学力を保障するうえで一番有効なのは、少人数学級にして、教師の目を行き届かせ、子どもたちも教えあえるようにすることではないでしょうか。やっぱり30人学級こそと思いました。


父母の教育負担を軽減すべき   (08年6月9日)

 昨日の教育を語る会の二つ目の論点。子どもと子育て世代の貧困が広がる中で、教育費用の負担軽減の必要性が共通して出されました。

 私の息子の中学校の場合、1年生の学校納付金は、副教材費(資料集、ワーク、問題集など)2万2593円と学年諸費用(記念写真代、PTA賠償責任保険、諸雑費)2092円で、公費負担分を除き合計2万2875円(昨年度実績)。これ以外に、息子の中学校入学以来の購入費用が、制服(夏・冬)、体育着(夏・冬)、体育館履き、上履き、アルトリコーダー、ノート類、美術用鉛筆などざっと10万円。年度末までに合わせて15万円はかかるかもしれません。

 近所の方が小学1年生の子の1年間の教育費用を記録してくださいました。学校集金が1万3590円、家庭で購入したランドセルや防災頭巾、体操着、上履き、文房具などが6万1315円。合計7万4905円。これ以外に、小、中学校とも給食費がかかります。「就学援助を申請するつもり」とおっしゃっていました。

 義務教育は、憲法上無償のはず。教育費で苦しめられるのはおかしな話です。高校、大学はもっとひどい。高校になると就学援助もありません。授業料に加えて教科書、副読本、辞書すべてが自前もち。制服代も高くて負担だと発言されました。子ども3人ともが私立の高校と大学に通っている保護者も、「とても大変」と。

 子どもたちの学びはこの国の将来に直結する問題です。教育の機会均等からも収入の格差が学力の格差や差別的待遇につながらないよう、政治が負担軽減と無償化へすすむべきと改めて思いました。


保育園民営化のしわよせは子どもたちに  (08年6月9日)

 教育を語る会の3つ目の論点。相次ぐ公立保育園の民営化の動きについて、「良い民間委託というものがあるのか」と討論されました。

 東久留米市では、ひばり保育園を父母が反対する中、園舎も職員も変える形で民営化。さらに上の原、白山の2つの保育園の民間委託が打ち出されています。ひばり保育園で子どもたちに何が起きたのかを、元園長が語ってくださいました。

 5歳の子どもが母親に話したこと。「お話し会があって、新しい保育園にいっしょに行けるのはA先生、C先生、…だって。B先生たちは行けないんだって。B先生はいっしょに行かないからきらい。お仕事の偉い人って誰?意地悪な社長さん?B先生をいっしょに行かせないんなら、神様に言って叱ってもらえば」。子どもが納得できる説明もないまま強行され、この子どもには5センチもの円形脱毛症ができました。新しい保育園に行きたがらなくなり、「ボロでもいいのに何で保育園を変えるの?前の保育園の前を通りたい」「前の保育園のアルバムを見たい」と苦しんだそうです。

 年長児だけでなく、1歳の子どもも、夜泣きしたり乱暴になったり。職員も少ない人数で引継ぎや新しい園舎で事実上の新規オープンの準備に追われ、結局はそのしわよせは子どもたちにのしかかります。

 安上がりだけの追求で、強引におしすすめられる保育園の民営化。公立保育園が地域で果たしてきた役割、子どもたちの育ちをもう一度見つめなおさなくてはと思いました。


市民主役の狛江・矢野市政を守ろう    (08年6月11日)

 22日投票で狛江市長選がたたかわれます。同時に市議会議員の補欠選挙も。きょうは、その補欠選挙に日本共産党から立候補する岡村しんさんと街頭で訴え。

 市長選は、4期目をめざす矢野現市長と、自民党系と民主党系候補の三つ巴になります。自民、民主とも矢野市政への批判に事欠いて、「4選は長い」と言い立てているようです。

 でも、矢野市政の12年間をふりかえると、市民と市長との共同作業で、くらしを守る安心の市政にきりかえてきた歩みだとわかります。前の自民党市長が賭博三昧の挙句に逮捕され、市民無視の市政は300億円以上の負債をかかえる異常事態。この市政を立て直すにはと党派を超えて市民がおしあげたのが、当時日本共産党の市議会議員団長だった矢野ゆたか現市長です。誠実な人柄とスジを通すがんばりが買われました。

