超戦隊
魔女っ子ふぁいぶ
<深夜一時間スペシャル>
『魔女っ子ぶらっくの最後?!・後編


 青年医師から呼び出しが入ったのは、樋口を連れ去られてから数日後の事だった。
 彼は、壱哉の事を良く知っている。
 勿論罠だろうし、壱哉がどう動くのかも読んでいるだろう。
「壱哉様‥‥‥」
 気遣わしげな吉岡に、壱哉は微笑すら見せた。
「心配するな。俺もあいつの手の内は知っている。何を仕掛けて来ても大丈夫だ」
「はあ‥‥‥」
 尚も歯切れの悪い吉岡に、壱哉は苦笑した。
「あいつらのためにそこまで危険を冒す事もない、か?」
「いえ、そんな意味では‥‥」
 彼らを見捨てる訳には行かない事は、吉岡も知っていた。
「売られた喧嘩は利子をつけて叩き返すのが俺のやり方だ。知っているな?」
「‥‥はい」
 一呼吸置いてから返って来た言葉に、壱哉は吉岡を見詰めた。
「吉岡。俺の言葉が聞けるなら連れて行く。だが、聞けないのなら置いて行くしかないな」
 それは、あの三人を助ける為に壱哉がそれだけの危険を冒すつもりだと言う事なのか。
「そんな、壱哉様‥‥!」
「ついて来るつもりなら、俺の言葉に逆らう事は許さない。それが、守れるか?」
 強い瞳で見上げられ、吉岡は息を飲んだ。
 自分の目の前で、壱哉が危険に飛び込む事は辛い。
 けれど、自分の見ていない場所で壱哉が危機にさらされる事はもっと耐えられなかった。
「‥‥お約束‥‥いたします」
 どこか苦しげに搾り出された言葉に、壱哉は苦笑した。
 壱哉はゆっくりと立ち上がると、吉岡の頬にそっと手を触れた。
「あまり深刻に考えるな。俺を信じろ」
 穏やかな言葉に、吉岡の目元に僅かに朱の色が昇る。
 そんな反応を恥じらうように目を伏せた吉岡に、壱哉は楽しげに笑った。
「さて‥‥招待されたからには、客として遅れる訳にはいかんからな」
「はい」
 余裕たっぷりに笑う壱哉に、吉岡は短く答えて頭を下げた。
 ―――――――――
 青年医師が呼び出して来たのは、今は使われていない巨大な廃倉庫だった。
 吉岡に運転させて来た車を降りると、その前に、艶消しの黒のチャイナドレスに身を包み、サングラスをした工作員が現れた。
 壱哉は、自分が到着する前に、妙な仕掛けがないかどうか事前に調べさせておいたのだ。
 逃げ場のない倉庫におびき出されて閉じ込められ、倉庫ごと始末されたりしたら目も当てられない。
「社長。ご命令通りこの周辺を探索致しましたが、人の気配はありません。爆発物等、罠も発見できませんでした。内部を探ったところ‥‥‥」
 工作員は、言いづらそうに口篭もる。
「なんだ。はっきり言え」
 静かな、しかしどんな誤魔化しも許さない声に、工作員は目を伏せた。
「ターゲットの三人は、あの医師の作り出した合成モンスターに捕らえられている様子です。更に、身体的な拷問を受けているものと‥‥」
 工作員が言葉を濁した、その状態が壱哉には大体想像がついた。
「悪趣味なあいつがやりそうな事だ。‥‥ご苦労。引き続き、辺りを警戒していろ」
「はっ!」
 深々と頭を下げ、工作員は消えた。
 工作員の報告はある程度予想出来たものだった。
 まず青年医師は、自分が作り出した『作品』以外は信用しない傾向がある。
 そんな彼が、西條の部下を借りてまで周りを固めるとは考えられなかった。
 また、精神的に人を陥れる姑息な手段を好むくせに、物理的な『罠』や裏工作などは軽蔑している節がある。
 そんな青年医師が、少なくとも爆弾で吹き飛ばしたりというような無粋な罠は仕掛けないだろう。
 やるとすれば、もっと姑息でえげつない事に決まっている。
 そう‥‥自分の作り出したモンスターに獲物を嬲らせておびき寄せるような。
「壱哉様‥‥‥」
「心配性だな、お前は」
 気遣わしげな吉岡に苦笑した壱哉は、すぐに、静かな怒りの表情を浮かべた。
「あのヤブにこれ以上あいつらを好き勝手させる訳にはいかんからな」
 壱哉は、巨大な倉庫の扉を見上げた。
 ―――――――――
「んっ、く、くそっ‥‥!」
 湿った音が天井の高い倉庫の中に響く。
 樋口達三人は、あの触手に囚われていた。
 まるで木かイソギンチャクのように、太い幹のような身体から何本もの赤黒い触手が伸びて手足を捕らえている。
 そればかりか、触手達はチャイナドレスの襟元をはだけて入り込み、或いは太腿の間に這い込んで敏感な部分に触れたり巻き付いたりして嬲っている。
 三人の身体は、下肢を中心に触手達の粘液などでしとどに濡れている。
「な‥なんで、こんなバケモンにさわられてんのに、気持ちいいんだよ‥‥っ!」
 触手への生理的な嫌悪感と、その動きで快感を感じてしまっている身体への自己嫌悪で、新は泣きそうになっていた。
「く‥んっ‥‥‥」
 唇を噛み、必死に耐えようとしている山口だが、その呼吸は既に荒く、目元にはほんのりと朱が差している。それでも耐え切れない快感に、時折全身が痙攣するように震えた。
「あっ、ん‥‥なんっ、で、こんな、ことを‥‥!」
 甘い快感に身体を震わせながら、樋口が呻いた。
