4代目殿堂入り  アニメ総合ランキング第1位

魔法の天使クリィミーマミ

1983年07月01日〜1984年06月29日 NTV系 TVシリーズ全52話
1984年10月28日 OVA第1作 永遠のワンスモア
1985年06月15日 OVA第2作 Long Goodbye

未来永劫、恐らく私が死ぬまで、アニメ1位の座からマミが降りることはないだろう。
私にとってマミは別格であり、これからどんなすばらしいアニメが現れようと、マミを超えることは出来ないだろう。

時は忘れもしない、1991年3月。
友人の家に遊びに言った時、ふと目にした1枚のCDがすべての始まりだった。
「アニメホットウェーブ」
当時はまだ珍しかった、懐かしアニメのテーマソングのオムニバスCDに惹かれた私は、
早速友人から借りて部屋で聴きはじめたのだった。
そのなかに収録されていた1曲に、私の心は奪われたのだった。

「デリケートに好きして」太田貴子

魔法の天使クリィミーマミのOPテーマだった。
一体なぜこの曲に惹かれたのか、今の私は覚えていない。
しかし当時、この曲は私を虜にしていた。

そんな時、4月のある日、私はNTVでちょうどマミが再放送していたことを知る。
まさに偶然だった。

今ならスカパーに入るか、MXで落とすなどの手段で比較的たやすく観ることができるし、
金さえあればDVD−BOXを買えばすむことだ。
しかし当時はそんな環境ではなく、地上波のTVの再放送しか手立てがなかった時代だ。
(もちろん当時にもレンタルビデオはあったが、残念ながらマミは全話ビデオ化されていなかった。)
ちょうど再放送されていたのはほんとうに偶然であったが、
この偶然が私の人生を変えてしまうとは思いもよらなかった。

せっかく再放送しているのなら、OPテーマが聴きたいから観てみよう。
そんな気軽な気持ちで観始めた私であったが、今までにない衝撃を感じたのだった。

第13話「鏡のむこうのマミ」
この回が、私が初めて観たマミであった。
ミラーハウスでマミに変身したためドッペルゲンガーが起こり、鏡のマミが実体化して騒動を起こす、
というストーリーだった。
アニメを観て、これほど心を奪われたのは今までなかった。
いきなり13話から観たので、どうして優か魔法を使えるのか、なぜ変身後のマミはアイドル歌手なのか、
わからないことはたくさんあったが、そんなことがまったく気にならずにのめりこんでしまった。
まずなにより、作品の雰囲気がよかった。
なんというか、温かみがあった。
おまけに少女アニメによく出てくる美少年タイプの彼氏がでてこないのが気に入った。
優の彼氏の俊夫は、男からみても御世辞にもかっこいいとはいえなかった。
それがすんなり観ることができた一因だった。
ネガとポジがかわいかったのも重要だった。
ストーリーもよかった。登場キャラも完全な悪役がいないのもよかった。

これはおもしろい。
その日から、学校から帰ってマミを観るのが日課になった。

なお、意外なことだが、最初は優にもマミにもときめかなかった。
観初めていくらか経った頃、優が好きになり、次にマミが好きになり、
最終的に両方好きになるのだが、キャラ萌えから始まった作品ではなかった。

そして17話から、ついにビデオに撮り始めることになる。
実はそれまで、アニメのTVシリーズを1話1話撮っていくことなど、した事がなかった。
初めてのことであった。
第19話「マミの一番長い日」
第20話「危険なおくりもの!」
など名作も登場しさらに盛り上がり、そして運命の時を迎えた。

第25話「波乱!歌謡祭の夜」
優がマミに変身するところを俊夫に見られてしまう、という回だった。
実はこのとき、某TV雑誌の放送アニメのサブタイトルリストを見て、
既にマミが26話で終わらずに続くことを知っていたが、
なにしろ26話のタイトルが「バイバイ・ミラクル」だったため、
これで終わっちゃうんじゃないの?、とひどく心配していたのだった。
そこへあの衝撃的なシーンを見せつけられて、おまけに次回へ続く、となってしまったため、

「うおー、続きが早く観てー」

という状況に陥ってしまった。
しかしこの日は木曜日。
マミの再放送は月〜木曜だったため、なんと次の放送まで4日も待たねばならなかったのだ。
そのため放送終了から翌日まで丸一日、マミのことしか頭のなかになかった。
というか、マミのことしか考えられなかったのだ。
長い長い4日間が過ぎ、やっと月曜になった。
待ちつづけてようやく観た第26話は、それはもうとてつもなくすばらしい作品だった。
こんなに感動したアニメを、今まで観たことがなかった。
このとき、私にとって忘れることのできないアニメに出会った瞬間だった。

マミの後半は、ほとんどが名作だった。
前半は、マミの芸能界の話を中心にした話や、
魔法を手にしたことで出会うことが出来た生き物との交流を描いてきたが、
後半になると、優の日常の話を中心に描きはじめる。
ストーリーの幅も、優と俊夫の恋愛もの、ギャグもの、特撮もの、サスペンスもの、SFもの、
と魔女っ娘ものとは思えないほどの広がりをみせる。

この頃、マミのCDを買っている。
既に「デリケートに好きして」から、「BIN・KANルージュ」「LOVEさりげなく」の方を好きになっていた。
しかも2nd、3rdとすすむにつれて名曲の度を増していくのがすごかった。
作品だけでも充分すばらしいのに、テーマソングもすばらしく、より名作の度を高めていった。
さらにOVAをレンタルする。
実はこれが生まれて初めてレンタルした作品だった。
「Long Goodbye」を先にレンタルしたのだが、とても気に入り一日に3回も観てしまったほどであった。
さらに「永遠のワンスモア」を観て、再放送の最終回を待たずしてTVの総集編でラストを観る。
しかしこれはあくまで総集編。
TVシリーズの最終回がもう待ちどうしかった。

そして最終回放送の日、事件は起こる。
この日学校は半日で終わり、私は家に帰って放送が始まるのを今か今かと待っていた。
しかし、そこで寝てしまう。
ハッとなって目覚めた時は放送がちょうど終わったとき。
おまけにビデオの予約も忘れていた。
そう。見逃してしまったのである。
わが人生最大の過ちであった。

失意にくれていたところに、さらにとんでもないニュースが飛びこむ。
なんとマミのTVシリーズが8月にLDボックスで発売されるというのだ。
しかし、LDプレーヤーなど当然持っていない。おまけにLDボックスは8万円もする。
とても一介の高校生が買える金額ではなかった。

しかし、ここでまた大きな偶然が起こる。
妹が家でカラオケをしたいといいだし、なんと父がLDプレーヤーを買ったのである。
これには本当に驚いた。
さらに、マミのOVAを収録したLDボックス「トリプルファンタジー」が11月に発売されることを知る。
こちらは1万5千円。
一ヶ月一万のこずかいのうち、5千円貯金すれば買えるかも。
時は高3の受験シーズン。推薦入試と戦っている最中にそんなことを考えていた私はバカだが、
結局予定通り1万5千円を貯めて、発売日にGETすることができる。
そして12月には大学合格を果たす。

そこで私は、親に合格祝いとして4万をねだり、
翌年のお年玉と合わせて8万を揃え、正月にTVシリーズLDボックスをついに購入したのである。
この日、観ていなかった1〜12話と最終回を一気に観て、ついにマミ全話を揃えたのだった。

あれからもう10年以上経っているが、マミの評価はまったく下がっていない。
それどころかさらに上がっていると言ってもいいだろう。
そしてマミによって、アニメの見方が変わったことも忘れてはならない。
今まで作画監督によって絵が微妙に違う、など考えたこともなかった。
マミの総作画監督は川内日出夫さんだが、作画監督の一人である後藤真砂子さんの絵は、
とびぬけてうまくきれいであることを知った。
またその後藤さんとコンビを組んで演出を担当した望月智充さんも、
独特の演出方法でマミの話を一層名作に押し上げてくれた。
望月後藤コンビの作品は、私のなかではそのほとんどが名作中の名作であり、
彼らの存在を知ったことによって、さらにマミは名作の名を高めていったのだった。

また、最終回のエンディングのことも語らねばならない。
今でこそ、最終回のEDのみ違う曲だったり、
OPがなくいきなり本編に入り、EDに今までのOP曲を流すなど、工夫されて盛り上げているが、
当時は最終回のEDも今までと同じに流されているのが普通だった。
しかしマミの最終回のEDは、今までの「LOVEさりげなく」ではなく、
前半のEDテーマだった「パジャマのままで」が再び使われ、
映像はメインキャラのその後が描かれるというものだった。
これは当時のマミファンに大きな反響を巻き起こした。
その反響があまりに大きかったため、当時TV、劇場用に次ぐ第3のメディアとして注目され始めていた
ビデオで続編を出すというところにまで発展する。
それが「永遠のワンスモア」である。
TVシリーズのメインスタッフが再び集結して、
TVの第53話として放送されても何の違和感もない、すばらしい名作が誕生したのだった。
ちなみに「永遠のワンスモア」は、OVA界初のTVシリーズの続編ものであった。
さらに翌年には、第2弾「Long Goodbye」が作られ、
ミンキーモモとともに劇場公開までされたのである。
おそらくマミの最終回のEDがいつもと変わらなかったなら、
OVAの続編は描かれなかったであろう。

クリィミーマミ全話レビュー
TVシリーズ前半 第1話〜第26話
TVシリーズ後半 第27話〜第52話
OVA第1〜2作

私の好きな歌ランキング2007
第8位 美衝撃
第12位 LOVEさりげなく
第19位 BIN・KANルージュ

魔法の天使クリィミーマミ サブタイトルランキング

第1位
第52話(最終回) ファイナルステージ 1984年6月29日放送
未来永劫、どんなアニメに出会っても、「マミ」を超えるアニメはないであろうし、
また「ファイナルステージ」を超えるサブタイトルも、現れないだろう。
今でもマミが「デリケートに好きして」を、涙を流しながら歌うシーンを観ると、胸が熱くなってしまう。
「マミ」をこれまで観てきて良かった、そう心から思える名シーン中の名シーンである。

最終回の作画監督は、もちろん総作画監督の河内日出夫さん。
絵コンテは、チーフディレクターの小林治さん。第1話以来の担当。
そして演出は、向後知一さん。かつて第42話「ママの思い出ステージ」を1回だけ担当。
脚本はもちろん、シリーズ構成の伊藤和典さん。
アニメ史に燦然と輝く(?)「マミ」TVシリーズ最終回にふさわしい面々が揃った。