 矢野市長は、市民のくらしと福祉、教育や安全を守る立場を確固として守り、市民のもとに足を運び、声を聞き、柔軟にその意見を取り入れ、財政再建と市民サービス向上に努めます。政府からの交付金の削減の中で大変な苦労だったと思いますが、自らの給料を大幅カットし市職員の給与も相談のうえカット、市民の協力も率直によびかけて、借金を52億円も減らしました。

 市民サービスも、介護保険料の減免を全国に先駆けて実施、子どもの医療に無料制度も多摩地域ではトップクラス、学童保育は東京一の確保率などすぐれた施策をうちだしています。「音楽の街」づくりもすばらしい。

 市民が主役で市長を真ん中に市民の共同で歩んできたのが狛江の市政です。こうした住民自治の本来の姿は、ずっと続いてほしいものだと思います。

 岡村しんさんは、30歳。狛江で育ち、若者のグループ「狛っ子」のリーダーです。ぜひ当選して矢野市政を支えてほしい。そう願っています。


雨と炎天下の座り込み、お疲れ様です         (08年6月13日)

 後期高齢者医療制度廃止法案が参院で可決されたのに、提出者の民主党などが審議ボイコットで、衆院で宙に浮いた形。自民・公明政府をおいつめた国民の願いを、民主党は裏切るのでしょうか。自民党と根っこは同じ民主党の地金がまた出てきました。

 一方、困難にも負けず、たたかい続ける高齢者や医療関係者、民主団体。この制度廃止をめざす東京連絡会の国会座り込み行動は、20日目。のべ1500名近い参加だそうです。私も初めて座りましたが、炎天下でたまりません。これまで雨と日照りの中をよくぞと思いました。

 みなさんのリレートークを聞き、保守層の中にも怒りの行動が広がっているのがわかりました。


「予算の無き子 高齢者を歌う」        (08年6月13日)

 夜の「すぐにやめてよ 後期高齢者医療制度・清瀬市民集会」とパレードに参加。

 そのとき、いただいたのが、表題の詩。歌人与謝野晶子が、日露戦争に参戦する弟を嘆いて歌った「君死にたまうことなかれ」。高齢者医療の現状を憂え、替えて歌ったものが、「朝日」『声』欄(5月26日)に投稿されたものです。快作だと思いませんか。


国民の命を削るのではなく、軍事費を削れ  (08年6月14日)

 多摩市の日本共産党演説会に参加。村松都議、古橋小選挙区候補、小泉前参議員とともに訴えました。党の基地対策責任者でもある小泉さんは、日本の軍事費の実態やムダ遣いの異常さを告発。道路特定財源と軍事費は、本格的に国民のメスを入れ、社会保障財源にしなくてはと改めて思いました。

 「軍事予算4兆8千億円は世界で5位。憲法9条をもつ日本がなぜ5位なのか?」の問いかけは、本当にそのとおりと思います。主力兵器のほとんどがアメリカ製。対ソ戦のための兵器をいまだに買い続けるなど、政官軍関係者の利権あさりの場になっています。

 驚いたのが、3兆円規模の米軍基地再編への税金投入の実態。グアムに米軍海兵隊基地を建設する費用を日本が1兆円規模で支出すると申し出ています。3500戸の米軍住宅を1戸7200万円かけて建設、水、電気、廃棄物処理など、軍事要塞化を肩代わりする予定です。

しかし小泉さんが現地で調べたところ、島内にある建物で、1戸7000万円以上のものは丘の上のスペイン風大邸宅一軒のみ。しかも土地代含めてです。米軍住宅は、土地代はかかりません。どれほど豪華な建物を3500戸もつくるつもりなのでしょうか。もう建てないといっている都営住宅は、1戸当たり1000万円もかからないそうです。

 「思いやり予算」は、この国の政府の卑屈さそのものです。後期高齢者医療制度で国民の命を削るのではなく、無駄な軍事費を削ろうではありませんか。


元気な赤ちゃんが生まれますように    (08年6月15日)

 午前中、日本橋三越前と水天宮で宣伝。

 三越デパート内では、「赤毛のアン」の作者生誕100周年を記念する特別展示会に長蛇の列。宣伝では、ベテランアナウンサーの村田さんが驚くほどチラシがよくはけ、日陰で最後まで聞いてくださる方もいました。

