Nightmare

《1》


 腕と肩の痛みで、吉岡は意識を取り戻した。
 身じろぎすると、両手は頭上で一纏めにして吊るされ、両足も緩く開いた状態で床に繋がれているのが判る。
 力の入らない足を踏み締めて、腕に掛かっていた体重の負担を軽くする。
 大きく深呼吸をして、吉岡は辺りを見回した。
 そこは何も置かれていない殺風景な部屋だった。
 コンクリートとも、樹脂ともつかないものが壁と天井を覆っている。
 しかし吉岡が吊るされているすぐ背中は、明らかに金属製と判る壁‥‥いや、仕切りだった。
 やがて、ぼやけていた頭が徐々に思考を取り戻す。
 戦いに必要な物資を調達するのは吉岡の役目で、時々、基地や戦列を離れて交渉や輸送に向かう事があった。
 工作員達に指示を出して基地に戻ろうとした矢先、敵に襲われたのだ。
 戦っているうち、ガス弾を使われ、不覚を取って眠らされてしまった事までは覚えている。
 不本意ながら、まんまと捕まってしまったと言う事なのだろう。
 頭上を見上げると、両手首を縛っているのは太いロープだった。
 いかに吉岡でも、これを引き千切るだけの力はない。
 手首を捻ってみると、結び目がほんの僅か緩んだ感じがする。
 このまま力を加えれば外せるだろうか、そんな事を考えていた時。
 吉岡の正面にあった扉が、乾いた音を立てて開いた。
 そこに立っていた白衣の男を見て、吉岡は息を飲んだ。
「よう。お目覚めの気分はどうだ、啓一郎?」
 悪ガキがそのまま大人になってしまったような顔をした青年が薄い笑みを見せる。
 西條晴彦――西條貴之の何人かいる『妻』が生んだ子どもで、西條姓を名乗る事を許されている。
 頭のいい男で、ある有名な大学で科学全般に才能を発揮していたが、生物学、特に遺伝子工学関係を得意としていた。
 しかし、動物実験どころか平然と人体実験を行っていた事が問題になり、西條の力で揉み消された後はグループ傘下の研究所で怪しげな研究に没頭していた。
 頭がいいせいなのか、父である西條貴之以外の人間を見下す傾向が強く、特に妾腹の壱哉には憎しみに近い感情を抱いている。
 ゆっくりと近付いて来る晴彦を、吉岡は黙って見詰めた。
 一瞬驚きの表情を見せただけで、すぐいつもの平然とした様子に戻った吉岡に、晴彦は口元を歪めた。
「なんだ、久しぶりに会ったのに随分愛想がねえな」
「‥‥‥‥」
 黙ったままの吉岡に、苛立たしげな表情を浮かべる。
 晴彦は、乱暴な仕草で吉岡の頤を掴むと、至近距離でその瞳を覗き込む。
「お前、自分の立場がわかってんのか?今お前は俺の手の中だ。どんな事をされたって文句は言えねえんだぜ?」
 しかし、痛みに僅かに顔を歪めたものの、吉岡は静かな表情を崩さなかった。
「‥‥お前は、いつもそうだ。すかしたような顔しやがって!」
 晴彦の表情が憎々しげに歪む。
「大体、お前は気に入らねえんだよ。なんで壱哉なんかに付きやがったんだ!」
 晴彦は、忌々しげに吐き捨てた。
「孝一の息子のお前が付いてるから、壱哉ごときが生意気に会社を持てるんだろう。もしお前が俺に付いてりゃ、一族の俺がグループの後継ぎになれたんだ!」
 吉岡は、晴彦の言葉を少し呆れて聞いていた。
 壱哉が独自にグループを作り上げたのは吉岡の力でも、ましてや西條貴之の七光りでもない。
 全て、壱哉自身の力なのだ。
 確かに吉岡はかなりの部分をサポートしていたけれど、もし吉岡がいなかったとしても、壱哉は必ず頭角を現していたろう。
 でなければ、あの西條が独立出来る程の仕事を任せるはずがない。
 しかしこの男は、そんな事を全く判っていない。
 吉岡が、西條の側近である孝一の息子がいたから壱哉はグループを作れたのだと、本気でそう思い込んでいるのだ。