そんな最終回を、初めて「マミ」を再放送で観続けてきた私は、
なんと最終回だけ昼寝をしすぎて見逃して、おまけに録画もしてなかったという、
我が人生最大の過ちを犯してしまうのだから、笑ってしまうが。

マミが来るのを待ち続けていた立花さんの下に、スタッフが今日のコンサートの入場者数を伝えにきて、
その人数の多さに驚いてしまう。なんと、10万1647人。
そこへようやくマミが到着するのだが、マミはなんとゲストで登場予定であっためぐみさんを排して、
ひとりで歌わせてほしいと申し出て、立花さんやめぐみさんを困らせてしまう。
しかしフェザースターの箱舟がせまっている状況では、一刻の猶予もなく、
めぐみさんのゲストを入れている余裕はなかったわけで、このマミの申し出はしょうがなかった。
(もちろんそんな事は立花さんらに言えるわけなかったのだが)

立花「マミちゃん、頼むよ。だいいち一人でやるったって、衣装替えの間をどうやってつなぐんだ。」
マミ「それは、なんとかなると思います。」  立花「なるわけないだろーが!」
まもちゃん「そろそろ、始めるぞ。」  木所「あっ、ディレクター」
まもちゃん「なんだい?、何があったんだい。」  めぐみ「いいわ、好きなようにやってごらんなさい。」
立花「めぐみ!」  
めぐみ「本物のスターは、わがままなものよ。
 そのわがままにいちいちびびったら、あなたも大物にはなれないわよ。」
立花「そんな理屈があるか!」  めぐみ「あたしは観客にまわるわ。」
まもちゃん「な、なに〜!」  めぐみ「がっかりさせないでね。」  マミ「はい!」

考えてみれば、ここでのシーンは、マミにとって最後の立花さんらとの会話のシーンになるのだが、
それを感じさせないほどやり取りが面白い。
なんといっても、めぐみさんがこの中で一番マミを信頼しているのがいいですね。

その頃俊夫は、いつもマミちゃんのステージになると、優がいない事に疑問を感じていたのだが。
てっちゃんなっちゃんの下には、スネークジョーも久美子さんを連れてマミを観に来た。
スネークジョー、これで2話ぶり通算8度目の登場。久美子さんは3度目の登場。
今回は完全に観客としての役割しかないのが寂しいが(苦笑)。またまだマミの両親だと疑ってますが。
もっと寂しいのは、久美子さんがしゃべらないこと。しゃべって欲しかったなぁ。

雨が止んだセントラル競馬場で、ついにマミのファイナルステージが幕を開けた。
ヘリからのライトに照らされ、馬に乗って登場したマミは(いかにも競馬場らしい演出ですね)、
馬の背中からジャンプしてステージに降り立つと、魔法のマイクを手に、
コンサートの1曲目「BIN・KANルージュ」を歌い始めた
この選曲はベストだと思う。コンサートの1曲目は、明るく盛り上がる曲であるのが一番なわけで、
「BIN・KANルージュ」は、マミの曲のなかでオープニングを飾るに最もふさわしい曲であると思う。

そんななか、俊夫はいつになく静かにマミのコンサートを見ているのだった。
馬から振り落とされたポジとネガは、ステージにようやくあがって、
マミの歌を聴きながら、マミに最後まで歌わせてやりたいと思うのだった。

マミは2曲目に入るとき、光に包まれたかと思うと、一瞬にして衣装を着替え、
ファンも、そして立花さんやまもちゃんらスタッフをも、驚かせる。これはもちろん魔法を使ったのだが、
最後なのだからもうばれたっていいと思ったのだろうか(笑)。

そしてコンサート2曲目は、「マミ」のアニメの中で初めて歌うシーンが描かれた、「美衝撃」。
3rdシングル「LOVEさりげなく」のB面曲である「美衝撃」は、
マミの曲だけでなく、太田貴子のすべての曲のなかでも最高傑作と思う1曲。
そんな「美衝撃」を、この最終回にマミが歌ってくれたことが大変に嬉しく、
「マミ」最終回の評価をさらにあげる一因でもある。
惜しむらくは、この「美衝撃」を歌うマミを、少ししか描いてくれなかったこと。
まあ、マミのコンサートビデオじゃないんだから、仕方のないことだが、
歌は1番とサビの繰り返しまで流れているのだから、もうちょっと描いて欲しかったなぁ。

俊夫は早くも「美衝撃」の途中で、マミを観ることが出来なくなり、
競馬場の建物に入り、パルテノンプロのスタッフに、優の呼び出しの放送をしてくれと頼むのだが、
コンサートの最中に呼び出しなんて非常識だと言われ、却下されてしまう。
そして「美衝撃」の最中に、また雨が降り出してきてしまった。

コンサート3曲目は、「囁いてジュテーム」。
2ndシングル「BIN・KANルージュ」のB面曲である。
「マミ」で使われたマミソングの中では、一番不遇な曲がこの「囁いてジュテーム」であろう。
なにしろアニメの中ではこの最終回にしか歌われていないうえ、
Aメロの途中で作品のAパートが終わり、曲がそこまでしか使われなかった。
それだけでも悲しいのに、名作アニメ総集編、ソングブックカーテンコール、とある「マミ」のCDに、
共に収録されいないのだ。唯一Best Collectionには収録されているが、
なんとイントロにマミのセリフがかぶってしまっており、完全な形で収録されたCDが1枚もないのだ。
なお「囁いてジュテーム」は、「永遠のワンスモア」再発売版のエンディングテーマでもある。

立花さんは、雨が酷くなってきたのを受け、コンサート中止をこのへんから言い出すのだが(苦笑)。
Bパートに入ると、さすがにマミのコンサートを全て流すわけにもいかないので、
ダイジェスト風にアニメでは4曲目の「パジャマのままで」から、
早くもコンサート残り2曲となった「LOVEさりげなく」、と紹介。
しかし立花さんは、残り1曲となるところで、雨がひどく照明機器などに影響が出ているので、
コンサート中止にしようと言い出す。しかしめぐみさんに、
「あなたたち、一体何を観てるの?。よく御覧なさい。誰も帰ろうとしてないじゃない。」
と言い返されてしまうのであった。

そして、コンサートもあと1曲というところまで来たその時、
ついにフェザースターの箱舟が競馬場上空に現れてしまった。
突風が吹き、マミは飛ばされてしまうが、それでも必死にセットにしがみつき、
「ピノピノ、あと1曲だけ」
と叫ぶのだが、ポジとネガは消えてしまう。
そして、俊夫の目にも見ることのできた箱舟で、ついに記憶を取り戻してしまうのであった。
「優〜〜〜〜〜!」

その声の後、マミはステージから消えてしまった。
マミが目を開けると、そこは箱舟の中であった。
もう時間だ、と言うピノピノに、あと1曲だけ歌わせて、と必死にお願いするマミであったが、
俊夫が記憶を思い出してしまったからと、ピノピノはまったく聞く耳をもたない。
その頃会場では、いつのまにか「マミちゃん返せ!」のコールが、怒涛の如く響き渡っていた。

そして、マミの名セリフが。
「あと1曲、あと1曲だけ歌えば、コンサートは終わるんです。
 あたしこのままでは、最後の歌を歌わないうちは、森沢優には戻れません。」

大混乱に陥っていた会場からの、「マミちゃん返せ!」コールを聞いていたピノピノは、
ついに折れ、こうマミに言うのだった。
「僕も、君の歌を聴いてみようか」
ピノピノのこの申し出に、マミは満開の笑顔で答えたのでした。「うん!」

こうして、アンコールのような形でステージに戻ってきたマミは、
本当に最後の最後のマミの歌、デビュー曲「デリケートに好きして」を歌い始めるのだった。
俊夫は、マミが優であることを、完全に思い出していた。
ピノピノもマミのラストステージに華を添えるべく、光の輪を箱舟から出して、
粋な演出をするのだった。

ポジ「だって、この曲が終わったら、あたしたち優とお別れよ。」
ネガ「ポジ〜!、泣く奴があるかよ!。しんみりしちまうじゃねえか。
 お別れだってことはなぁ、俺達がフェザースターに帰れるって目出度いことなんだぞ。
 なんで泣かなきゃならないんだよ。笑えよ、バカ。笑えよ、バカ。」
ポジ「あんただって、泣いてるじゃない。」

涙、涙のラストシーン。泣いてしまったポジとネガをマミは抱えると、
歌の2番の途中で、ファンに最後のお別れのメッセージを言うのだった。
「1年間、応援してくれたファンのみなさん、一緒に頑張ったスタッフのみなさん、あたしは、
 マミは最後までわがままでした。もうお別れの時間です。本当に、本当に今日までありがとう。
 今は、ありがとう以外の言葉は、見つかりません。本当にありがとうございました。」

もう、言葉などいらないですね。あえて語る必要もありません。
このアニメに出会えたことを、心から幸せと思いたいです。

歌い終わったマミは、ピノピノに向けて最後のメッセージを伝えて、光の輪の中に消えたのでした。
「ピノピノ、もういいわ。ありがとう。」
俊夫はその消えゆくマミにむかって、叫ぶのだった。
「優〜〜〜〜〜!」

優「楽しかった。でも・・・」  ピノピノ「でも?」
優「ねぇ、フェザースターってどこにあるの?。また遊びに行けるといいな。」
ピノピノ「どこにもない。ということは、どこにでもあるということさ。
 ほら、いつか水たまりが入り口になったみたいにね。」
優「じゃあ、また会える?」  ピノピノ「それは、君しだいさ。」

こうして、優はピノピノにコンパクトを返し、ネガとポジはフェザースターに帰っていった。
立花さんも、こんな名言を残している。
「彼女は、ミステリーのカーテンをくぐって、伝説の世界に帰ったのさ」

そして、本当のラストシーンに。
優「俊夫!」  俊夫「優!。優がクリィミー・・・」
優「優は優だもん。」  俊夫「うん」  優「(箱舟を指差して)見える?」  俊夫「ああ、見える」
優「ポジもネガも帰っちゃった。」  俊夫「でも、優がいるさ。」
私はこのシーンで流れるBGMが、大好きである。
魔法を返してしまったことにはこだわりはないが、
ポジとネガと別れてしまったことへの悲しみが、この曲にはこめられているように感じる。

