プロローグ

我が社における管理会計上の問題点

 私は、昭和16年生まれで日本に住んでおります。私は、東京大学で土木工学を専攻しました。私は、日本道路公団に入社し、数年後、本州四国連絡橋公団に移りました。本四公団では、本州四国ルートの工事予算の見積もり業務、工事監督業務、検査業務、吊橋構造等に対する技術的な仕様書の立案等を含む技術的な仕事に携わりました。

 同公団に勤務中、私は吊橋の構造理論を研究し、土木学会に数編の論文を発表しました。私はこれらの研究により東京大学より工学博士号を得ました。私は全ての本州四国吊橋に関する計画と設計、及び一部の工事に参加しました。

 昭和54年の暮れに、私は故郷である東北地方の都市に帰郷し、昭和55年の初め、家業である建設会社に入社しました。

 その会社では、私は何でもやりました。私は私の協力者達と共に、木造住宅に対して気密性能を満足するCOME軸組工法を新しく開発しました。さらに、劣化コンクリート構造物に発生する隙間幅0.1mmから任意の幅のコンクリートクラックにセメントスラリーを注入するアングルC工法を新しく開発しました。この開発に対しては、日本および国際特許を取得しました。

 私は今、従業員150人程度(平成1512月当時)の建設会社の社長です。その内、半数は現場作業員です。私はこの間、好況も不況も経験しました。私は今、日本の大不況の逆風の中を耐え忍んでおります。

 私は長い間、管理会計の困難さに遭遇しておりました。その内の一つの問題とは、損益計算書の仕組みにありました。それを容易に理解できなかったので、従業員に利益の意味を説明することが難しかったのです。今思い返せば、製造間接費を含む棚卸資産という存在があったようです。当社の製造間接費中に占める主要なコストは工事監督技術職員給与です。一人の技術者は、一つの主業務に従事していると同時に、幾つかの小さな仕事にも、一人で、あるいは共同で従事しなければなりません。実際のところ、監督技術職員の日常労働コストを複数の仕事に正確に配賦することは不可能なのです。

 二つ目の問題は、現場で管理目標として管理している工事原価と損益計算書上の工事原価とは違うようなのです。従って、結果的に二つの総利益(営業利益でもよい。)は違ってきます。

 三つ目の問題は、会社全体の、あるいは事業部門別毎の現在の利益状況をグラフの形で従業員に伝える方法を自分は持っていないということでした。私はパソコン画面上で利益図を使って、何時でも従業員に利益状況を伝えたいと思いました

 私は、ハンドブックを含む原価計算テキストを何冊か買い求めました。そこで私は、自社で採用されている原価計算法とは全部原価計算の下での標準原価計算であるということを知りました。しかしながら、それらの本に記述されている原価計算法は、自社の管理会計の手段としては役に立ちませんでした。テキストに定義されている総利益、即ち損益計算書上の総利益は、自社の工事現場で目指している目標総利益の定義とは違っていたのです。現場サイドで目標としている総利益(一般に商売上の俗語として、粗(アラ)利益と呼ばれている。)を、私は後で、管理総利益と名づけました。テキストに載っている利益図は、直接原価計算における損益分岐点図でした。しかしながら、自社では、直接原価計算を採用していなかったのです。

 これらの問題を解く理論は存在しない、それなら、自分で取り組むことにしよう。

 平成7年のある日、突然ひらめきました。売上高を変数とする製造間接費配賦額関数に対して、最終売上高位置でテイラー展開できないだろうか?この方法は、私が非線形ケーブル変形解析に対して使ったものです。私は棚卸資産の利益に対する影響を考慮した、実際のビジネスに適用できる新しい損益分岐点図(利益図)を導きました。私の発見は会計学テキストに記載されている図形と損益分岐点公式とは違っていました(このことは、後で知りました。)。その後のことは、次をご覧ください。

経済学

 本ウエブサイトにおける会計学部門の記述を終えた後の平成15年の9月、私は、国民経済計算の中の産業連関表に対して、私の会計理論を適用する試みを始めました。私はそこで、産業連関表データに関係する或る変動比を持った今まで誰も見たことがない図形を見つけました。その図形は、経済学に関するどんなテキストにも載っているケインズ投資乗数効果を説明する図形とは違っていました。GVAGDPの間の関係に関する私の図形は、消費関数にも限界消費性向にも関係なかったのです。そして、ケインズ投資乗数効果公式は、実は、・・・・。その後のことは、次をご覧ください。

生命活動の理論

 私は、自分自身持って生まれた自律神経性の体調不調を西洋医学では治療できなかったので、自己治療のために40年間、医術(東洋医学)を独学していました。その中で、全生命(単細胞と多細胞生物)を通じて成立する一つの仕組みを見つけました。生物がこの世に生まれる。生物は、外界より食物(他体)を得る(又は自体を作る)。他体と接し、他体の栄養素(生命活動の素)を吸収し、反発し、惹かれ合う。食物(他体)を消化し、自体に作りかえて成長する。自体のエネルギ−代謝効率を高め、休息する。生殖し、新しい生命を生み出し、老いて死ぬ。この過程の中に、栄養素とそれを運ぶ溶媒(流体)がある。この仕組みを基にして生物活動に対する或る仮説を作り出しました。

 一方で、偶然か必然か、私は企業経営の必要のために企業活動の仕組みを見出しました(管理総利益図理論)。人間の身体活動と精神活動は、結局は細胞(組織と機能)の働きのはずです。”生命活動は、細胞活動の仕組みを模倣する”。大気の組成や自然環境の大部分は生命が作り出したものです。その仮説は、企業活動のみならず、実は人間のあらゆる社会活動(政治、経済、文化、争い)、さらには地球環境をも制しているのではないか?

 そこで、その仮説の立証のために、その仮説を人間活動の集大成である産業連関表に適用してみたのが経済学研究の始まりです。そして、それは国民経済計算損益分岐点図理論、ケインズ、ワルラス、シュンペーター、レオンチェフ、筆者最終理論へと繋がっていきます。

 従来の経済学理論との整合を図りながら、仮説を修正構築してきました。従って、その仮説を記述しないことには、筆者の最終的な経済学理論を記述しにくいのです。一番苦労しているところが金融信用と仮説との整合です。金融信用とは言葉(予知予言)から生まれ、英知(確認と認識)によって長年月をかけて育てられました。金融信用とは人間が社会の中で生きるために固められた一つの規範なのです。信用の概念は人間活動と他の生物活動とを区別する大きな特徴です。金融信用とは、欲望の達成先に向かって進む歩みの意志と行動であり、その力は算術計算理念(結局、人間の英知)に対する信仰です。金融信用には必然的に金融不信用(貸倒損失と評価損)が含まれます。従って、実物資産の一部は金融不信用によって存在します。この仮説は、必ずや人間の病気治療のみならず、社会の病気治療にも役立つはずです。しばらく、お待ちください。
Dec. 2003 Yuichiro Hayashi, http://www11.plala.or.jp/yuichiro-h/