 水天宮は、「犬の日」で、若い夫婦連れがやはり長い行列をつくっていました。犬にあやかり、安産を願って、妊婦が5ヶ月目から腹帯をしめます。そういえば私も義母がこの水天宮で安産祈願をした腹帯を贈ってくれたっけと思い出しました。

 小栗区議と、赤ちゃんが無事に生まれ健やかに育つことを願い、妊娠から出産、子育ての経済的負担の軽減、仕事と子育てが両立できる環境作りなど、党の政策を訴えました。

 二つの行列の、人間のやさしさとささやかな幸せを大事にする姿にふれ、気持ちもなごみました。


いまなぜ『蟹工船』がベストセラーなの?  (08年6月15日)

 日野市高幡台団地の「日本の今と未来を語り合う会」に参加。

 この団地では、UR(旧公団)が、高層73号棟を「解体・除却」することを突然うちだし、住民の反対運動が起きています。貧困と格差が広がる中で、安心・低家賃の公共住宅が今ほど必要な時はありません。それなのにURは、10年間で5万戸削減を計画。住宅は人権です。住宅を民間市場に明け渡す国と東京都の態度はあまりにもひどすぎます。

 「語り合う会」での話題の一つが、表題の『蟹工船』ブームについて。新潮文庫だけで130万部です。国民の100人に一人が読むことに。どこの本屋でも平積みです。売り場のキャッチコピーに、すっかり感心しました。

 「小林多喜二再発見―没後75年。現代の『ワーキングプア』にも重なる過酷な労働環境を描いた名作が、平成の『格差社会』に大復活!!若い労働者の圧倒的支持!命を削るような過酷な労働。働けど働けど抜けられない『糞壷』と呼ばれる現場。つぎつぎと過労と病に倒れる『木の根っこのような』若い雑夫たち。そしてわずかな報酬と暗澹たる生活―地獄の労働船『蟹工船』に出口はあるのか?」

 「蟹工船」に労働者を送り込むのも「周旋屋」。人身売買・派遣業者です。戦前の労働者の無権利状態と、今日の日雇い派遣をはじめ「規制緩和」の下での無法状態が重なります。若い人たちと一緒に「出口」に向かいたいと思います。

 『蟹工船』は小林多喜二26歳の作品です。私が好きな作品は、特高警察により29歳で虐殺される前の最後の作品『地区の人々―火を継ぐもの』。小林多喜二が育った小樽の街を舞台に、かつては「地区魂」と称されるほど労働者のたたかいが燃え上がりながら、弾圧により消された火を、若い学生と労働者が満州侵略開始という情勢の下、新たなたたかいで継いでいく姿をえがきます。読んでとても励まされますよ。

ああ父母よ 君を泣く  君死にたまうことなかれ
戦火をくぐりさまよいて  原爆空襲生き抜いて
日本をつくりし君なれば  たとえお上が死ねよとて
老人医療をつくるとも  君死にたまうことなかれ
お上のつくりし決まりでは  療養ベッドがなくなって
そのうえリハビリ止められた  早期退院迫られて
行き場を失う君なるも  この世ひとりの君ならで
君死にたまうことなかれ
保険負担が高騰し  さらに扶養もはずされた
脳卒中と認知症  規制がかかり医療なし
自己負担も膨らんで  在宅死亡が進む日々
ああまた誰を頼むべき  君死にたまうことなかれ

    予算の無き子 (投稿者 医師・池山淳70歳)


一人ぼっちの青年をつくるな   (08年6月16日)

 公務員関係のみなさんの集まりに、松村都議といっしょに参加しました。

 若い方が、秋葉原の無差別殺傷事件について発言。「青年が狂気に走ってしまう事件が相次いでいる。派遣労働者はバラバラ状態、友だちがいなかったり、貧困という問題もある。孤立していなければ、こんなことにはならなかったはず。ネットカフェでネットに書き込みするしか対話がない。都立の青年の家など、青年たちが集い交流できるセンターをもっと増やして、一人ぼっちの青年をつくらないようにしてほしい」。青年自身による真剣な問いかけが、胸にしみました。

