さみだれ、だっこーる、水の柔毛

水が低みへとむかうように
宇宙は今宵も広がりたがっているんだもんね
そんで
広がった世界にぼんやりつったって
われわれはなにをしているのかわからなくなるんだもんね
じゃ、さ
行こうか
宇宙の果てまで行ってみようか
てなわけで
遠く遠く離れてみて
初めて分かるんだもんね
おっとと
そこに織り込まれているのは
宇宙そのものの大きさの一頭の象。
あぜん、
鼻を織る者と尾をほどく者とが
象のまわりに群がっていて
うひょひょ
象の新鮮な皮膚をつくることが
おお、コズミックダンスなのですね、神よ
てなもんで
光あれ、
そして象はライトアップされて
だっこーる
それはつまり
象を照らす照明器具を用意しなさいということだったのですね
ひゅうひゅう
なんというつややかな遊戯
なんというはてしなき陰陽
どおりで
たとえば水が流れくだってきて、それがただ
重力のためばかりだとするならば、水は
積み重なり、腐敗するよりほかにない。
だったら死骸が石油になるような技を
水のためにも用意してあげなければそれは
水の悲しみのはじまりはわれわれの歓びのにごり、
われわれの悲しみは世界のにごりのはじまり
どこかでだれかが世界を変えなければ
世界がだれかに自分を変えさせなければ
いやいや、世界は変わる、世界はわれわれの似顔絵だから
世界はわれわれの影だから、世界はわれわれの鏡だから
世界はわれわれの子供だから
世界はわれわれの背中を見て育つ、世界を見ればわれわれが
わかる。ああ、こんな世界の親の面がみてみたい。
われわれですってばさ、
だっこーる、
なぜ水は気体となり、みずからを持ち上げることができるのか。
循環が世界の摂理だからさ、
降りだした雨に濡れてぼくらの果てまで
行ってみないか、
さみだれ
水の柔毛。

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