北海道の屋根は多くが、トタン屋根(亜鉛メッキ鋼板葺)となっています。耐雪性を考えるとこれが主流です。
落雪屋根や無落雪屋根など構造上の違いの他 建物の形状や落雪可能場所などの違いによりさまざまな形状と
さまざまな色の屋根を見ることができます。
落雪屋根
切妻屋根 片流れ屋根 寄せ棟 入母屋
無落雪屋根
陸屋根(フラット) スノーダクト屋根
主な都市の凍結深度
都 市 | 凍結深度(p) |
札 幌 | 60 |
旭 川 | 80 |
函 館 | 50 |
帯 広 | 100 |
釧 路 | 100 |
稚 内 | 80 |
小 樽 | 50 |
北 見 | 100 |
根 室 | 100 |
凍結深度とは文字通り凍結する深さのことで、その土地で外気温が最低気温に
なった時、どの深さまで凍結してしまうかという数値で各市町村によって数値が
決められています。これは住宅建築の際、基礎が地中に凍結深度以上に埋まって
いなければ、しばれ上がって住宅が傾いたり、基礎自体や外壁などの亀裂発生の
原因となるためです。道内各地の数値は50a〜120aまでさまざまです。
この数値は建築確認の際に図面及び現場確認を各市町村の建築指導により
行われ徹底されています。
積雪荷重とは雪はもともと雨なのですが雨なら屋根から流れ落ちますが
雪は屋根の形状、状態によって屋根にとどまります。
その「重さ」は想像を超えるもので水が1立方当たり1dは
周知の事ですが、雪は氷にも水にもなる中間物質ですので
北海道で一般的な住宅 延べ床面積40坪で屋根面積25坪を平均
とすると81uとなり雪比重は新雪で0.2〜0.3とされていますので
多少の氷化を考慮して0.4とし積雪1mで(400`×81u=32.4d)
乗用車20台が乗っても耐えられる柱や構造が住宅建築の求められ
それに応えています。住宅が閑散としていた時代にはなかった隣家との
落雪によるトラブル。自分の敷地内に隣家の屋根雪が落ちたとか
隣家の屋根雪が我が家の外壁、窓ガラスを破損したなどのトラブルを避けるため
スノーダクト屋根や陸屋根の住宅が多くなっています。
これらの屋根を採用すると積雪荷重の数字が高くなります。
構造的に積雪に耐えるよう造られていても予想外の大雪などの際は室内の建具などが
動きにくくなったりする為、業者側から雪下ろしを勧められます。
晴れた日には落雪防止や家屋の
積雪荷重軽減のため屋根の雪下ろし
の光景が見られます。バルコニー
などから屋根に登れる鉄製の
点検ハシゴがあります。
地上高8b位ですので危険な作業
です。この作業を業者に発注すると
面積や処理方法(排雪も含む)で
変わりますが3万〜8万位の
費用がかかります。
〔開閉式床下換気口〕
落雪事故はあってはならない事なのですが毎年道内で何件もあるのが実情です。
その内 数件は死亡事故になることもあります。
水道凍結予報と同じく急な暖気の時には落雪注意報が天気予報の最後に
報じられます。屋根の雪下ろしの際に屋根の雪と一緒に落下する事故や
たまたま屋根の下にいて運悪く屋根からの落雪に遭遇し死亡。
などなど豪雪地帯以外で生活する人からは考えられない事態で死に至って
いるのは日本国内の実際の出来事です。
屋根の雪下ろしの際の事故は成人がほとんどで(年輩者の確率が高い)
屋根に命綱をつけて作業していれば死亡事故にならずに済んだのにという
ケースがほとんどです。「屋根の下にいて運悪く」のケースもあります。
小さな子などは落雪の予知など考えませんから親がキチンと屋根の下は
危ない場所であることを教えなければなりません。
水道管凍結で大変なことは水は凍結すると、膨張し水道管を破裂させることがあります。
解氷前に亀裂を発見し設備屋さんに管自体を交換してもらえば費用は最小限に
とどまりますが、ある事例では長期留守中に寒気がおとずれて水道を落とし忘れ
その時、暖房は止めてあり水道管凍結。管に亀裂が入り、急な暖気により解氷され
家は水浸しになっていた。これがマンションの2階の住人の仕業となれば大事です。
1階の住人が2階から水漏れしていると大家さんに連絡され留守中に工事されていた
ということも聞いたことがあります。この場合の賠償問題など大きな問題に発展して
しまうこともありますので気をつけましょう。
凍結した場合
凍結箇所や構造によりますが室内が暖まっている場合、管の凍結部分は極端に