 容疑者が携帯電話掲示板サイトに書き込んだ言葉の中には、「掲示板で生きているおれ」「私の価値が、時給1300円から1050円になりました。ますます安い人間に」「みんな俺を敵視している。味方は一人もいない」「ああ住所不定無職になったのか。ますます絶望的だ」「幸せになりたかったな」などと、使い捨てられる派遣労働者の不安、追いつめられていく心情がつづられています

 規制緩和」と「自己責任」論で、人生と働き方について社会的に保障されない、今の若い世代。狂気の犯罪にまで青年を追い込む社会のゆがみが、おおもとから問われています。


障害児教育とはなにか    (08年6月17日)

 障害児教育にたずさわっている方たちの集まりに参加。

 きょうもまたたくさんのことを教わりました。この分野でもまた、乱暴な「改革」のおしつけが、現場で矛盾を広げていることがわかりました。

 軽度の発達障害をもつ子どもたちも障害児教育の対象となり、対象児童は10年前の17万人から90万人に激増しました。しかし専門教師はふえず、多忙と上意下達の管理のもとで、どこでも子どもと向き合った実践が困難になっているとのこと。視覚・聴覚・知的など障害種別を越えて学校統廃合がすすめられ、手話のできない教師が聴覚障害児を担当したり、短期の移動で専門性が育たないなどの事態も生まれているそうです。

 改悪教育基本法のもとで、国の決めた目標を達成させるための教育、「自立」とは「就労」の狭い見方で、過去の職業教育的な内容が強調されている問題なども、報告されました。

 1974年に、全員就学制度がスタートした障害児教育。今改めて、「すべての子どもたちが人間として伸びる権利を持っている。卒業しても人間らしく社会の中で力を発揮できる。障害を持っていても大事にされる」という本来の姿を確認することが大事だと話されました。

 同時に、参加したみなさんは、家庭では、父母として息子、娘の労働実態を心配する身です。「息子は給料が少なく、残業代も払われず、親元から自立できない」「息子夫婦が遅くまでの仕事で結局は孫の世話を引き受けている」。ここでも、アメリカいいなりと大企業中心の日本の異常なしくみを知り、「ここが問題ね」と盛り上がっていました。


病院ベッドの削減は許さない   (08年6月20日)

 東村山市の山口議員と、市内の緑風荘病院を訪ね、病院長と事務長と懇談。事務長が、政府の療養病床大幅削減で振り回される病院の実態を、政府の方針の変遷からくわしく説明してくださいました。

 療養病床は、厚生労働省が医療費の削減をねらい、それまでの診療報酬削減に苦しむ病院に対して「一般病床より少ない医師と看護師で運営できる」「一般病床に比べ、在院日数の制限が厳しくない」と誘導し、2003年8月までに一般病床か療養病床かの選択と届出を迫りました。

 ところが、わずか3年後の2006年2月に突然、医療保険適用の療養病床25万床を15万床に、介護保険適用の療養病床13万床は全廃、という方針を発表します。今年になって医療型は20万床まで残すと手直ししましたが、20万人近い患者が病院を追い出されることになります。

 緑風荘病院は、療養型医療施設(老人病院)として、介護型療養49、医療型療養49、一般病棟164のベッド数。2006年の介護報酬、医療報酬ともの削減、さらに医療型療養病床に「医療区分」1・2・3の3段階(一日あたりの入院料が29万、45万、55万円)の算定基準がもちこまれたことなどで、大幅減収。看護師も争奪戦のなかで13名減少。

 2011年度末には、介護療養ベッドはすべて廃止となります。「今でも病院にいる人は、要介護4~5の重度ばかりで、家族介護ができない人ばかり。どこへ行けというのか」。一般と療養型のケア・ミックス病院と介護療養型老人保健施設への道を探っておられるようですが、政府の方針に振り回される不信感はぬぐえません。「疑心暗鬼」の言葉も出ました。

 「政府担当官は、昔はみな家で死んでいたと説明するが、30年前にもどすのか。最後の医療努力を求めるのは当然ではないか」「都立病院の廃止などあるが、赤字覚悟で国や都がになうべき政策医療というものがあるはず。そこにこそ税金を注ぐべき」「老人医療の無料化が問題だったといい、老人病院を悪者扱いする。財務局主導の『医療費の適正化』がすべてで、ふたを開けると血も涙もない制度。命、健康の理念を立て直すべきでは」。