こうして、「クリィミーマミ」のTVシリーズは終わりを迎えたが、
最終回のエンディングには、最後のスタッフからの贈り物があった。
そのエンディングには、メインキャラクターのその後が描かれていた。
優が、ノラポジとノラネガを見つけてきて、てっちゃんなっちゃんに見せているシーン。
木所さんが、めぐみさんのマネージャーに戻り、めぐみさんがステージで歌っているシーン。
みどりが、新たに出来た恋人(愛ちゃん)とデートをしているシーン。
守が北海道に帰ることになり、優と俊夫、みどりが駅のホームで見送っているシーン。
スネークジョーと久美子さんが生まれた赤ん坊を、てっちゃんなっちゃんに見せているシーン。
立花さんとめぐみさんが、婚約記者会見をしているシーン。
その記者会見の最中に、めぐみさんが立花さんをビンタしているシーン。
そして最後は、結婚した優と俊夫が、子供2人が遊んでいるのを眺めているシーン。

今では、最終回のエンディングが通常のと違う工夫がされているアニメは、珍しくもないが、
当時はまだ珍しく、最終回でもいつものエンディングで終わるアニメがほとんどであった。
そんな中、この「マミ」のエンディングは、熱烈なファンに好評であり、
のちにOVAでの新作が作られることになるわけである。
(2004年9月28日加筆)
第2位
第46話 私のすてきなピアニスト 1984年5月18日放送
望月後藤コンビの亜細亜堂作品8話目にして、最高傑作。
マミとTV局のAD貴宏との恋を描いた作品。
ただでさえ後藤優&マミがかわいいのに、最高のストーリーと最高の演出が重なった、
マミの日常話では間違いなく最高傑作であろう。

私は、この「私のすてきなピアニスト」を、マミの普通の話での最高傑作と考えている。
ただ、マミを好きな人が、すべてこの話を最高傑作とは思っていないだろうことはわかる。
「マミ」は、優と俊夫がくっつくことが大前提であり、私もこのレビューで何回も書いてきた。
だから私もあゆみや兵藤進ノ介らを許せなかったわけで、この話に出てくる貴宏は別だとは思わない。
しかしこの話は、まさにマミと貴宏の恋を描いた話。
そこが許せない人にとっては、名作とわかっていても最高傑作には押せないところなのだろう。

でも私には、貴宏を許せてしまった。貴宏とマミがくっついてもいい、と思ってしまうほどのキャラだった。
何しろ声優が古谷徹だよ。一般には星飛雄馬かアムロなのだろうが、
私にとってはオレンジ・ロードの春日恭介(時期的には「マミ」より後のアニメだが)。
恭介よりかなりかっこいいけど、ああいうキャラを演じられたら、それだけでもうOKな感じ。
おまけに性格もいいし、マミとの相性もよさそうだし、雰囲気もいいし、言うことなかった。

ただストーリーに話を戻すと、
詳しい人ならミンキーモモ第43話「いつか王子様が」の焼き直しだろうと言う人もいるだろう。
この「私のすてきなピアニスト」の脚本を担当した土屋斗紀雄さんは、
「マミ」の前に放映されていたミンキーモモで、おなじような恋物語を「いつか王子様が」として、
書いていたそうな。つまりマミ版「いつか王子様が」ということらしい。
私はその話を観たことないので、なんともいえないが、たとえそうであったとしても、
この話のすばらしさは変わらない。いいものはいい。それだけのこと。

そしてその名シナリオを、名作に仕立て上げたのが、言うまでもない望月後藤コンビであった。
後藤真砂子さんのことは、もう何度も書いてきたが、
「マミ」作画監督の中で一番かわいい優&マミを描く人であった。
その後藤真砂子さんがこの話を担当してくれたのだから、もうそれだけで名作である。
しかもこの頃はもう「マミ」晩期にあたり、亜細亜堂トータルとしての作品の完成度も、
頂点に達していたわけで、クオリティの高さはもちろんのこと、
演出の望月智充さんも、過剰ともいえる演出を駆使して、観る者を惹きつけた。
望月演出は、そのシーンのたびに語っていこうと思うが、
私の評価では「バイバイミラクル」を超えてしまった、まさに名作中の名作である。

優がマミちゃんにあげるブレスレットを取ってしまったので、俊夫は優を追いかけ捕まえるのだが、
優に「何よこんな安物、返してあげるわよ」と言われて投げつけられてしまった。
このブレスレットが、ラストシーンへの伏線であるのは、言うまでもない。

俊夫のせいでマミの仕事に遅れてしまいそうになり、急いでスタジオに向かったマミであったが、
階段でADの貴宏とぶつかってしまい、貴宏は運んでいた花瓶を割ってしまった。
いきなり望月演出。ぶつかったシーンを、静止画の連続で見せ、印象を高めている。
マミが着ていた服は、2度目のセーラー服。文句なく萌えます。

割ってしまった花瓶は、実は今日のマミの収録で使うものであり、しかも10万円以上するものであった。
マミも責任を感じ、接着剤で割れた花瓶の破片をくっつけようとする貴宏の手伝いをするのだが、
収録の時間がきてしまい、マミは貴宏に後を頼みスタジオへ。
今日の収録は、徹子の部屋ならぬ「育子の部屋」(笑)。めぐみさんと一緒にゲスト出演である。
マミの心配をよそに、なんとか花瓶は貴宏の手で元に戻すことができ、
収録は始まったのだが、なんとめぐみさんが詩を朗読している最中に花瓶は割れてしまい、
めぐみさんは水をかぶって収録は中断してしまった・・・。

スタジオの片隅で、貴宏と花瓶を直そうとするシーンから、早くも2人はいい雰囲気。
一方立花さんは、いまだめぐみさんをマミの付録程度にしか考えていません(苦笑)。
水もかぶるし、めぐみさん相変わらずかわいそう。でも後藤真砂子さんなので、かわいく描いてるのよ。

収録が終わって優に戻っても、貴宏のことが心配な優であったが、
街中の楽器屋の前でピアノを見ている貴宏の姿を発見し、マミに変身して貴宏の前に現れた。
二人は公園に移動し、アイスを食べながら先ほどの花瓶の件で話が弾むのだった。
アルバイトは辞めさせられなかった貴宏であったが、花瓶は弁償することになり、
バイト代から引かれることになってしまったそうな。

ここでも望月演出が光る。
踏切で電車が通過するのを待っている優の姿が、電車の隙間ごしにたびたび見えている。
また噴水のある公園で座っているマミの絵では、体の半分だけ噴水の水越しに見え、
その水越しのほうはちゃんとぼやけた描かれ方をしている。
この水越しの演出は、特に絶対にこうしなくてはいけないものではなく、
観る人によっては過剰と言われてもおかしくない描き方。
マミのアップの時でも、半分が水越しで描かれているシーンは、ちょっとすごい。
しかし一度望月演出にハマると、これがたまらなくなってしまう。
その後のマミと貴宏の会話の時に、映像はネガとポジが映っていて、
しかもちゃんと小さい声でポジとネガも会話しているところも、
過剰といわれてもおかしくない、すばらしい演出といえよう。

アイスを食べ終わった貴宏は、ビルの窓拭きのバイトに行くそうで、
花瓶の責任もあるマミは、貴宏のバイトに付き合うことにした。
夜、ゴンドラに乗ってビルの窓拭きのために上へあがっていく最中も、貴宏とはいいムードのまま。
マミもちゃんと作業着に着替えていて、髪もリボンで結んでいてかわいい。
ところがマミが「流れ星」と叫んだ拍子にゴンドラは揺れて、倒れた時に貴宏に抱きついてしまう。
あわててマミは貴宏から離れ、貴宏は窓拭きの仕事を始めるが、
マミは心臓がドキドキして止まらなかった。俊夫に抱きつかれてもドキドキしなかったのに、
なんで貴宏に抱きつかれるとドキドキしてしまうのか、マミは不思議だった。

もう早くも、この話にマミと貴宏以外のキャラはいらないと感じるくらい、
二人のムードはいいですねぇ。特にマミが貴宏に抱きついてしまったシーンは、
この話前半のクライマックスでしょう。

優はその日の夜、帰りが遅いとてっちゃんなっちゃんに怒られて泣いてしまうのだが、
ここでも望月演出が。映像は優が玄関で泣いているシーンをずっと映していて、
てっちゃんなっちゃんは声でしか出てこない。普通なら3人とも映像にする場面である。

優は部屋に戻り、ずっとマミでいられれば貴宏を含めたみんなに嘘をつかずに済むと思うのだが、
ここでも鏡を見ている優の顔に、鏡の形だけ光が跳ね返って明るくなっている。
これも望月演出。

優は後日、再び楽器店の前でピアノを見ている貴宏を目撃するが、
なんとマミの目の前で貴宏は頭を抱えてうずくまってしまった。
再び公園で話をする二人。そこで貴宏は、ジャズ専門であるニューヨークのバークレー音楽学院に、
ピアノの勉強をしに2年前に留学することになっていたことを告げた。
留学を控え、食事の暇も惜しんでピアノを弾き続けていた貴宏であったが、
ピアノ演奏中に飼っていた猫がピアノに駆け上がり、その衝撃で鍵盤の蓋がさがり、
左手の指5本とも複雑骨折という重傷を負ってしまった。
当然バークレー行きは消滅。それでも貴宏の指はやがて元に戻ったのだが、
今でもピアノを見ると指が動かなくなってしまうそうな。
でも貴宏は、今度は作曲でバークレーに行こうと思い、バイトの金を貯めていて、
もうすぐ留学の費用が溜まりそうなのだそうだ。
そこでマミは一計を案じ、窓拭きのバイトが終わったら、パルテノンプロに来てほしいと告げる。
今日は遅く12時を過ぎると言われたが、それでもマミは待っていると伝えるのだった。

深夜11時過ぎ、ネガとポジの静止を振り切ってパルテノンプロに向かう優。
マミになってプロダクションに着くと、ピアノの鍵盤の蓋を外していた。
そこへやってきた貴宏に、マミは歌の自信をなくしているので、ここのピアノでレッスンしてほしい。
ピアノの蓋は外してあるから倒れてくる心配もないし大丈夫、猫だって連れてきてないからと告げる。
しかし貴宏は、マミの気持ちは嬉しいけど左手は強情で、蓋を外しても同じとという。
それでも右手でメロディーだけならなんとか弾けるかも、とピアノの前に座る貴宏。
深呼吸をして右手で「LOVEさりげなく」のメロディーを弾き始める貴宏。
だが左手は震えが止まらなかった。それを見たマミは「ごめんなさい。私とってもひどいことを」
といって演奏を止めるのだが、貴宏は2年ぶりにピアノが弾けたことでマミに感謝するのだった。

もうこのへんになると、シナリオがすばらしくて、何も書くことないですね。

翌日、マミは俊夫からブレスレットを貰い、これをつけて歌ってくれといわれる。
その際、亜細亜堂作品では2度目の登場となる、マミのきばシーンがありますね。
あの驚くマミちゃんの表情がいいですね。

