islands in the stream
海流の中の島々 〜乱世編〜




 定刻より約15分遅れで、『フェリーなみのうえ』は徳之島亀徳港に無事着岸しました。
 今日はこれから峠を越えて島の裏側、平土野の町に泊まることにします。


平土野タウン 今日のお宿


 宿の夕飯まで時間があるので、近くの「犬の門蓋」観光に行きます。


いんのじょうふた 岬の穴
複雑にエグレた岩 メガネ岩


 犬の門蓋は「いんのじょうふた」と、何だかよくわからない読み方です。
 昔、飢饉の時に犬をここからブン投げたそうですが、とにかくこの地域の伝承はやたらワイルドです。
 凹凸だらけの岩の上はとても歩きにくく、とっとと退散です。


ビッグガジュマル 手々局


 翌朝。相変わらず天気は良くありません。というより、とても悪いです。
 今日1日で徳之島内24局を全部回って夕方のフェリーに乗らなければならないので、観光しているヒマはあまりないと思いますが、貯金上等です。


井之川局 尾母簡易局
喜念簡易局 目手久簡易局
阿三簡易局 河地簡易局
瀬瀧簡易局 平土野坂


 土砂降りの島を1周して何とか午後2時前に全局クリアし、残り時間わずかですがその辺の観光に出かけます。


徳之島の謫居跡 西郷南洲顕彰碑


 まずは「西郷南洲翁謫居之跡」です。世界的偉人(当地の看板より引用)南洲翁の行くところ旧跡ありのセオリー通り、ここ徳之島にもありました。
 すぐ近くには「岡前西郷公園」があり、丘の頂点には「西郷南洲顕彰碑」が誇らしげに鎮座していました。


むしろ瀬 日本海っぽい


 お次は島の北西端にある海岸、むしろ瀬です。
 荒天と相まって南の島の海辺とは思えない景観です。


西郷南洲翁上陸記念碑 平土野港フェリーターミナル


 最後に南洲翁上陸記念碑を拝んで、平土野港まで戻ります。
 この後は、17時55分の『フェリーあまみ』で喜界島の湾港に渡る予定になっています。
 乗船券発売所は写真の通り案内看板の一枚もなく、外観からではそれとさっぱり分かりませんが、それでも何とか捜し当てて乗船手続きをしようとすると、「今日は海が荒れてるのでこっちには来ん。亀徳港に行くでごわす」とあっさり告げられます。
 結構やりたい放題だというのは事前の情報で知っていたのでそう驚きもしませんし、バイクなので別にいいんですけど、徒歩の人とかどうするんだろうと思いながら亀徳港へ向かいます。


クイーンコーラル8 亀徳新港待合所


 というわけで亀徳港です。
 折りしも『クイーンコーラル8』が、約30分遅れで鹿児島へ向けて出港していくところでした。


フェリーあまみ 1台もいない車両甲板
誰もいない食堂 完全貸切の2等船室


 待つこと約1時間、潮路のかなたより『フェリーあまみ』登場です。
 船内はマジちょーがらがらで、ほとんど完全貸切状態です。
 気になるのが喜界島到着時刻です。定時でも夜中の12時前なのに、いったい何時になるんだろうかと聞いてみると「3時間くらいは遅れるんじゃないですか」と、これまたあっさりです。しかも湾港ではなく、島の南側の早町港に変更なんだって。
 出港すると相当時化ているようで激しく揺れまくり、あぐらをかいて座っていることもままなりません。
 脳漿を攪拌されて意識朦朧としつつ、結局早町港に到着したのは夜中の3時で、それから真っ暗な道を湾の集落へ向かいます。
 狂ったような時間にホテルにチェックインして大変申し訳なく思ったのですが、割りとよくあることみたいな感じでした。


喜界ビジネスホテルさま 喜界赤連簡易局


 翌朝。
 というわけで奄美諸島の残留孤児とでもいうべき喜界島です。
 ここへ船で来るには『フェリーあまみ』『フェリーきかい』しかなく、さらに上下便とも深夜早朝の着発という最低最悪なダイヤです。
 ここでは2泊して、明日早朝の船で奄美大島に渡る予定ですが、昨日の船が遅れたので2泊なのに滞在時間は26時間半というわけのわからなさです。
 ほとんど寝ていませんが9時になればさっそく貯金開始です。全部で10局なのでそう急がず、プラプラ行っても大丈夫でしょう。


雁俣の泉 ムチャ加那の碑


 喜界島を時計回りに巡ります。
 雁股の泉は、源為朝が打ち込んだ矢から湧き出した泉だそうです。
 ムチャ加那は民謡にも謡われた薄幸の超美人だそうです。


小野津集落を遠望 「ミヤ」の跡と志戸桶簡易局


 志戸桶簡易郵便局の真ん前にある「ミヤ」の跡は、かつて神事を執り行っていた場所だそうです。


早町港 巨大ソテツ


 嘉鈍集落には6メートル300年の巨大ソテツが存在します。


さとうきびの道 白い屋根の上嘉鉄集落


 喜界島の道は車も少なく実にのどかですが、離島の常として交通マナーはまったく無いに等しいので、外来者は特に注意が必要です。


巨大ガジュマル 荒木簡易局


 手久津久の巨大ガジュマルと、たまらなくテイスティな荒木簡易郵便局です。


俊寛僧都の墓 撰文


 てなわけで、島をひとまわりして湾まで戻ってきました。
 近松で有名な俊寛僧都の墓があります。


滝川簡易局 島の東半分


 昼の1時前に全局めでたく完了しましたので、百之台公園の展望台に上ります。


喜界ロード2008 阿伝のサンゴ石垣


 阿伝集落には美しいサンゴ石垣が残ります。
 喜界島にはハブが生息していないため、ハブの棲みかとなりやすいサンゴの石垣が未だに残っているといわれている、とWikipediaに書いてありました。


平家森 早町集落を望む


 下関の壇の浦から落ち延びてきた平家の残党が要塞を築いたという平家森です。


喜界空港 宿からの風景


 湾のスタンドで給油すると、おばちゃんがバレンタインのチョコをくれました。
 行くところがなくなってきたので空港に行ってみますが、これといって何もありません。
 小康状態だった天気もまた悪くなってきたので、これで宿に帰ることにします。
 今朝のホテルは連泊の予約が取れず、今晩は港付近の民宿です。
 めまいがするほど交通不便な島ですが、それでもけっこう訪問者が居るのでしょうか。


 

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