あとがき
 
 10月2日、期待と不安を抱きながら内留生活がスタートしました。学校現場にいた頃は、朝から帰りまで自分のスケジュールが決まっており、それをいかに能率的にこなしていくかの忙しい毎日でした。しかし、内留期間中は、広い草原に一人投げ出されたような感じで、これからどうしていくかを、自分で計画を立てて実行していかなければなりませんでした。時間を自分の思い通りに使える満足感と、本当にこれでよいのかという不安とを感じながら生活する毎日でした。
 さて、私の研究は、過去の児童指導を思い出すことから始まりました。過去16年の自分の指導を振り返ることは大変な作業でした。今まで様々なことを記録していたノートを見つけ出し、1ページづつ調べていきました。そこにはうまくいかずに悩んでいた指導の記録や、こんな事を言ったらうまくいくのではないかという、記録が残っていました。過去の記録を読み返し、その時の状況を思い浮かべながらレポートにまとめ、指導を仰ぐことになったのです。
 この報告書は、まだまだ研究不足であり、残された課題も多いのですが、内留の証として大切にしていきたいと思っています。また、これを研究の第1歩として、現場に戻り、実践を重ねていきたいと思っています。
 さて、内留の期間中、研究だけでなく、大学の講義も受講することができました。学生の頃はそれほど熱心に聴いていなかった講義ですが、現場を体験してから聴いてみると、その内容が自分自身の実感として腹の底にずっしりと響いてきました。
 遠藤先生の「学級経営」は、内留生3人と院生2人、学生6人の講義で、学級崩壊の問題や現場教師の実践報告、学級経営に対しての討論など大変楽しく学ばせていただきました。
 和唐、小宮、両先生の「健康教育」では、保健指導の大切さや指導上の留意点などを学ぶことができました。
 橘川先生の「教育心理学」では、児童の発達心理学の講義でした。学生の頃は全く興味がわかず、さぼることも多かったのですが、子どもの実態と結びつくことが多く、興味深く聴くことができました。
 内野先生の「教育評価法」は、テストのみが評価ではなく、もっと広い視野で評価を考えられたことや、最新の資料で評価について考えることができ有意義でした。
 「教師入門セミナー」では毎回、先生が変わり個性的な講義でした。現場の先生の実践例は大変参考になりました。
 川原先生の「学校臨床心理学」では、ストレスに関してその対処理論を学ばせていただきました。文献が難しく、内容を理解するのに苦労しましたが、自分の実生活と結びつけて、自分なりの言葉で考えながら文献を読んでいく、ということを学ばせていただきました。
 最後になりますが、川原先生にはお忙しい中、私の指導担当教官として親身な指導をしていただき、心からお礼を申し上げます。また、このような貴重な機会を与えてくださった、栃木県教育委員会、那須教育事務所、那須町教育委員会の先生方に心からお礼を申し上げます。
 また、研修中、いろいろとご迷惑をおかけしたにもかかわらず、深いご理解とご協力をいただいた、高久小学校の鈴木浩之校長先生はじめ全職員の皆様に、厚くお礼を申し上げます。
 たくさんの方々に支えられた内留生活も無事終わろうとしています。本当にありがとうございました。
       平成13年3月   
                  那須町立高久小学校   教諭 あべ松 龍矢