その日のライブの仕事場にマミが立花さんと行くと、なんと木所さんがマミのカラオケテープを、
間違って持ってきてしまったことで大騒ぎに。まもちゃんはカラオケなしで歌っちゃおうかと提案するが、
ここでマミは名案を思いつき、ピアノの伴奏を提案するのだった。
この局の中にピアノを弾ける人を知っているので、
その人を連れてくる間にピアノの用意をしておいてくれと頼み、マミは貴宏の元へ急ぐのだった。
俊夫から貰ったブレスレットに魔法の力を与えて。

マミは貴宏に、カラオケテープがないので、代わりにピアノを弾いてほしいと頼み、
ブレスレットをお守りに授けるのであった。
貴宏も昨日はメロディーだけで、と反論したが、それでもいいからとマミに言われ、
やってみることに。

そしてクライマックス。マミは貴宏のピアノ伴奏で「LOVEさりげなく」を歌うことに。
ここはまさしく「マミ」屈指の名シーンといえよう。
今まで作品内で曲が流れた時は、レコードをそのまま使ってアニメ用に歌ったシーンはなかったが、
ここでのピアノの伴奏による歌は、まさしくこの「マミ」オリジナルのピアノバージョン。
しかもほぼフルコーラスを歌っている。まさにマミファンは必聴もののシーン。
望月演出も冴えに冴え渡って、得意の回転技を使いステージの上からの絵にしたり、
歌が流れている間に街中の風景や夕日を映して場を持たせたりしています。

マミはルミナスターを持ちながら歌を歌い始め、そして魔法を使って貴宏の左手を動かし、
両手でピアノを弾かせるのであった。
しかし弾いている最中に、ブレスレットは貴宏の腕から外れてしまうが、
もう貴宏は魔法の力がなくても、ピアノを弾くことができるようになっていて、
マミもそれに気付きひそかにルミナスターをしまうのだった。
そして演奏終了。貴宏はピアノが弾けたことに驚き、マミも思わず涙がこぼれた。

貴宏がアメリカへ旅立つ日。優は貴宏を見送りに空港まで来ていた。
しかしマミに変身して貴宏の前に立つことが、どうしても出来なかった。
優「だって、今逢ったら本当の事しゃべっちゃいそうなんだもん。」  ポジ「本当の事って?」
優「私が本当は優で、マミは魔法のマミなんだって。」  ネガ「そんなぁ」
優「だってもう、嘘はつきたくないのよ。」

このセリフは、結構「マミ」という作品の本質を語っている。
優がマミに変身してアイドル歌手をするということは、魔法の秘密を守るために、
俊夫や両親をはじめ多くの人に嘘をつかなければならず、
それが結局フェザースターの魔法がすばらしいことはわかっていても、
優に魔法を手放させる事に繋がるわけである。
TVシリーズの最終回では、ピノピノとの期限によって魔法を手放すのだが、
優が魔法に対して未練を持っていなかったのも、このことによることが大きい。
そしてロング・グッドバイでも、もう一度魔法が持てるチャンスがありながら、
魔法を持とうとしなかったわけで、優がこのときに味わった想いが、
その後の優に大きな影響を与えたのかも知れない。

優がそのセリフを呟いた直後、貴宏は優のほうに歩いてきて通り過ぎていくが、
優はたまらず駆け出してしまう。その優のフードに、
マミが連れていたネガとポジが入っているのに気付いた貴宏は、
「まさか」だけと言い、飛行機に乗って飛び立っていったのだった。

改めてこのレビューを書くために観てみても、すばらしいとしか言いようがない。
それほど完成度が高く惚れ惚れしてしまう。
だから「マミ」はすばらしく、やっぱり永遠に私のベストアニメであると、感じるのであった。
(2004年9月24日加筆)
第3位
第26話 バイバイ・ミラクル 1983年12月23日放送
望月後藤コンビの亜細亜堂作品4話目。

もともとマミは全26話の予定であり、この話が最終回のはずだった。
しかし視聴率がよかったため半年間の放送延長が決まり、中盤3部作の核の話となった。
前話で優がマミに変身するところを俊夫に見られてしまう、というショッキングなシーンで終わっており、
この話は完全な続きとして描かれている。
しかもサブタイトル前に、前話のラストシーンをもう一度流している。こんな構成は、後にも先にもない。

俊夫に魔法を見られてしまったため、魔法がつかえなくなってしまったマミ。
ポジとネガはなんとかして、ピノピノに連絡する手立てを考えていた。

使えなくなってしまったステッキを見つめているポジがかわいいの〜。
そこでテレパシーを使って誰かに声を届けようと、会場(武道館?)の屋根に登り叫ぶのだった。

マミは、ついに歌謡祭で歌うことに。
もちろん歌う曲は、デビュー曲の「デリケートに好きして」。第18話以来である。
しかし、頭の中を先ほどのことがよぎり、途中で歌えなくなってしまった。
すると、今までマミが出会った美也ちゃんを始めとするたくさんの仲間が現れ、マミを励まし、
マミは歌いきることができたのだった。

このシーンは、ものすごい感動的なシーンである。
思えば太田貴子が「マミ」のために歌を歌ったのは、このときが初めてではなかろうか。
今まではレコードを流していただけだが、マミが歌えなくなったシーンは、
まぎれもなくこのアニメオリジナル。
それだけに衝撃的であっただけでなく、貴重である。
また裏を読めばファンタジーのキャラを総出演させたことで、
今後のTVシリーズ後半には、そういったキャラを出演させないという、決意の表れだったのか。

一方、ポジとネガの声は、雄鹿の耳に届き、雄鹿がピノピノに連絡してくれることになった。
その頃歌謡祭は、ついに新人賞の発表の時を迎えていた。
新人賞獲得を信じて疑わない立花。しかし、新人賞は、マミではなく、高田麻美であった。

愕然とし、うなだれてしまったマミ。しかし、神様はマミを見捨てていなかった。
「なお、異例のことですが、審査員特別新人賞として、『クリィミーマミ、デリケートに好きして』」

このシーンも、忘れることのできない名シーンであろう。
新人賞が獲れず呆然としたあと、今度は審査員特別新人賞を受賞し、また呆然とするマミ。
このとき、マミはどういう心境であったのだろうか。

歌謡祭終了後、マミはパルテノンプロのパーティに行かず、タクシーに乗って会場を去るのだった。
「立花さんに言っといて、いろいろお世話さまでしたって。」
この時のマミの表情といったら、もう後藤真砂子さんすごい!、としか言いようがないです。
「バイバイミラクル」は、それこそ名シーンの連続であるが、
特にこのマミが武道館から去るAパートラストから、Bパートまでがとにかくすごいです。
武道館からタクシーで去るときに、窓をたたく俊夫を見つめるマミも、絶品ですね。

魔法が使えないため、優に戻ることすら出来ないマミは、
家に帰ることもできず、あてもなくさまようのだった。
外はいつのまにか、雪が降っていた。

俊夫は、マミと初めて出会ったあの公園に向かい、マミを見つけた。
「帰ろう」とマミを促す俊夫だったが、
魔法が使えないために優に戻れないとしり、愕然とするのだった。
「これからは私、ずっと俊夫の大好きなマミでいられるのよ。
 俊夫は、そのほうがいいんじゃないかしら。」
マミにこんなことを言わせるなんて、俊夫ってやつは〜。

この公園のシーンは、「マミ」前半最高の名シーンといえよう。
完璧を通り越して凄みさえ感じさせる後藤真砂子さんの描くマミと、
しんしんと雪の降る新宿中央公園、もう語る言葉なんていらないほどの名シーン。

その時だった。フェザースターの方舟が現れたのである。
そして俊夫とマミは、吸い込まれるように方舟へ。
この時の、箱舟を見つけてホッとするマミの表情がまたいいです。
また新宿に現れた箱舟がまた綺麗です。小林七郎さんすばらしい。

ピノピノは俊夫に向かってこう言うのだった。
「出来ることはただひとつ。君の願いを、ひとつだけかなえてあげること。」
俊夫は言うのだった。
「マミを、彼女を優に戻してください。」

願いはなかい、地上に俊夫が地上に降り立つと、そこには優の姿が。
ここで望月智充得意の回転技が使われ、カメラが優の周りを回りながら、
徐々にアングルが上がっていき、優の顔が見える演出に。うまいなぁ。

しかしピノピノは去っていったが、なぜかポジとネガを残していってしまった。

もしこれが最終回だったら、総作監の川内氏が描いていたと思われるが、
最終回ではなくなったためか、川内氏は25話の作監になり、
この26話は後藤真砂子さんが担当した。
これは「マミ」にとって、最高の幸せであった。
「マミ」において、最高のクオリティで製作していることで評判の、
望月後藤コンビの亜細亜堂スタッフでも、26話を担当することは本当ならありえない話。

なぜなら「マミ」はスタジオぴえろが製作しており、亜細亜堂は協力している関係。
また総作画監督は河内日出夫さんであるため、たとえ最終回でなくなったとしても、
河内さんが担当するのが普通。
しかし、26話は望月後藤コンビが担当することになった。
これにより、本当にすばらしい26話が誕生した。マミファンにとって、これ以上の幸せはない。

もちろん、初めてこの話を見た時の感動は忘れられない。
4日間も待たされたうえで観た26話は、私の想像以上の出来であり、
「マミ」症候群が起こったことに加え、この26話によって、
私の人生を変えるアニメに出会ったと、心から思ったものである。
でもまさか、後半にこの「バイバイミラクル」をも上回る出来の話が、
2本も登場することになろうとは、まったく予想していなかった。

これだけの「バイバイミラクル」が3位、本当に「マミ」はすばらしい作品である。
(2004年9月16日加筆)
第4位
OVA第1作(第53話) 永遠のワンスモア 1984年10月28日発売
OVAレビューページを参照
第5位
第37話 マリアンの瞳 1984年3月16日放送
望月後藤コンビの亜細亜堂作品6話目。
回を追うごとに、作品の質を高めて言った亜細亜堂の、渾身の1作といえる名作中の名作。
この「マリアンの瞳」を見ると、シリーズ序盤の頃と比べて、
よくここまで作品の質を上げたものだと、ホント感心してしまうほど、すばらしい。
また「マミ」のシリーズ後半は、ラブストーリー、SF、ギャグ、怪獣映画、
などと各話のエピソードの幅が大変広いのだが、
この話はサスペンスタッチで描かれたミステリーもの。
したがって非常に対象年齢の高い話になっている。

完全にマミサイドの話となっており、OVAを含めた全54話のうち、
俊夫のでなかった唯一の話としても有名であるが、それもうなずける。
この話に優サイドのキャラはまったくいらないから。