「‥‥壱哉様には、生まれついての『実力』があります。私が付いていなかったとしても、壱哉様は今と同じように立派なグループを作り上げていたはずです」
 冷静すぎる答えに、晴彦の顔が真っ赤になった。
 頤から手が外れると、次の瞬間、左の頬に熱い衝撃が走った。
 平手で頬を打たれ、切れた唇から血が滴る。
「ふん‥‥まぁいい。どうせ壱哉には、ここで消えてもらうんだ」
 晴彦は、何とかヒステリックな怒りを押さえ込んだようだ。
 吉岡の口元の血に目を留めた晴彦は、薄く笑うと、指でそれを拭い取った。
 そして、赤い舌を出して指の血を舐める。
「‥‥美味いな、お前の血は」
 目を細め、笑みを浮かべる晴彦に、吉岡の背中を得体の知れない悪寒が走り抜ける。
「お前には、壱哉なんかに付いた事を心の底から後悔させてやるよ‥‥たっぷりと、な」
 喉の奥で笑った晴彦は、白衣のポケットに入れていた携帯端末のようなものを操作した。
 鈍い音を立てて、吉岡の背後の金属壁が上に上がって行く。
 肩越しに後ろに視線をやった吉岡が青ざめた。
 濃い緑色の、イソギンチャクのような触手、と言えば一番近いだろうか。
 動物とも、植物ともつかないそれらは、うねうねと不気味に波打ちながら吉岡の方に伸びて来る。
「可愛いだろう?そいつらは、俺が作り出したんだ。俺だけに従う、素直な奴らなんだぜ」
 晴彦は、満足げに目を細める。
「啓一郎、お前は壱哉をおびき出す『エサ』だ。そして、こいつらのエサでもある」
「!!」
 目を見開いて見返して来る瞳に、晴彦は笑った。
「なぁに、お前自身を食う訳じゃねえから安心しろよ。そいつらは、人間の体液が大好物なんだ。特に『精液』がな」
 事も無げに言う晴彦の言葉に、吉岡は言葉を失った。
 彼が人体実験をして学会を追放されそうになった事は知っていたが、その偏った倫理観を目の当たりにしたのだ。
 と、吉岡の脚に、触手の一本が巻き付いた。
「っ!」
 反射的に吉岡の身体が強張る。
 粘液にぬめる表面が、嫌に冷たく感じられる。
 生理的な嫌悪に全身が泡立った。
 しかし、手足を縛められていては逃れる事は出来ない。
 二本、三本と、触手は次々と数を増やして吉岡に絡み付く。
 粘液にぬめる表面が直接皮膚を擦る感触は、悲鳴を上げて逃れたくなるような嫌悪感だった、
 しかし勿論吉岡は、そんな弱みを見せる気はない。
「へぇ?お前、結構潔癖症だったはずだが、頑張るじゃねえか」
 晴彦は、余裕たっぷりの表情を取り戻していた。
 全身を強張らせながら、吉岡はきつい瞳で晴彦を睨み付けた。
 しかし、それに返されたのは楽しげな笑みだった。
 晴彦が、触手の一本に触れた。
 と、まるでその思考を読み取ったかのように、触手の動きが変わる。
 吉岡を縛めていた手足のロープに絡み付いた触手が、信じられない力でそれを引き千切る。
 しかし、自由になるはずの身体は触手達に捕らえられている。
 両手は後ろに捩じ上げられ、両足は晴彦の方に向けて大きく広げられてしまう。
 そして触手達は、身体にぴったりとフィットするチャイナドレスの下に先端を押し込み、強引に入り込んだ。
 一瞬、持ちこたえるかに見えた布は、音を立てて引き裂かれる。
 剥き出しになった肌に、別の触手が群がった。
「‥‥!」
 嫌悪の為だろう、吉岡の全身が大きく震えた。
 触手達はその柔軟な身体で吉岡の身体の至る所を刺激し始めた。
 二つの乳首を細い触手が締め付けるように巻き上げ、或いは押し潰すように刺激する。
 触手の先端がうなじや鎖骨のラインを辿り、腕や腹の筋肉をなぞる。
 形の良い臍にも先端を突き入れ、手足の指の間、爪の先端を擽るように撫で上げる。
 今まで味わった事もない人外の刺激に、吉岡の身体は意思とは裏腹に昂ぶり始めていた。
 粘液に催淫効果でも含まれているのか、触手に触れられれば触れられる程、肌は熱を帯びて敏感になって行くようだ。