 医療関係者と国民の思いは一つです。医療の立て直しに国民の共同が必要だと痛感しました。(写真は、20日、久米川駅での憲法宣伝)


「国が決めたことはしかたがないと思っていた」   (08年6月21日)

 清瀬市の中清戸、元町地域の「くらしと政治を語るつどい」に参加。「候補者が来ると言うので、まだどこに入れるか決めていないが、聞きに来た」という方もいて、大いに盛り上がりました。

 介護の現場で働いている方は、介護保険制度の改悪で現場は「危機的だ」と表現。利用者が求めるサービスが「あれもダメ、これもダメ」と制限され、これまで1時間半から2時間で行っていた生活援助を1時間内にすべてやり終えることになり、利用者と会話もできません。家族と同居の利用者は、援助を自費契約せざるを得ない場合も。

 サービス提供責任者も利用者450人に一人、ヘルパー10人に一人の配置で、その事務作業が膨大。職員はやりがいを感じられず、「スーパーのレジ係の方が楽」「介護保険にかかわりたくない」とどんどんやめ、ヘルパーステーションには職員が集まらないそうです。医療制度とともに、介護も抜本的な見直しが必要です。

 つどいでは、この悪政を転換できるのかと、さまざまな角度で語り合われました。

 「今まで署名なんて効果はないと関心をもたなかった。でも、年金者組合に入り、いやいやながら、初めて後期高齢者医療制度廃止の署名に立った。驚いたことに断ったのは3人だけだった。今まで国が決めたことはしょうがないものと思っていた。本当に効果があるのか、今度の選挙が大事だ」。一方で、「消費税署名をとりくんできたが、見向きもしない人が多い。なかなか話にならない。先は暗いのでは」という方も。

 そして「共産党の綱領を読めば展望が出てくる。消費税の一方で大企業減税がある。日米安保条約があり、思いやり予算がある。安保は廃棄しなくてはならない。貧乏は自分の責任ではなく、政治の責任だ。暮らしを守るためには、党の綱領を読み、憲法を読んでほしい」と熱く語った人も。

 つどい終了後、お一人が入党してくださいました。「1年ほど前から入ってもいいと思っていた」とのこと。大歓迎で、記念撮影。


学校の耐震化を急いで    (08年6月22日)

 武蔵村山市と東大和市の二つの懇談会をはしご。そこで共通の話題になったのが、学校の耐震化の問題。

 中国四川省大地震では、1万3千の学校が倒壊し、衝撃を与えました。日本でも岩手・宮城内陸地震が発生したばかり。20日に文部科学省が、全国の公立小中学校の校舎や体育館約13万棟のうち、耐震性のない建物が全体の33%、4万3千棟にのぼると調査結果を発表。倒壊の恐れは1万棟以上です。

 東大和市の懇談会では、最近までPTA会長をしていた方が、「子どもの命を守るのは待ったなし。東京で地震が起きる可能性は強い。今ある財政のどこをどう使うか、優先して考えてほしい」と発言。

 今国会で、日本共産党も提案に加わった学校耐震化促進法が成立しており、今後3年間、耐震補強工事への国庫補助率が2分の1から3分の2に引き上げられます。私も、この件については、何度も政府に交渉してきました。子どもたちが日中をすごし、住民の避難所ともなる場所です。一日も早い耐震化を、各自治体にも迫りたいですね。

 武蔵村山市の懇談の場には、私は最後まで居られませんでしたが、今野市議の説明を受け、備蓄倉庫の現状、地域自治会の役割などについても語り合われたそうです。

 地球温暖化は、異常気象をもたらし、国連も「熱波、洪水、旱魃、台風・サイクロン・ハリケーンの頻度と強度が増している」「歴史上かつてない数の人々が自然災害の脅威にさらされている」と指摘しています。地震や風水害などの自然災害をなくすことはできませんが、被害を最小限に抑えるのは政治の責任です。

 測候所の廃止・無人化は見直し、消防力や被災者支援の強化など、一つ一つ点検が必要だと改めて感じました。


三多摩肢障協のがんばりに元気をもらっています   (08年6月22日)

 三多摩肢体障害者協議会第14回総会であいさつ。私も、この会員です。抜群の行動力と元気さで、粘り強い運動をくりひろげていらっしゃることに、本当に学ばされます。定期的に送られてくる機関誌「おげんきですか」に、私も元気をもらっています。