あとクリィミーステッキからルミナスターに変身道具が変わってからは、
数えるほどしか変身シーンが描かれていないが、
ちゃんと物語の冒頭に描いているのをまず評価したい。
ほんとに後半は変身シーンは少なく、今回でまだ4回目。
前回が「優のフラッシュダンス」だから、実に6話ぶりの変身シーン。
って「優のフラッシュダンス」も望月後藤コンビじゃないですか。

全編通じてマミの話なので、優がでてくるのは変身するまでのごくわずか。
そのわずかの後藤優を堪能したい。
いや、この話はむしろ全編に出てくる、かわいい後藤マミを堪能する話ともいえる。
おまけにそのマミは、私が一番好きな服を今回も着てくれている。嬉しいことこのうえない。

ようはこの話は、マミ主演映画第1作「マリアンの瞳」を製作することになり、
本物の緊迫感を出したいと思った映画監督が、
マミのラジオに手紙を出したり、ドレスに血をつけたり、
マミの近くでひそひそ話しをしたりして、マミを事件に関心をもたせ、
そのときのマミの行動を隠れて撮影していて、実は映画だったのよ〜んという話である。
しかし何度みても、ストーリーがもうわかっていても、
見るたびに惹きこませてしまうのはさすがとしかいいようがない。
特に紅小路家へ向かうときのBGMでの盛り上げかたがすばらしい。
私の中では、あのBGMがマミのサントラのなかで一番好きであり、
またこのBGMが使われたシーンとしては、「マミ」の中でこの話がベストシーンであろう。

ファッションショーの打ち合わせにパルテノンプロに来た優は、
マミに変身するために入った部屋で、超豪華ウエディング・ドレスを見つける。
ところがそのドレスの胸のところに血のあとらしきものを発見。
人の声がしたのであわてて廊下に出ると、立花さん、めぐみさん、木所さんらがいて、
あしたのショーの目玉となるドレス「マリアンの瞳」を見せてくれるといって、
隣の部屋に案内された。ところがそので観たのは、さっきと同じドレス。
隣の部屋にも同じドレスがあったと言ってマミは案内するが、そこにはもうなにもなかった・・・。

今回の望月演出は、デンドンデンドンデンドンデンドンという効果音のシーン。
一回目は、マミとめぐみさんの顔のアップを、交互に見せる演出。

明日のショーのためにドレスを試着するめぐみさんだったが、残念ながらサイズがあわなかった。
そこでマミが試着すると、あつらえたみたいにピッタリであり、このドレスはマミに決まった。
いや〜、ウエディングドレスを着たマミちゃん、ホントかわいいねぇ。
あとめぐみさんも、一段とかわいく描かれています。

試着が終わった後、喫茶店でネガとポジと、
さっきの血のあとがついたドレスについて話すマミだったが、
そのとき同じ喫茶店内でマミとドレスについてひそひそ話しをする、プロデューサーの轟の姿が。
「まずいな、マミにどこまで見られたか。」「まさか王女の秘密までも。」
「とにかくマミには計画通り紅小路鏡子と同じ運命を辿ってもらう。」
その話しを聞いているのがバレてあわてて逃げたマミは、なにかあのドレスには秘密があると察し、
立花さんに明日のファッションショーの中止を申し入れるのだった。
しかしそれは受け入れられなかった。今中止にしたら莫大な損害が出るからと。

そこへ星井ディレクターが入ってきて、マミはレギュラーのラジオのDJをすることに。
入れ替わるように入ってきた木所さんは、めぐみさんがいなくなったと言うし。
ここで描かれるマミのラジオのDJシーンは、なかなか貴重である。
マミがラジオ番組を持っていたことも初耳であったが。
でもラジオ番組でも、その週に読むハガキなどを、
構成作家さんとマミちゃんでひととおりチェックするんでないかい?。
なお、この回はマミが歌うシーンは当然なし。
そのかわり、ラジオのリクエストという形で「LOVEさりげなく」が流れる。

マミは「クリィミーマミのラジオでデート」のDJを始めたが、
そのラジオに来たはがきの中を見て愕然とするのだった。
「マリアンの瞳を着ないで!。さもないと恐ろしいことがおこります  K.B」

マミが放送中に無音になってしまい、慌てるまもちゃん(星井D)の顔が笑えます。
その後それに気付くマミの表情も、かわいいですねぇ。

マミはDJ終了後、例のK.Bのイニシャルについて考え、
それが例の轟らが発していた、紅小路鏡子であると推察するのだった。
早速電話帳で住所を調べると、紅小路という苗字はひとつしかなかった。
ところがそれをメモして電話ボックスを出た瞬間、トラックが電話ボックスめがけて突っ込んできた。
間一髪のところで難を逃れるが、電話ボックスはぺしゃんこ。

おいおい!、いくらなんでもやりすぎではないかい?
一歩間違えば、マミは死んでいたぞ。よく立花さんも、こんな危険なシーンOKしたなぁ。
だいいち、この電話ボックスってセットじゃないよね?。いいんかい?こんなことして。
あとさぁ、映画にもここのシーンでしっかりポジとネガが出てるんだけど、いいのかなぁ。
正体ばれちゃうんでないかい?(苦笑)。

マミはこんなことをされて黙ってられないと、秘密をつきとめるために紅小路家へ行くことにした。
ここで二回目のデンドンデンドン〜が。
ここではマミの顔のアップと、紅小路家を交互に見せる演出。

マミは事情を説明して中に入れてもらうと、大奥様にお会いすることが出来た。
彼女はこのハガキの文字は確かに鏡子のものだとマミに告げるが、
その鏡子はすでに10年前に死んでいたのであった。
鏡子は10年前の式の日、
「マリアンの瞳」を着たまま自分の胸にナイフを突き刺して死んでしまった。
そしてあのドレスには、とんでもない秘密が隠されていたというのだ。

今から150年前、マリアン王女はハインリッヒとの結婚式の日に、
ハインリッヒが落馬で亡くなられたとの報を聞き、
マリアンは自分の胸をナイフで突き刺して、ハインリッヒのあとを追ったのだった・・・。
その後何人もの人があのドレスをまとったのだが、
皆同じセリフを言ってナイフで死んでしまったという。
「私は王女マリアン。ハインリッヒ、おぉ〜ハインリッヒ。今すぐ、あなたの元へ。」

その話しを聞き終えたマミは、急いでドレスを燃やしてしまおうと、ドレスのもとへ急いだのだが、
そのドレスの前でマミは何者かに気絶させられてしまった。
そして3回目のデンドンデンドン〜は、駅構内を走るマミと、響子の母を交互に描いています。
マミが眠らされるシーンでは、髪が垂れ下がり恐怖を増幅させています。
ってだからいいのか?マミを薬を嗅がせて眠らせたりして。
いくら映画だからって、やりすぎでは?(苦笑)。

目が覚めたマミは、いつのまにかあのドレス「マリアンの瞳」を着て横たわっていた。
見知らぬ部屋にはマリアンの肖像画が飾られていて、
現れたメイドは自分のことをマリアンと呼んでいる。
そしてそこにハインリッヒが亡くなったとの報が入り・・・。
さらに4度目のデンドンデンドン〜。マミと部屋を交互に描いてますが、
ひとつの話のなかで、4回も使うというのが、実にうまいです。

そのあとの、マミまでもがあのセリフをつぶやいて、ナイフを自分の胸に突き刺そうとするシーンは、
マミがこのたくらみをしている何者かに向けての演技なのだが、
このアニメを見ている視聴者をも騙しているわけであって、このへんがすばらしい。

しかし疑惑を感じていたマミは、自分を落とし入れようとしている誰かにむかって話すのだった。
そこに血だらけのめぐみさんが現れたと思うと、、マミの元で命を落とすのだった。
するといきなり部屋の明かりが消えたかと思うと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

ここでのマミの「キャア〜〜〜」が、最大のクライマックス。

なんと今までのことは、すべて映画の撮影だった。クリィミーマミ第1回主演映画「マリアンの瞳」。
その映画の監督が、画面に本物の恐怖感を出したくてマミを隠し撮りしていたのであった。
まあ、実際にはこんなこと絶対できるはずないがね(苦笑)。

・・・改めてみてもすごいとしか言いようのない回である。
望月演出がこのころになると冴えに冴え渡り、
それがより私達視聴者をグッと画面に惹き付けてしまうのであろう。
シナリオにおいても、中盤でマミのDJシーンを入れこむサービスがあったり、
マミ中心のストーリーなので、優すら出る幕がないところを、
冒頭に登場させてドレスを見つける伏線にしているとこなど、すばらしいとしか言いようがない。

ただ、ラストのフィルムが廻っているシーンでの画面の点滅は、
ポケモンのあの騒動があったあとは、もしかしたら危険とか言われて出来ない演出かも。
すると地上波での再放送のときはどうするのであろうか、などと考えてしまった。
(2004年9月21日加筆)
第6位
第41話 勉強しすぎに御用心 1984年4月13日放送
望月後藤コンビの亜細亜堂作品7話目。
一言で言えば、優がガリ勉する話。
優の日常生活を描く話が後半には増えてきたが、この回はまさに優の回。
亜細亜堂前回の「マリアンの瞳」では、マミ出ずっぱりでたっぷり後藤マミを堪能させてもらったが、
今回は優出ずっぱりで、マミはちょこっとした出てこない。後藤優を堪能しよう。

シリーズ後半は、前半に比べて優のクラスの模様が描かれることが多くなったが、
この話はその最たるものだろう。守くんが登場してから、作品の幅が広がったという意味でも、
最たるものだろう。

この回から優が小学5年生になり、また守と同じクラスになった。
しかし担任が赤木先生に変わり、いきなり初日からテストをする熱血ぶりであった。

朝礼のシーンで優が守や友達と話しているが、そこで優よりも前に顔半分だけ写っているのが、
第31話にも登場した、竹本泉「あおいちゃんパニック!」の主人公「早川あおいちゃん」である。
つまり「マミ」2度目の登場であり、共に亜細亜堂作品。
亜細亜堂のスタッフの中に、熱烈なあおいちゃんファンがいたのだろうか。

赤木先生、自己紹介もそこそこに、「そこで早速だが、テストをする。」なんて言ってます。
そんなこと言われたら、もし私が生徒だとしても、反論するぞ。
というか、生徒から好かれない教師に、初日からなってしまうような気がするのですが。

守くんに「ふぅ〜ん、優ちゃんも二枚目には弱いんだな」と言われて反論する優ですが、
もうそんなこと第38話で知ってます(苦笑)。

おまけに優の成績が下がっていることを知った彼が、いきなり初日から優の自宅を訪問し、
なっちゃんに塾に行かせることをすすめる、超熱血ぶりを発揮。
なっちゃんは赤木先生にうっとりしてしまい、優は塾に通うはめになってしまう。
「優、明日から進学塾に行きなさい」てな感じで。