 身体の奥に点された熱が、確実に全身に広がって行くのがはっきりと判る。吉岡は必死に声を堪えていたが、確実に上がって行く呼吸はどうする事も出来ない。
 何より、その股間のものはまだ一指も触れられていないのに頭を擡げ、先端に先走りの露が滲み始めていた。
 日頃晒される事がない為に白い素肌がうっすらと血の色を加え始め、ピンク色に染まる。そこに緑色の触手が絡み付き、ぬめる粘液を擦り付けている様子は酷く煽情的に見えた。
 ごくり、と唾を飲み込んだ晴彦が、触手に手を触れた。
 と、触手の一本が、双丘の狭間にある窄まりに触れた。
「――っ!」
 声にならない声を上げ、吉岡の身体が大きく震えた。
「なんだ啓一郎、初めてなのか?」
 意外そうに晴彦が眉を上げた。
「壱哉の事だ、さっさと手を付けてんのかと思ったんだがな。そうすると、身体が良くてあいつの所にいる訳じゃねえのか」
 本当に不思議がっているらしい晴彦を、吉岡は睨み付けた。
 しかし、目元にうっすらと朱の色を刷き、熱に潤みかけている瞳ではかえって相手の情欲を煽ってしまう。
「まぁいい。だったら、かえって好都合だ。壱哉の悔しがる顔が目に浮かぶぜ」
 楽しげに笑った晴彦の意思を受けたのか、指よりも細くなった触手が窄まりの真ん中を貫いた。
 粘液に助けられ、細い触手は思いのほか抵抗なく体内に入り込む。
 しかし、どんなに細くとも異物は異物だ。
 体内に得体の知れないものが入り込む違和感と嫌悪感に、吉岡はきつく奥歯を噛み締めて耐える。
「そんなに締め付けるなよ。これからもっといいものをくれてやるからよ」
 晴彦が楽しげに笑った。
 細い触手が、大きく波打つ。
「‥うぅ‥‥っ」
 体内に入り込んだ触手の先端から、得体の知れない液体が吐き出されたのだ。
 熱くなり始めている体内にはむしろ冷たく感じられる液体が、大量に注ぎ込まれる。
 嫌悪のあまり身を捩るが、注ぎ込まれる液体は止まらない。
「っ、ぐ‥‥‥」
 抗うように開いた口に、今度は太い触手が容赦なく入り込んだ。
 反射的に歯を立てたが、かえって喉奥に入り込むように触手に突き上げられ、吉岡は息を詰まらせた。 
 その触手からも、大量の液体が喉奥に注ぎ込まれる。
 むせ返ったものの、呼吸を確保するには飲み下すしかない。
 まるで精液のように粘性を持った液体を喉に詰まらせながらも、吉岡の喉仏が上下する。
 大量に飲ませて満足したかのように、吉岡の口から触手が抜けた。
 飲み切れなかったのか、精液と同じように白濁した液体が口の端を汚している様子は、酷く淫らに見えた。
 同じく、大量に体内に注ぎ込んでいた触手がずるりと抜ける。
「あ‥‥」
 窄まりがすぐには閉じず、注ぎ込まれた液体が溢れ出て来る感覚に、吉岡は眉を寄せて呻いた。
 羞恥の為か、窄まりがきつく収縮して、体内に注がれた液体を閉じ込めてしまう。
「クク‥‥美味かっただろ?そいつには、即効性で強烈な催淫効果があるんだよ。しかも、俺の持ってる中和剤がなけりゃあ、死ぬまでよがり続けるんだ。そいつを上と下からあれだけ飲まされたら、どうなるかなあ?」
 晴彦は、からかうように笑った。
 その意思を受け、触手が吉岡の身体を縛り上げるように巻き付いた。
 別の触手が既に力を失っている両脚に絡み付き、晴彦に向けて股間をさらけだすように大きく広げる。
「え‥‥‥?」
 半ば熱に浮かされた瞳が、晴彦の股間に止まった。
 黒っぽいスラックスから取り出された晴彦のものは、既に高々と天を仰いでいた。
 男性としてはかなり巨きい部類に入るであろうそれを、晴彦は一撫でした。
「今まで壱哉に抱いてもらえなくてつまんなかっただろ?代わりに俺が、頂いてやるよ!」
 言って、晴彦は吉岡の腰を手で抱えた。
「やっ、やめ‥‥っ!」
 初めて、吉岡が弱音を吐いた。