冷えているので特定できると思います。
それらしい部分がない場合は床下と考えて良いでしょう。
凍結している部分(床下の場合、床に接している部分)の管にタオルを巻き
熱湯をかけます。合わせてドライヤーを使用するのも良いです。
熱湯をかければすぐに解氷される場合は少なく管の熱伝導を考えて地道に
やって下さい。これで解氷されない時は設備屋さんに頼むしかありません。
出張費を含めて7千円〜1万円くらいかかります。
毎年1月、2月が水道凍結の時期です。
この期間は夜の天気予報の最後に水道凍結予報が報じられます。
ご存じのように水は −0°から凍結し始めますが水道凍結に関しては
一概に言えません。古い住宅などは床下はもとより室内配管も凍結する
というケースもあり、これに対処するには「水落し」(元栓で水を落とす)
しかありません。1980年以降の正しく施工された高断熱住宅ですと
床下換気口をキチンと閉じれば−25°でも水落しの手間は必要ありません。
北海道では激寒時は暖房は、つけっぱなしですので室内で凍結するというのは
問題外です。一般的に一番凍結しやすい箇所は床下です。
水道管の床下立ち上がり部分を保温材や最悪条件の場合、電熱線などで
被服するなどの工夫がなされます。
〔FF式暖房機〕
〔490L灯油タンク〕
〔集合住宅の灯油タンク〕
〔サーモ付き放出タイプ〕
暖 房 時 期
各地域によって異なりますが平均的な時期としては10月下旬〜4月下旬までの6ヶ月間です。
秋も終わりの頃「昨日、暖房入れたよ」「朝だけストーブつけたよ」などの会話が会社内で交わされます。
道北の稚内方面や道東の根室、釧路方面では暖房を使用しないのは6月〜8月の3ヶ月間だけだそうです。
〔強制排出タイプ〕
〔サーモ付き放出タイプ〕
〔自然放出タイプ〕
パネルコンベクターはセントラルヒーティングやFF式暖房など熱供給機からモーターにより
送られた熱を放出する機器で自然放出タイプ、サーモ付き放出タイプ、フアンによる
強制排出タイプなど色々なタイプがあります。
パネルコンベクター
〔オイルサーバー〕
オイルサーバー(オイルリフター)とは灯油タンクより高いレベルの場所に灯油をくみ上げる機器です。一戸建ての2階部分の灯油供給には必ず設置されています。
1階に燃焼機器があり、そこから全体に熱源供給されている場合は必要ありませんが
2階にボイラースペースを設けたり、2階に違うタイプの暖房機を設置している場合に
必要となります。一般的に2階納戸の天井近くなどじゃまにならない所に設置します。
2g程度貯蔵しフローターにより自動的に給油します。
灯油タンクは18L〜950L までいろいろありますが490Lがほとんどです。
950Lになると法令上、擁壁などが必要となります。
全道平均の一家族でひと冬の灯油消費量は1,888Lだそうです。
490Lタンク(通称:ヨンキュータンク)でほぼ4回給油する計算になります。
〔1,888L ×42円(平均)=79,296円〕かかる計算になります。
北海道などでは寒冷地手当という名目で10月末位に
会社から10万円前後の支給があります。(各会社規定により異なる)
アパートなどは室内に90Lタンク、高層マンションなどは
ガソリンスタンドのように地下タンクを備えるなど様々な形があります。
熱 源
暖房には石油、電気、ガス、石炭、薪 etc いろいろありますがメンテナンスやコスト、安全性など
トータル評価で石油がほとんどです。都市マンションなどは安全性、スペース問題などから
電気、ガス、灯油など
さまざまなエネルギーを使用し、また供給方法もさまざまです。郊外の農家などはコスト面から自分の山から
木を切り出したり、木工場などから貰ってきた木で薪ストーブを使用している家庭もあります。
種 類
ストーブ −石油、電気、ガス、石炭(練炭、コークス)、薪など
蓄熱式暖房−電気
床暖房 −石油、電気
セントラル−石油、電気
(パネルコンベクター、循環送風)
方 式
燃焼機器の分類は下記のとおりです。
解放式────室内の空気を燃焼、排気ガスを室内に放出する
半密閉式───室内の空気を燃焼、排気ガスを室外に放出する
自然排気式(CF式) 強制排気式(FE式)
密閉式────屋外の空気を使って燃やし、排気を煙突で屋外に放出する