しかしなっちゃんまでもが、赤木先生にうっとりしちゃうなんて、
こりゃ優はなっちゃんの性格を受け継いだのね。だめだこりゃ(苦笑)。
ましかし、この優の家が、私立フィーバーを知らないのは納得できます。
でもてっちゃんの教育方針には、私は賛成。
ただいきなり人の家に押しかけて、熱弁を振るったうえでテーブルに上がってしまうのは、どうかと。
赤木先生、それは失礼ってものですよ。

しかしその塾にも赤木先生が。なんと小学校だけでなく、この塾の講師も兼任していたのだ。
そんなこと出来るか!小学校の先生をなめてるのか。
私の友人に小学校の先生しているのがいますが、とっても忙しいそうです。
休日だってクラブ活動の顧問として駆り出され、家に帰っても翌日の授業で使うプリントをつくったり、
また生徒の家から電話があれば、いかなくてはならない。
とても塾の講師を掛け持ちするなんて、できません。無茶です。
というか、小学校の先生って公務員でしょ。そういう掛け持ちって許されてるの?。

正式にこの塾に入るためには、今度の学力テストで全教科70点以上を取らないとと言われ、
(どう考えても優にそんなこと無理)
おまけに塾の仲間にバカにされた優は、テストで仕返しをすることにしたのだった。

「俺、優ちゃんがガリ勉になるの、好きじゃないな。」
ここでの守くんと優のシーンは、結構気に入ってるのだが、
守くんがメインにきたおかげで俊夫はさっぱり印象が薄くなってしまっている。
守くんをメインに持ってきても、俊夫とくっつけるわけにはいかないので、スタッフは苦労しただろう。

翌日の日曜テスト、優は便所で鉛筆に魔法をかけようとするが失敗。
ネガ「バーカ、特別な魔法はいつもの呪文じゃダメなの。」  優「お願い、教えてその呪文。」
ネガ「ダメダメ。カンニングの手伝いなんかしたくないね。」
優「ふーんだ。ホントは知ってるもん。パラランポンポンでしょ。」
ネガ「ちゃう。プルルンピンタンパップポン。あっ、引っかかっちゃった。」
優「ありがとう、ネガ。やったね」  ネガ「やられたね」  ポジ「ドジ」

このシーンは特筆ものですね。
なにしろ「マミ」の中で唯一「パンプル〜」以外の呪文が使われたのだから。
しかしネガは、いつのまに呪文を読めるようになったのだろうか。

魔法のおかげで、優は何もしなくても勝手に鉛筆が答えを書いてくれて、
そのため優はテストで全教科満点を取ってしまう。当然成績は1位。
優はそこでカンニングをしたことで、素直に喜べない自分に気付くが、
赤木先生の期待はさらなるものになり、また来週には学校のテストがあると言われ、
おかげでさらに塾に力を入れる羽目になってしまうのでした。

「守くんもたくさん食べてね。あのさ、別にガリ勉したわけじゃないんだよ。」
そうそう、単に魔法でインチキしただけ(笑)。
優「ねぇ、コレやっといて」  ネガ「なんで俺が」  優「はい」
ネガが鉛筆を使って問題を解くシーン、笑っちゃいますね。

こうして一生に一度の優の猛勉強が始まったのだが、マミはそこでちょこっと出てくるだけ。
歌のシーンもなく、BGMで「LOVEさりげなく」が流れるだけ。

しかし、その無理がたたって、優はテスト前日に病に倒れてしまう。
翌日のテストは休み、優のガリ勉はこうして幕を閉じたのだった。
その後守くんがお見舞いに来てくれるが、そこでのシーンもなかなか名場面。
やっぱり優は、元気でなくっちゃね。
(2004年9月23日加筆)
第7位
第20話 危険なおくりもの! 1983年11月11日放送
望月後藤コンビの亜細亜堂作品3話目。
この回で、望月後藤コンビは早くも完成形に達したと思う。
前回「私のMr.ドリーム」では、マミが登場しなかったため、後藤マミを見ることが出来なかった。
つまり初担当の第8話以来となる、後藤真砂子さんの描くマミが見られるのである。
で、その待望の後藤マミであるが、もう完璧で〜す。何も言うことありませ〜ん。
あんなかわいい優とマミを描かれたら、もう転げ落ちるしかないですよ。

とにかくこの回は、木所さん面白すぎ。
木所さんが、マミの外国からのファンレターの中に入っていた秘密の指輪を、
なにげなくはめたところ、とれなくなってしまう。
実はその指輪はトンガリ王国の王子が出したものなのだが、
なんといけにえの儀式に用いる指輪だったのだ。
王子はそんな指輪だとはまったく知らずに、マミにプレゼントとして指輪を贈ってしまったわけで、
そのことを知った関係者は、なんとしても指輪を取り返すために行動を開始した。

それにしてもいけにえの儀式に用いるための指輪なんて。
しかし知らなかったとはいえそんなものをマミのプレゼントに送ってしまう王子も王子だが、
そんな大事な指輪を王子が簡単に持ち出せるところに置いておいたほうも悪いぞ。

「どう見ても自動ドアじゃないのに、ドジだねぇ。」
わざわざドアの前で一旦停止しているのに、ぶつかっちゃう優って(苦笑)。
そういえば、まだこの時はポジは「優ちゃん」って呼んでるね。これが最後かな?

「はぁ〜抜けない、もう〜どうしてなんだよ〜!」
もう爆笑ですよ木所さん。なんでそんなに笑わせてくれるんですか。

スタジオでマミに変身する優。この回は何故かト音記号のようにステッキを振りかざすことはせず、
呪文を唱えた後その場に立ち尽くしている。
これが望月演出なのだろう。変身時にキャラを動かさず、
優からマミへの変身をアップで細かく綺麗に描いている。さすが。
ただその後の発声練習は、音が外れていると思うが(苦笑)。

「木所はどうしたんだ。」「さっきトイレでうなってましたよ。」「何!?」
立花さんのセリフにまた爆笑。
あと立花さんのマミへのこのセリフ「今日も綺麗だねぇ」、まさにファンの声を代弁してますね。

そしてこの話の前半のクライマックス、マミの「BIN・KANルージュ」のレコーディングシーン。
ファンなら思わず一緒に歌ってしまうシーンだが、ここでも望月演出は冴え、
マミの横顔のアップの時には、口パクと歌詞を合わせるということもしている。
すばらしい。さすが亜細亜堂といいたい。
マミの服もちゃっと着たきり雀じゃなくなって、新しい衣装になってますね。

その後木所さんと出かけたマミは、俊夫に止められて一緒に写真を撮るのだが、
こんなことしたら、親衛隊から真っ先に狙われるぞ。俊夫よ、やりすぎだと思うぞ(苦笑)。
ちなみにここからのマミちゃんの服は、前話「マミの一番長い日」でも着ていた服。
やっぱこの服を着ているマミちゃんが、いちばんかわいいと思う。

木所さんのところに指輪を返してもらおうと2人組が現れたが、
ネガとポジの力でなんとか追い払うことができた。
その夜、立花さんはこの指輪に何か秘密があるのではないかと思い、調べてもらうことにした。

さて、車中でのマミとめぐみさんの会話は、やはり特筆すべきものがあるでしょう。
めぐみ「わあ〜!、今の服すてき〜。見た〜。
 あなたもたまにはあんなの着てみたら。最も、あなたのセンスじゃ・・・んっ?」
マミがその服を着ていることに気付くめぐみ。しかも似合ってる。
めぐみ「あたし、不機嫌になっちゃったも〜ん。」
いいやり取りですよ。確かにマミちゃん似合ってるんだよね。
でもめぐみさんの表情もいのよ。
後藤真砂子さんは、めぐみさんもかわいく描いていて、そこも大変評価している点です。

国立考古学研究所で、いけにえの指輪であることを知るわけだが、
その時に望月智充の十八番の回転シーンが登場する。
テーブルにカメラを置いて、見上げた形で撮影し、
話しているキャラに次々に回転しながらカメラが移っていくのだが、
こういうところが他の演出家と違うところだなぁ。

木所さんは、なんとしても指輪を外してほしいと願い、金属学の権威を紹介してもらたのだが、
そこへ向かう途中に、またマミとめぐみさんの名シーンが。
マミ「めぐみさんは?明日の予定は?」
めぐみ「あたし?、あたしはオフよ。」
マミ「わぁ〜、いいわねぇ。あたしもたまにはお休みが欲しいなぁ。」
めぐみ「あたし、不機嫌になっちゃったも〜ん。」
わはは。めぐみさんも、かわいいじゃないですか。

金属科学研究室に行っても、木所さんの指輪は外れなかった。
その帰りに例の2人組が現れ、マミと木所さんが逃げ込んだ部屋には、呪いの老婆が。
その際に、ちゃんと老婆が部屋の明かりのスイッチを押すシーンが描かれている。
こういうなにげないシーンを、ちゃんと描いているのも、評価できる点です。

老婆に代わって木所さんの指輪をマミが魔法で外そうとし、
その魔法の力が老婆に作用して、指輪の輝きが消えて老婆も消えてしまうのだが、
クライマックスも綺麗に描かれていますね。
マミがステッキで指輪に魔法を送り込む絵や、老婆が消え去るシーンとか。

マミが最後に王子と会うシーンでも、マミはまた新しい服を着ていますね。
これも似合ってますね。まあ、マミはどの服でもかわいいのですがね。
でラストは冒頭と同じく木所さんがファンレターを仕分けするシーンで終わる、
大変よく練られたシナリオだと、私は思うのです。
(2004年9月15日加筆)
第8位
第31話 優のフラッシュダンス 1984年2月3日放送
望月後藤コンビの亜細亜堂作品5話目。
この話から、原画さんの個性が爆発し始める。亜細亜堂凄し。

「あのさ、前から不思議に思ってたんだけど、
 優が連れてくる友達って何で男の子ばっかりなんだろうね?」
いきなりてっちゃんのこのセリフが炸裂。うーん、それは愛ちゃん登場を待たねばならないのかも。
このシーンのてっちゃんなっちゃんの雰囲気なんか実にいいですな。

そして何と言っても冒頭のシーンであろう。
優のなりたいものをなっちゃんに訊く守に対して答えているところなのだが、
そのなりたいものが映像で出てくる時の、あの2頭身優にやられてしまった。
もうその時点で私の負けである。
2頭身優の登場は、亜細亜堂スタッフのさらなる遊び心から生まれたのだろうが、
作画監督の後藤真砂子さんの一番かわいい優の絵に、
原画さんの個性が爆発してきた結果であろう。