 しかしそれは逆に、晴彦をサディスティックに煽り立てる。
「これからこいつらに嫌ってほどヤられるんだ。今のうちに人間のモノを味わっとくんだな!」
 晴彦は、剥き出しになった窄まりをろくに慣らす事もせず、自分のものを当て、強引に押し込んで行った。
「っ、く、あぁ‥‥っ!」
 吉岡が苦しげに眉を寄せ、頭を振った。
 痛みの為か、その目尻にはうっすらと涙が浮かんでいる。
 大量に注ぎ込まれた触手の体液を潤滑油代わりに、晴彦のものは確実に吉岡の中に収まって行く。
「いっ‥あ‥‥」
 あまりの激痛に、吉岡の全身が痛々しい程に仰け反り、強張る。力を抜けば少しは楽になるのだと頭では判っていても、感情と身体がついて来ない。
「くぅ‥‥たまんねぇな、この締め付け具合」
 目を細め、晴彦は異物を押し出そうとする体内に抗して腰を進めた。
「あっ、あぁ‥‥!」
 今にも引き裂けそうな程引き伸ばされながらも、吉岡の体内は晴彦のものを飲み込んで行った。
 やっと根元まで収め、動きを止めた晴彦に、吉岡は思わず安堵の息をつく。
「‥‥いい具合だぜ、啓一郎。壱哉を始末したら、俺が飼ってやろうか?」
「なにをっ、あぅ、あぁ!」
 反論しようとした言葉は、晴彦が動き始めた為に掠れた悲鳴に変わる。
 晴彦は抜けそうな程引き出しては、腰ごとぶつけるように深くまで抉った。
 その大きな動きに、体内に注ぎ込まれていた触手の体液が掻き出され、卑猥な音を立てながら溢れ落ちる。
「うぅっ、く、あ‥‥」
 眉を寄せ、吉岡は激痛を必死に耐えていた。
 触手達は、まるで晴彦が楽しんでいるのを待つかのように、吉岡の身体を固定したままで何も動かない。
 しかし。
「ん‥っ‥‥ふ‥‥」
 やがて、吉岡の声が変わり始めた。
 苦しげに歪んだ表情は変わらないものの、その吐息には確かに甘いものが混じり始めていた。
 熱に浮かされた瞳と、上気した顔は、普段毅然とした姿を貫いているだけに酷く艶っぽい。
 即効性の催淫剤が効いて来たのか、突き上げられる激痛がそれ以上の快感に思えてしまう。
 痛いのに気持ちいい、その相反した感覚に吉岡の頭の中は真っ白になる。
「ふふ‥‥良くなって来ただろ?俺をこんなに締め付けて、とても初めてとは思えねえな‥‥っ」
 きつく締め付けて来る体内に、晴彦の表情には余裕がなくなって来ていた。
 大きく体内を抉り立てる動きが、どんどん速くなって行く。
「く‥‥出してやるぜ、たっぷりとな!」
 吠えるように叫んで、晴彦はひときわ強く、腰を打ち付けた。
「あ‥‥あぁ‥‥!」
 体内の奥深くに叩き付けられた熱い液体に、吉岡は呻いた。
 既に大量の催淫剤を吸収してしまった内壁には、それは強烈な刺激だった。
 晴彦が達するのとほぼ同時に、吉岡のものからも白濁した精が迸る。
 達した事で、吉岡の体内は晴彦のものから最後の一滴まで搾り出すようにきつく締め付ける。
 息をついた晴彦は、吉岡の体内から抜き出した。
 急には戻らない穴から、触手の体液とも、晴彦の精ともつかない液体が溢れ落ちて来る。
 力が抜けてしまったのか、吉岡は目を閉じてぐったりと弛緩している。
「ふ‥‥啓一郎、中々いい味だったぜ。こいつらも喜びそうだ」
 欲望を吐き出したものを仕舞い込み、晴彦は触手に触れた。
 途端、触手達は息を吹き返したかのように動き始めた。
「うっ、あぅ‥‥っ!」
 何本もの触手が腹部や股間に取り付き、吉岡が放った精を真っ赤な舌のようなものを出して舐め始める。
 今や身体中に回ってしまった催淫剤の効果で、そんな刺激にすら反応して吉岡のものは再び立ち上がった。
「あぁそうだ、お前に飲ませた体液、あいつには男性機能を活性化させる成分もあってな。何度だってイけるようになるんだ。だから、遠慮なく出してかまわねえぜ」
 晴彦が、楽しげに笑った。
 抗議の声を上げようにも、今の吉岡にはそんな余裕はなかった。