自然給排気式(BF式) 強制給排気式(FF式)
この中で一番ポピュラーなのは密閉FF式石油ヒーターです。
新築住宅の石油セントラルヒーティングやオール電化の蓄熱式暖房も
普及率が上がってきているようです。
ドアの主流はアルミです。窓のサッシとは違いドアは
厚さがありますので3層構造になっています。
中にウレタンなどの断熱材をはさみ外気との熱伝導
を遮断しています。昔のアルミドアは断熱材が入って
いないために結露して玄関タイルを濡らす程でした。
右の写真のように最近では木製のドアも目立つように
なりました。木製ですから断熱性能には問題はないの
ですが塗装メンテナンスがやや難です。
サッシのほとんどはペアガラスで樹脂サッシが主流です。
以前は耐久性の高いアルミが主流でしたが熱伝導の
大きさで結露の問題がありました。樹脂サッシも20年
以上前からありましたが夏の日差しによる変形など強度
の問題がありましたが年々改良されて問題を解決し今は
大きなシェアを占めています。
外壁材も色々ありますが、1番使用されているのは
木材のチップをセメントで固めた木質セメント板です。
工場で塗装されているものが多く、耐久性、断熱性や
施工性も良く一般的によく使用されています。
木造在来工法でのグラスウール断熱材施工(柱と同じ105_の厚さがあります。)
断熱サッシ・外壁材
断熱ドア
一番多く使われている断熱材はグラスウールでガラスを繊維状にしたものです。その他に紙繊維のファイバー繊維断熱材や
現場発泡のウレタンフォームなどが代表的なものです。
1.グラスウール
昔からある断熱材で原理として硝子繊維がどうこうでなく発泡スチロールと同じく空気層をどれだけ持てるかと
いうことです。空気層が一番の断熱材であり1970年位は密度8s程度しかありませんでしたが、現在は
10、18、24sと豊富になり北海道では24sが多く使われています。この密度は大きければ大きいほど良い訳では
ありません。大きくなるほど空気層を保つ能力は上がるのですが空気と一緒に空気中の水分も繊維にからみ断熱層で凍結
することもあり、通気性との兼ね合いも考えなければなりません。また施工性も良く大工さんが施工します。
2.ファイバー繊維断熱材
1980年位に登場した断熱材で見た目は掃除機のゴミパックに溜まったホコリのようなものでグラスウールのように
かたまりになってないので当初、天井断熱に多く使われました。後にグラスウールも細かいチップにして天井断熱に
使用されています。ファイバー繊維断熱材の欠点は壁面には接着剤を混ぜて吹き込まなければならないので大工さんの
手には負えず専門業者の手を借りなければなりません。施工性に難点があると言えます。
3.ウレタンフォーム
これは建築現場で専門業者が発泡スチロールの液状体を作り外壁材と内装材の間、天井裏、床下にプレートを貼り付け
床材とそのプレートの間に液状発砲スチロールを注入し、施工後、数時間で固まります。(冷蔵庫の断熱性能に近い)
ファイバー繊維断熱材と同じく施工性に難点ありです。ということはコスト高になるとも言えます。
それぞれの特徴を充分認識しなければなりません。
断熱材
断熱部材を列記すると断熱材、外壁材、断熱サッシ、断熱ドア、内装クロス、カーテン etc いろいろありますが、その中でも断熱性能に大きく関わる断熱材、断熱サッシ、外壁材、断熱ドアについて記述致します。
高断熱住宅と言われ始めたのは1970年位からですが、建築工法や断熱部材の進歩など本当の意味での高断熱住宅が
確立されたのは1980年位で建築業者の経験と断熱部材メーカーの研究により年々進歩し続けています。
高断熱住宅と併記されるのは高気密住宅でこれらは密接な関係があります。気密性を高めることで断熱性が上がりますが
換気との兼ね合いがありこれは結露につながる問題で建築業者はこの3項目のバランスを考え合わせて施工します。
ハウスメーカーや各建築業者がそれぞれに経験とポリシーを持って北海道住宅の建築をし、お客様にさまざまなプレゼンで
アピールしていますがオーナー自身が知識を持ち建築業者の選定をしなければなりません。北海道で確立された住宅は
日本国内で誇れる、選りすぐれた住宅であると確信できます。
ある程度の知識を持っていれば北海道基準の高断熱高気密住宅に住むことが出来ます。
〔薪ストーブ〕