さてその2頭身優は、消防士→婦人警官→看護婦→スチュワーデス→怪獣
と変わっていくのだが、優の「ピーポーピーポー」「ワーオーワーオー」の声にはやられました。
また、その時の髪が真っ白になった俊夫がまた笑えますな。

俊夫に、好きな女の子は「マミちゃんみたいな子」だと言われて、
自分もあと何年かしたらマミみたいになれると言う優に、
「優がマミちゃんみたいになれるわけないじゃん。外見だけじゃなくて中身もだぞ」と言う俊夫。
そんな俊夫を見返してやろうと、
めぐみさんが通っているダンススクールに自分も通うことを決意する優であった。

またマミちゃんあの服着てますねぇ。それだけで嬉しいです。
立花「マミちゃんなら、踊りくらいすぐにマスターできるよ。そしたら次は、本格的なミュージカルだ。
 ブロードウェイだって夢じゃないぞー。」
マミ「すぐ飛躍するんだから。」
あいかわらず立花さんも面白いなー。おまけにめぐみさんにぶたれるのだって、当然だと思うぞ。

しかしなっちゃんも一緒に行こうとするとは。今回のなっちゃんやけにかわいく描いていますな。
てっちゃんにおねだりしているなっちゃんのシーンは、いい雰囲気でいいと思います。

早速ダンススクールに行った二人であったが、実はバレエを習う教室であったことを知るのだった。
めぐみさんに言われて見学したものの、まるでバレエのことを知らない二人は大恥をかいてしまう。
なっちゃんはそれで教室に行くことをやめてしまうが、
優は3日後の再テストを受けるために必死に練習を開始するのだった。

せめてもう少しめぐみさんも付き合ってくれればよかったのに。
でもここのスクールの先生、温和そうな顔ですがやな人ですね。こういう人には教わりたくないです。
なっちゃんがもう行かないと言い出すのも、わかります。
「俊夫くんとみどりくん、二人ともありがとうね。もうあがっていいから。」
さすが土井美加さん。怒りを押し殺した言い方が、すばらしいです。

優は早朝誰もいない体育館でマミに変身し、魔法を使えばばっちりバレエが踊れることを証明するが、
俊夫の言葉を気にしている優は、今回は魔法は使わずにテストに挑むことにしたのだった。

ちゃんとルミナスターでの変身シーンを描いてくれているところも、嬉しいですね。
あとマミちゃんのレオタード姿というのも、ファンとしては大変嬉しいです。
なおこの時の体育館でのマミの踊りのシーンは、絶品です。
こういうシーンで、完璧にマミを動かしているのは、ホントすごいです。

優はさらに図書館でバレエのことについて知ろうとするが、
なんで守くんが「パドゥーシャ」なんて言葉を知っていたのだろうか。
いくら猫好きだからって、そんな言葉まで知ってるか?
そのあとためしに優はネガを落としてみるのだが、そのときの優の顔がまた特筆もの。
「だーめだこりゃ」
亜細亜堂作品ではこの後おなじみになる、優に左右2本のきばが描かれるシーンである。
このシーンで初登場なのだが、この時の優の表情もいいですね。

あとこのシーンで語らねばならないのが、「早川あおいちゃん」。
優と守くんが話している時に、その二人の前に描かれている女の子がそうなのだが、
この子こそ、竹本泉の「あおいちゃんパニック!」の主人公のあおいちゃんなのである。
なぜあおいちゃんがゲスト出演したのかは、いまだ不明であるが、
竹本泉ファンにとっては感涙もののシーンである。

この回でのマミのDJブースでのライブは、「BIN・KANルージュ」。
1番フルに流すため、サビになると新宿からの夕日のシーンに切り替わっているが、
これも望月演出といえるのだろう。

そしていよいよダンススクールの再テスト当日。
優はめぐみさんに付き添われて試験会場に向かうのだが、
このときに流れるBGMが、私の一番好きな曲。
このBGMは、こういう緊迫とか緊張したシーンにピッタリであり、第37話に告ぐ名シーンといえよう。

優は結局再テストに落ちてしまうのだが、そんな頑張った優をやさしく慰める俊夫とのシーンを観ると、
優と俊夫の恋をストレートに描いた実にいいストーリーであると改めて思ってしまう。
TVシリーズの後半では、優と俊夫の恋をメインにした数少ない回であるが、
マミにあこがれる俊夫と、マミのようになれると信じている優の対比がよく描かれていたと思う。

最後に、この話はシリーズ構成の伊藤和典氏が脚本を担当している。
伊藤氏はTVシリーズ前半では、1〜3話、25〜27話の核となる重要な回の脚本を担当しているが、
それ以外の普通の回は19話しか書いていなかった。
しかしそれではいかんということで、後半は最低月に1本のペースで、
自分で脚本を担当するようになった。その最初の話がこれである。

つまり普通の話で、望月後藤コンビと一緒に仕事をしたのは、この話が最初で唯一であった。
そういった意味でも、貴重な回である。
(2004年9月19日加筆訂正)
第9位
第50話 マミがいなくなる・・・ 1984年6月15日放送
望月後藤コンビの亜細亜堂作品9話目にして、TVシリーズ最後の担当作品。
この「マミはいなくなる・・・」は、ラスト3部作の第1話であり、
いよいよ最終回に向けてのカウントダウンが始まった。

「マミ」で優はなんらかの使命をもって魔法を授けられた訳ではなく、
ただ単にフェザースターの箱舟を助けたお礼として魔法のコンパクトを授かっただけで、
優が魔法をどのように使うのかは自由であった。
しかし優は魔法で変身した15、6歳の女の子で、クリィミーマミとして歌手デビューしてしまったため、
ラストで優はピノピノにコンパクトを返すだけでなく、
マミをなんらかの形で芸能界を引退させなければならなかった。

そしてスタッフから用意された舞台が、ファイナルステージであり、
(一応の名目はデビュー1周年記念コンサートであるが)
第50話と51話はその前座というか、プロセスに過ぎないわけで、
それでもこの50話が「マミ」のサブタイトルランキングのトップ10にランクインしたのは、
望月後藤コンビが担当したからに他ならない。

なお望月後藤コンビが「マミ」のTVシリーズを担当したのは、
全部で9話でありこの話が最後であるが、TVシリーズ終了後に製作されたOVAでも、
2人はスタッフとして参加しているので、事実上の最後の作品ではない。

いきなりビキニ姿のマミちゃん登場、最終回が近づいているので、ファンサービスでしょうか。
立花さんがマミちゃんに、デビュー1周年記念コンサートを、
香港のクィーンエリザベススタジアムでやると言い出した。コンサートの日は7月1日。
しかし、マミはどうやっても香港に行くことはできない。
マミは優が変身した姿であるから、パスポートを取得することができないのだ。
それどころか、ピノピノに魔法のコンパクトを返す期限が、6月30日午前5時45分であり、
7月1日にはマミはこの世界に存在すらしていない。
優は大問題を抱えることになってしまった。

いきなり望月演出が冴え渡っている。
立花さんが運転中に、マミちゃんにコンサートの事を伝えているシーンがあるが、
立花さんはほぼしゃべりっぱなし。これだけセリフが長いと、ひとつのカットでやられると、
最後まで持たせるのが難しいが、ここで立花さんの車をさまざまな角度から見せることによって、
長いセリフを最後まで飽きられずに見せることに成功している。
回転技の応用とでもいえようか。

またその後の、ポジとネガが魔法の期限を調べるシーンでは、
なんと優の入浴シーンを堪能することが出来る。
明らかにこれは大きなお友達向けのサービスに他ならず、事実私もこのシーンは大好きである。
乳首が描かれていないのが、唯一残念なことであるが(笑)。

「それが最後なら、うやむやにしないで、ちゃんとやりたいもん」
マミになって1年たって、優も成長しましたね。あれだけ歌うのをいやがっていた優が、
今は自分から歌おうとしているのだから。
こうしてみると、「マミ」という作品は優の成長の物語でもあったんだな、とふと思ってしまいます。
「コンサートを6月に繰り上げてもらって、日本でやればいいんでしょう。」
と優は考えるのだが、その道のりは極めて厳しかった。

ついでに優が髪をかわかしているシーンで、後藤真砂子さんの描く優が一番かわいいというのが、
はっきりわかりますね。

マミは立花さんに直に、コンサートを日本で、しかも6月中に開催してほしいとお願いするが、
「クィーンエリザベススタジアムでのコンサートは決定事項だ」と一蹴されてしまう。
それならせめて6月中に、とさらに詰め寄るが、国内のコンサート会場はどこも一杯で、
今からでは手の打ちようがない、と言われてしまった。
失意のマミ。そんなマミの微妙な変化を、めぐみさんは見逃していなかった。

その夜、めぐみさんがパルテノンプロに現れると、木所さんはまだ仕事をしていて、
マミのスケジュールに頭を悩ませていた。
最近マミは大きい仕事は断っていて、先のほうががら空きであった。
そのスケジュール表を見ためぐみさんは、マミが引退を考えているのでは、と思い始める。

ここでも望月演出が目立ちますが、過剰と言われてもおかしくないかも(苦笑)。
沸かしている水越しに、めぐみさんと木所さんを描いています。
わざわざこんな描き方をしなくてもいいのでは、と思う人は思うのでしょう。私は好きですけど。

優「やっぱり立花さんに、はっきり言うしかなさそう。」  ネガ「実は私がマミでした、ってか?」
優「違うの。7月1日には、マミはもうどこにもいないんだってこと。」
ネガ「んな、納得しないぞ。」
優「でも言わなきゃダメなんだ。だってこのまま黙ってたら、あとでとんでもない騒ぎになっちゃうもん。」
ポジ「今からでも遅いくらいだもんね。」
ポジの言う通り、もう騒ぎは始まっていたのである。

めぐみさんは立花さんの家を訪れ、マミが引退を考えているのでは、と伝える。
マミのスケジュールの取り方にひっかかりを感じただけで、何一つ根拠のない、女のカンであったが。
立花「めぐみは、引退してくれたほうが、都合がいいんじゃないのか?」
めぐみ「綾瀬めぐみ個人としては、イエス。パルテノンプロの綾瀬めぐみとしては、ノー。つらいところだわ。」
そして立花さんは、新聞に掲載されていた週刊誌の広告に、
「クリィミーマミ7月で引退!」という記事が載っていて、驚愕するのであった。