 障害者自立支援法の応益負担廃止はもちろん、ハンセン病問題基本法や後期高齢者医療制度問題、地域の道路改善やノンステップバス導入など「福祉のまちづくり」のとりくみ、そのための学習会や行政との交渉など、パワフルな活動には、敬服します。

 障害者自立支援法は、政府に負担軽減のための特別対策を2年連続して取らせ、今年の抜本見直しを福田首相に約束させています。もちろん日本共産党の国会論戦とも結びついたものです。

 国連の権利条約が5月に20カ国の批准で発効し、日本政府も批准を迫られていることも追い風になっています。今の自立支援法を廃止し、本当に障害者の権利と平等をすべてにわたって保障するものにするため、さらに輪をひろげたいですね。


大学学費の負担軽減を求め、文部科学省に要請  (08年6月23日)

 東京の民青同盟のみなさんと日本共産党で、文部科学省に対して、①大学の授業料減免制度拡充、②奨学金の無利子化と拡充、③大学予算の増額などを求めました。

 回答はあまりにも、陳腐。学費の減免については、「独立行政法人や地方公共団体で適切に実施されていると判断している」「私立大学で自主的に行うべきこと」。予算の増額も、「経済財政諮問会議による骨太方針で決まること。対前年比マイナス1%の枠で努力するしかない」と、まったく他人事です。

 奨学金制度にいたっては、「借りたものは返すことを学んでもらう教育的価値」から給付制度はおこなわないとのこと。世界の趨勢である高等教育の無償化に対しても、「高卒後に就職し税金を払う人がいる。大学の無償化は税負担の公平性からできない」。

 要請時間をわずか「30分間」に限定する態度をふくめ、これが日本の未来を左右する教育行政をになう省庁の態度かと暗澹たる気分になりました。

 私も、この交渉にむけて知人の子息の大学、高校の学費負担(授業料や教科書代などふくむ)の実態を聞き、負担軽減は緊急不可欠だと痛感しました。Tさんの場合、小中学校で就学援助を受けていた子どもが都立高校に入ったとたん、初年度で30万円を超える負担です。私立高校1年、私立大学1年、私立大学3年の3人の学費を負担するMさんの場合、年間325万円。「世界一高い」学費が、どれほど重石になっていることでしょう。

 今、子育て世代に貧困が広がっています。小中学校で就学援助をうけている子どもたちが2~3割。でもその先の高等教育に、まともな軽減策や直接助成がないのでは、「教育の機会均等」とは言えません。1970年頃年間1万2千円だった国立大学授業料も、今や53万5800円(標準額)です。

 国際人権規約の「学費の段階的無償化」を批准していないのは、日本とアフリカのマダガスカル、ルワンダの3カ国だけ。国連から「なぜ世界第2位の経済力の日本が認めないのか」と勧告されても、無視したままの日本政府。ここでも、国民の大きな声が必要です。

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地球温暖化阻止と、戦争をやめさせること   (08年6月27日)

 労働者後援会のみなさんのあつまり。「地球温暖化問題で、経済活動全体を見直していく必要がある。とくに、軍事費問題がある。戦争は最悪の環境破壊だと思うが、どうか」という意見が出ました。

 たしかにその通りではないでしょうか。20世紀前半は、第一次世界大戦、第二次世界大戦と、2度にわたる世界規模の戦争が荒れ狂いました。その後もベトナム戦争や中東戦争、最近もアフガン、イラク戦争など、絶え間のない戦火が、人間の命を奪い、大地と緑を破壊してきました。日本への2度の原爆投下や核兵器開発のための実験も、放射能を撒き散らしてきました。

 今なお世界の軍事費は年間百数十兆円。今年1月末に、アメリカのシンクタンク政策研究所が、ブッシュ政権が世界一の軍事費を使いながら、温暖化対策に消極的だと批判する報告書を公表しました。

 それによると、2008会計年度のアメリカの軍事予算は68兆円だったのに対し、温暖化対策はわずか7800億円にすぎず、軍事費のわずか88分の1だと指摘。「気候を安定化させるために1ドル当てるごとに、軍隊による安全保障確立に88ドル使われる」と皮肉っています。

