篝火、だっこーる、光闢

眼を閉じてごらん
世界が夜でさえも明るいのは
もともとぼくらが
発光しているからなんですからって、
だっこーる、
ぼくらがぼくらであるという
そのこと、うんうん
ぼくらが生きているという
そのこと、うんうん
それだけのことで
篝火のように
ぼくらは世界を照らしていたりするんですってば
ジーザス、ホントですか
ひとつの小さな闇
どうかな、ただの小さな闇だね
それがほらって、
ふとみると
そこだったはずのたんなる場所は花となり
場所であることから放たれる光を折りたたんで
さまざまなひらひらを装い、
だっこーる、
いつのまにかそこは虫になり
葉は羽根となり蕊は触角となり
風を集めては飛びまわったりもして
わーを、ジーザス
そこはあなたとなったり
ときにわたしを口ずさんだりして
しばらくすればまた新たなべつの優雅な銀河が
ぼくらの地上を横切っていくだろう
なにもおそれることはない
すべては順調、すべてはご機嫌
細かく密かに連なっている事物と事物の
交換と転変の過程のなかで
われわれはそれを生きていると呼んだりもする
言葉があるから人間なのだと
不遜な誇りを額に集めて

リトル、リトル
のどのかわいた蝸牛のために
星雲は蜂になり
永遠の記号を記しながら蜜を集め
ふたたび花の周囲を漂い
雨滴となってあじさいを濡らす
開かれよ、光。

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