 まるで全身の神経が剥き出しになってしまったかのように、触手達の動きに過敏に反応してしまう身体を持て余しながら、せめて理性を失うまいと必死に意識を保っているので精一杯だった。
 と、晴彦の放ったものにも引き寄せられているのか、触手達は我先にと吉岡の体内に這い込んだ。
「ぐぅっ、うぅ‥‥!」
 犯されたばかりの場所が再び引き伸ばされ、吉岡は呻いた。
 次々に入り込んで来る触手に体内をかき回される痛みも、催淫剤の為に全て快楽に変換されてしまう。
「あぅっ‥‥!」
 両方の乳首をきつく締め付けられながら先端を押し潰され、吉岡は仰け反った。
 猛り立つものから迸った精に別の触手が群がり、舐め取って行く。
「クク‥‥随分溜め込んでたのか?こいつらが、お前のは濃くて美味いって喜んでるぜ。ほら、お前に魅かれて別の奴まで来ちまった」
 その言葉通り、部屋の壁際でおとなしくしていた触手までも、吉岡の方に這い寄って来ていた。
 大量の触手達が吉岡を取り囲んで、放たれたものを舐めようと刺激を繰り返す。
 その中の一本が、吉岡の形の良い耳に舌を伸ばした。
「っ、や‥っ!」
 ビクン、と吉岡の全身が震えた。
 しかしそれで触手がやめるはずもなく、三本の長い舌が耳の孔に差し込まれた。
「あっ、か、は‥‥‥」
 人間の感覚器の中でも最も敏感なものの一つである耳の中を、触手は容赦なく蹂躙した。
 敏感な内壁を擦り、時には鼓膜にまで舌を伸ばす。
 強烈な刺激、嫌悪感、恐怖、それらは全て催淫剤が快楽へと置き換える。
 その動きに誘われたのか、別の触手が今度は頭を突っ込んだ。
 まるで体内を抉るように、触手は耳の孔を犯し始める。
「はっ、あぐぅっ‥‥‥」
 あまりにも強烈な、そして過酷な陵辱に、吉岡は唾液を溢れさせながら喘いだ。
 大きく見開かれた瞳は何も見ていない。
 そして、吉岡の全身が痙攣するように波打った。
 迸る精に、触手が群がる。
「耳を犯されてイっちまうとはなぁ?そんなに突っ込まれたかったのかよ?」
 嘲るような晴彦の言葉ももう半分以上判らない。
 味を占めたのか、反対側の耳も触手が頭を突っ込んだ。
「やっ、う、ぐ‥‥‥」
 悲鳴を上げるように開いた口を再び触手が犯した。
 更に、湿った音を立てながら、後ろを犯すものがそれぞれ自分のペースで激しい抜き差しを繰り返す。
「んっ、は‥‥!」
 吉岡は、数え切れない程の触手の群れに全身を蹂躙され始めた。
 時折、吉岡の身体が痙攣するように震えると、白濁した液体が飛び散り、触手の群れの動きが激しくなる。
 普通の人間なら目を背けたくなるような陵辱を、晴彦は薄い笑いを浮かべながら見守っていた。




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これって‥‥だれーっ?!秘書って本当に難しい‥‥。同じくはるちゃんも難しい‥‥。一応自分の中では、壱哉より一つか二つ年上の感覚なんですが。いや、実年齢はもっと上かもしんないですけど、精神年齢は壱哉と同じかもっと下かも。
ここで謝っときます、『初物好き』と言うあね様の設定、勝手にいただいちゃってます。なんかはるちゃん、他のサイト様よりお馬鹿になってるんですけど(お馬鹿なMAYが書くからだ)。秘書、いぢめる分には楽しかったですが。樋口だとすぐ墜ちちゃいそうなんですもん。
丁度秘書触手を考えていた時にプレイしていた男性向けHゲーで、触手に耳を犯されてイってしまうシーンがあって、「これ、使えるかも‥‥」と思ったのがこの話のきっかけでした。これでも自主規制したんですが(考えてた時はもっと凄かった)。
で、当初はこれで終わりだったんですが‥‥あまりにもかわいそうになったので、続きをでっち上げました(それで収拾がつかなくなってるあたり‥‥)。