 日本共産党は、25日に、「地球温暖化の抑止に、日本はどのようにして国際的責任をはたすべきか」との見解を発表しています。ぜひ読んでくださいね。


若い人たちにもっと声をかけたい   (08年6月28日)

 東大和市の狭山丘陵東部の地域の懇談会。「私は自民党員だが、言いたいことがあって来た」という方をはじめ、多彩な方々の参加で楽しい懇談でした。

 一番熱く語り合われたのが、青年問題。

 アルコール依存症患者の相談にのっておられる方から、「路上生活者の相談が多いが、7割がアルコール依存症。それも若年化している。病院から追い出され、すぐ亡くなることが多い。秋葉原のような事件はいたるところで起こりうると思う。現場は本当に大変で、福祉事務所やケースワーカーも困っている」「地方から出てきて、宿舎のある仕事を探す。その分天引きされて給料はろくにもらえず、絶えず手持ちの金がない。やめれば、明日の仕事がなくてメールで探す。泊まるところもない。自分のことを考える余裕もないほど、青年は追い込まれている」など実態が紹介されました。

 これに対して、「犯罪は許されないこと。『蟹工船』ブームで、先日NHKでも報道したが、今の若者は本物の読み方をしていると思った。青年のそばに友人がいれば、あんな事件は起きなかったはず」という意見や、「最近、若い人に声をかけるようにしている。ちゃんと食べているか、疲れているのではと気になる。もっと横のつながりをつくる必要がある。共産党は、そういうことを強める必要があるのでは」という注文も。

 26日のNHK朝のニュース「おはよう日本」でも、『蟹工船』のメッセージを今の若者がどう受けとめているかを紹介していました。「弾圧にまけずに絶望を希望に変えていく労働者の姿に、自分の解雇も不当だったんだと共感」「苦しい環境の中でも励ましあい困難をともに乗り越えようとする。他人のことを自分のことのように考える人々の姿に心動かされた」。

 ニュースは、他人を思いやり、社会の一員として声を上げることで社会を変えることができるというメッセージが、雇用不安や閉塞感に苦しむ若者を励ましているとまとめています。このニュースを見逃した方はhttp://ratio.sakura.ne.jp/ にアクセスしてください。

沿道から「がんばれ!」の声援     (08年6月30日)

 後期高齢者医療制度の廃止を求める東村山市民集会であいさつ。集会では、東京保険医協会副会長の和田医師から、この制度の問題点について報告がありました。

 和田さんは、75歳で医療を分断することは医者として納得できないことであり、「なぜ75歳で線引きなのか」についての政府の説明は、まったく了解できないものだと鋭く批判。厚生労働省社会保障審議会の特別部会が、後期高齢者区別の理由としてうちだした複数疾患と長期化、認知症、死が近いという3つの心身の特性は、ひねりだしたあとづけにすぎず、本当のねらいは「医療費削減」にあると指摘されました。

 2025年までに、5兆円削減をこの後期高齢者医療制度で捻出するのが目的です。今年度だけで、5000億円規模の政府支出削減のようです。その分は、一体誰が負担するのか、また医療を受けさせないのか。結局は、税金を医療に回さず、現役世代をふくめて、国民全体に負担と犠牲をおしつけるものです。

 「後期高齢者診療料600点」問題では、この制度は、医師会の大きな反対もあり、2年間については、医療機関として従来どおりの選択が可能であり、患者との関係も患者がOKしなければ、従来どおりとのこと。しかし、制度として始まっているため、将来的には義務化される可能性があります。今回「凍結」とした「終末期相談支援料」も、政府は「75歳以上に限ったことが悪かった」と、制度そのものの異常さを反省したものではありません。医療現場から見ても、この制度は「一刻も早い廃止しかない」とのこと。

 和田さんは、「なぜここまで逆立ちした政治なのか」と問いかけ、日本の民主主義が崩れていること、日本の政治に財界が直接口を出し、アメリカの定期的な圧力があることを指摘し、政治の大本を正す必要があるとまとめられました。まったく「そのとおり!」です。

 集会後、市民センターから久米川駅方面に回り、市役所に戻るコースをデモ行進。沿道から時折、「がんばれ!」の声がかかり、隊列から元気に「オー!」のコールと笑い声があがっていました。国民は、絶対にこの制度を許さないし、こんな制度を生み出す政治そのものを許さないだろうと、励まされた一夜でした。