このあたりのめぐみさんの行動やセリフを見ると、
TVシリーズ当初から比べてホントいい人になったものだと思ってしまう。
いや、元からめぐみさんはいい人なのだが、スタッフにもめぐみさんに対する愛情が増えた感があり、
非常に綺麗にかわいくめぐみさんが描かれるようになり、
それと比例してめぐみさんのマミに対する感情も、丸くなってきたようだ。
こういうところも、「マミ」の良いところなんだよな。

実にうまいストーリーである。マミはどこにも話してないのに、マミ引退が報じられてしまった。
視聴者を惹きつけるには申し分ないストーリー。
一体誰がこんな情報を手に入れたのか?、そしてそのマミ引退は本当なのか?。
立花さんはこの後、それを探ることになるわけだが、
視聴者もそのマミ引退記事について興味をもたされ、さらにストーリーにグッと入っていくことになる。

立花さんがパルテノンプロに着くと、既に大勢のマスコミが殺到しており、
おまけに事務所には電話がひっきりなしにかかってきて、すごい状況であった。
立花さんは今日のマミのスケジュールを確認すると、外に出かけた。スネークジョーのところに。

スネークジョー、10話ぶり7度目の登場である。久美子さんは、2度目の登場ですね。
ちなみに後藤真砂子さんがジョーを描くのは、これが初めてだったりする。
立花さんはマミの引退記事を書いたのはお前だろ、とジョーに詰め寄るが、
なんと久美子さんのお腹に赤ん坊がいて、来年パパになることを告白。
それには立花さんもビックリするが、「おめでとう」と祝福するのであった。
ジョーは今まで迷惑かけたわびに、その記事を書いたのが誰か調べてくれるという。

ジョーよ、見ないうちにすっかり落ち着いちゃったなぁ。
久美子さんを妊娠させちゃってた、てのはかなり意外な展開でしたが、
すっかりジョーがいい人になっちゃったよ。
さらに「永遠のワンスモア」になると、すっかり優たちの仲間になっちゃいますからね。
それと男の夢なんて儚いものだぜ、とジョーは言っているが、
あんなかわいい久美子さんをつかまえておいて、どこが儚いんだ。
芸能レポーターのトップになる夢より、お好み焼きやの主人の方が、よっぽどいいと思うんだが。

俊夫はみどりから、ようやくマミちゃんの引退報道を知るが、
優もまだ引退のことを話していないのに、広まっていて驚くのであった。
俊夫は真意を確かめにパルテノンプロに向かうが、今日はオフィスに入れずじまい。
マミちゃんのDJブースでのライブを待つことにするが、その間に優はマミに変身することに。

前話に続いて通算7度目、未遂を含めれば8度目の変身シーン。
後藤真砂子さんでは3回目の変身シーンであるが、
望月演出では優からマミに変身する様を、克明に描いているのが特徴。
これで見納めかと思うと、ちと残念。

マミは事務所で立花さんと話をすることができ、今月いっぱいで引退したいことを伝えるのであった。
そのマミの決意の固さに立花さんも折れたが、引退ではなく半年くらいの休養にすること、
そして7月1日の香港でのデビュー1周年コンサートは、予定通り行うと伝えた。
その頃俊夫は木所さんから、マミちゃんが今月限りで引退したいことを聞かされ衝撃を受けるのだった。
マミとの話が終わり、マミを家へ帰らせた後、スネークジョーから電話があり、
マミ引退の噂を最初に聞いたのは、なんとハイソサエティークラブのメンバーであることがわかる。

ハイソサエティークラブといえば、第38話に登場した兵藤進ノ介がいたクラブではないか。
いよいよオールスターキャストと化してきたな。

木所さんはマミを裏口まで見送り、そこで別れたが、
なんとそこでマミは見知らぬ車に誘拐されてしまうのであった。
その場面を偶然見ていた俊夫は、立花さんらと一緒にパルテノンプロで、
誘拐犯からの電話を待つことにしたのだった。
しかしかかってきたマミからの電話は、誘拐でもなんでもなく、
プリンセスホテルに来てくれ、というものであった。
そこで早速ホテルに向かうと、そこにはマミちゃんのほかに、
第20話に登場したトンガリ王国の王子に、一度は消えたはずの予言者の老婆、
そしてなんと兵藤進ノ介まで登場、いよいよこの話のクライマックスである。

ここでは望月智充お得意の回転技が使われている。
とにかく長い会話での説明のシーンなので、もうずっとカメラが回転しっぱなし。
細かいのは、回転しながらもその時に写っているキャラがしゃべっていれば、
ちゃんと口パクしているとこ。そのうえなんと、ここぞとばかりに4回転以上回っている。
もう見事としかいいようがないです。

そもそもの始まりは、王子にせがまれてマミの未来を老婆が占ったことであった。
しかし何も未来が見えてこなかったので、老婆はマミが歌をやめるのではないかと考えた。
引退説を記者に漏らしてしまったのは、兵藤の友人であった。
マミちゃんがひどく困っていることに気付いた王子は、
何かできることはないかと日本に駆けつけ、またあの一件以来マミのファンになってしまった兵藤も、
マミに協力することにしたのだった。(ここから回転技が始まる)
マミはデビュー1周年コンサートを、6月中に国内ですることを望んでいたため、
兵藤は香港コンサート中止による損失を自ら負担するだけでなく、
6月29日に、未だかつて誰もコンサート会場に使用したことのない場所を確保したのだった。
で、そのコンサート会場は、なんと「セントラル競馬場」。
優がピノピノにコンパクトを授かった、運命の場所である。
こうして、マミのファイナルステージに向けての準備が、始まるのであった。

兵藤までもがいい人になられても困っちゃうのだが(苦笑)。
こんなことくらいでは、私は兵藤を許す気にはなれんぞ!。
ま、兵藤自ら失われた信用を取り戻すには時間がかかるがね、と言っているが。
しかい競馬場をコンサート会場にするとは、また考えたもんだ。
というか、伊藤和典氏もうまい事を思いついたもんだ。
優が魔法を授かった場所で、マミのファイナルステージを開催するなんて。
なんていいストーリーなんだ。
(2004年9月27日加筆)
第10位
第30話 前略おばあちゃん 1984年1月27日放送
木所さんメインの回。
TVシリーズの前半では、こういった脇役にスポットをあてた回はほとんどなかった。
こういうシナリオが出るようになったのがスタッフの進歩といっていいだろう。
パルテノン三人組最高です。あとパルテノンプロの受付のお姉さん、いいボケしてますなぁ。最高です。

木所さんが実家のおばあちゃんに出した手紙に、
マネージャー部長に昇進したとうそを書いたことがバレてしまい、
おばあちゃんが東京まで出てきて木所さんを実家に連れて帰ろうとしてしまう。

しかし木所さんの実家って、かなりでかい家じゃないの。
相当由緒ある家系なんでしょうな。おばあちゃんが東京まで出てきちゃうのも、無理ないかも。
それにしても木所さんは、いつからこんな嘘の手紙を書いていたのだろうか?。
立花さんは、なんで木所さんなんかを、マミのマネージャーに付けているのか謎だ。

マミ「やだぁ、木所さんって隼人って名前なの?」
私も笑いました。でもなんでマミちゃんも知らないの?。
おっ、久々にあの服を着てくれてますね、マミちゃん。

でここでルミナウォークが登場するわけですが、実は28話から流れている新EDには、
既にマミちゃんがルミナウォークを付けていたりするんですねぇ。粋な演出だ。
マミ「わぁ〜、かわゆい似顔絵」
立花「そう、かわゆ〜い・・・い、いやいやいや・・・違うんだ」
この立花さんの反応もいいですねぇ。

嬉しいのは、めぐみさんも立花さんも、木所さんが居なくなることに困っていること。
なんだかんだ言って、木所さんをかばってくれるんだから、
木所さんはいい会社に就職しましたね。
ただめぐみさんまでがルミナウォークを付けていたのには、ビックリしましたが。

立花さんの機転で、ちょうど木所さんの発注ミスで大量に届いてしまったルミナウォークを、
木所に片付けてもらってからでないと困るとおばあちゃんに話し、3日の猶予をもらうことができた。
このルミナウォークがまたいいですな。
マミのファンのアイデアを実際に形にしたものなのだが、これは私も欲しいぞ。
でもこれってひょっとして、実際に送られてきたアイデアだったりして。そんなことないか。

この回でマミちゃんは、「BIN・KANルージュ」と「LOVEさりげなく」を共に歌っていますね。
思えばシリーズ後半になって、初めて「BIN・KANルージュ」を歌ってくれたのですが、
2曲揃い踏みとは嬉しいですね。意外にもこんなパターンって、少ないのです。

木所さんは俊夫や優らと協力して、ルミナウォークプレゼント大作戦を開始したのだった。
マミがルミナウォークをつけて歌ったり、DJブースで宣伝したり、
マミの歌を聴きに来たファンに無料でくばったり、そうそう、てっちゃんも仕事中につけていたなぁ。
「ははははは。いやぁ〜、僕も流行にはBIN・KANルージュだぁ」
守くんが照れながらルミナウォークをつけるシーンも微笑ましくていいです。

なんと、「優のクリィミーマミ」まで歌ってるよ。3曲目かい!?。
これってファイナルステージに次ぐ記録では?
マミのDJブースでの歌の合間のおしゃべりのシーンも、初めて描かれたもので新鮮ですね。

めぐみさんのセリフには笑わせてもらいました。
「木所さんかわいそう。木所さんがいなくなったら、私、私、誰に八つ当たりすればいいの?」
めぐみさんへのおばあちゃんの一言「顔がひきつっておられる」にも爆笑しました。

ルミナウォークプレゼント大作戦は成功し、3日目の朝、マミのファンクラブが全部持っていってくれた。
しかしおばあちゃんがやってくれたもんだと思った木所さんは、
立花さんに挨拶して事務所を後にしたのだが、
マミ一緒にと自分のアパートに戻ったところ、おばあちゃんは既に実家に帰られていた。
置き手紙によって、マミがおばあちゃんに木所さんを連れて帰らぬようにと、
えらく強引に頼んでいたことを知るのだった。
「追伸、お前がホテルに来る前にマミという娘が来て、
 お前を連れ帰らぬようにとえらく強引に頼んでいった。お前は幸せもんじゃ。皆いい人じゃ。
 がんばれや、かしこ。」

実にいい話ですな。おばあちゃんの言う通り、木所さんは幸せものだとやっぱ思う。
(2003年7月4日加筆)

クリィミーマミ全話レビュー
TVシリーズ前半 第1話〜第26話
TVシリーズ後半 第27話〜第52話
OVA第1〜2作

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第8位 美衝撃
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第19位 BIN・KANルージュ

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