 あの地下研究所とやらで、三人は散々嬲られた。
 後ろをまともに犯される事こそなかったが、何度も射精を強いられ、自力で動く気力もなくなる程煽り立てられ続けた。
 その後、しばらくの時間、意識を失う事を許されたと思えば、またこうして嬲られているのだ。
「ふふ‥‥あなたたちは、『エサ』なんですよ。極上の獲物をおびき寄せる、極上のエサです」
 青年医師が、楽しそうに目を細めた。
 『極上の獲物』が壱哉を指すのであろう事はすぐに判った。
「黒崎が、来ると思うのか‥‥?!」
 荒い息の下からの言葉に、青年医師は笑った。
「えぇ、来ると思っていますよ?それに‥‥‥」
 青年医師は、ゆっくりと樋口に近付くと、大きく広げられた脚の間に手を伸ばした。
「んっ、や、やめ‥‥っ!」
 後ろの窄まりを指で嬲られ、樋口はビクン、と頭を仰け反らせた。
 既に大量の催淫剤を吸収させられている場所へは、ほんの少しの刺激でも耐えられなかった。
「もし、黒崎さんが来ないのであれば、あなたたちを遠慮なく私のものにさせてもらいます。どちらに転んでも、私には好都合なんですよ」
 青年医師は、喉の奥で笑った。
「そう都合よくはいかんぞ!」
 良く通る声が響いた。
「く‥黒崎っ‥‥!」
 そこには、漆黒のチャイナドレスに身を包み、吉岡を従えた壱哉の姿があった。
「ようこそ。お待ちしていました」
 青年医師が、胸に手を当てた気障な仕草で一揖した。
「‥‥‥‥‥」
 触手達に嬲られている三人を認めた壱哉が、僅かに目を細めた。
 苦労して顔を上げた樋口が、辛そうな表情で壱哉を見詰める。
「ゴメン‥俺‥‥」
「黙っていろ」
 壱哉が、怒りを隠しもしない口調で言った。
 その瞳は、樋口の傍らに立つ青年医師に注がれていた。
「貴様‥‥‥」
「おやおや、怖い顔だ。そんなに彼らが大切ですか?」
 微笑する相手を、今にも射殺しそうな怒りに燃えた瞳が見据える。
「まだ‥‥俺ですら、試食しかしていなかったんだぞ!!」
「‥‥‥は?」
 状況も忘れ、樋口達三人の目が点になる。
 対して、青年医師は肩を竦めて苦笑した。
「さすがに私もそこまで命知らずではありませんのでね、彼らを仕込むのは遠慮しましたよ。まぁモンスターの触手くらいは挿れましたが、それでも指一本程度の太さにしておきましたから。あなたの楽しみはまだ残っています」
 しかし、壱哉はますます怒りの表情を浮かべる。
「おまえ自身だろうがモンスターだろうが同じだ!くそっ、こうと知っていれば、さっさと買い上げて思い切り味わっておいたのに!」
 仲間を助けに来た者とも思えない壱哉の言葉に、樋口は陵辱されながらも声を上げた。
「く‥‥黒崎‥怒る論点が違うだろ?‥‥普通は、仲間に酷い事したとか、そう言う事を怒るんだろ‥‥!」
 荒い息の下から抗議の声をあげた樋口を、壱哉はじろりと睨み付けた。
「お前達がいいように嬲られる事はともかく、それを俺の目の届かん所でやられたのは気に食わん!何しろ、お前達は俺の大切な‥‥」
「え‥‥‥」
「‥‥性奴隷なんだからな!」
 目一杯本気な顔で断言され、樋口は抵抗する気力も萎えてしまった。
 なんかもう、何もかもどうでも良くなってしまった気がする。
「‥‥‥‥‥」
 同じく、抗う元気もなくなってしまった新と山口である。
 青年医師に酷い目に遭わされているのは確かだが、こうして壱哉が来ても助かった、という感じが全くしないのは何故なのだろう。
「さて、イチャつくのはその程度にしていただきましょうか」
 表面、笑みを浮かべているがどことなく怒ったような口調で青年医師が割り込んだ。
 今の会話の一体どこがイチャついてるのか教えて欲しい、熱に浮かされた頭でそう思う樋口である。
「月並みなセリフですが。彼らを助けたければ抵抗はしないでください。もし、従えないのであれば‥‥‥」
「こいつらの命はない、か?」
 面白くなさそうな壱哉の言葉に、青年医師は苦笑した。
「とんでもない、そんな野蛮な事はしませんよ。ただ‥‥‥」
 青年医師は、樋口達を捕らえる触手に手を触れた。
「あぅ‥‥っ!」
 肌を這い回る触手が動きを増し、三人は切なげに身を捩った。
「その時は、この太い触手で彼らを犯して、私なりの方法で仕込ませてもらいますから」
 私としてはその方が良いのですが、そう呟く青年医師に、樋口達三人は総毛立つ。
 この男は、壱哉とは別の意味で危険な人間だった。
「ふん‥‥‥」
 面白くもなさそうに、壱哉は鼻を鳴らした。
「どちらにせよ、俺に拒否する自由はない、という訳か。いいだろう」
 壱哉は、挑発するような笑みを浮かべ、青年医師を流し目で睨んだ。
 その凄絶なまでの色気に、青年医師はぞくり、と背筋を震わせる。
「‥‥では、もう少しこちらに来てください。妙な真似はしないように」
 小さく頷いた壱哉は、一旦足を止めて控えていた吉岡を振り返った。
「吉岡。何があろうと手は出すな。いいか、何があろうと、だ。これは命令だからな」
「‥‥‥‥‥」
「返事は?」
「‥‥承知しました」
 促され、吉岡はやっと頷いた。
 頷き返し、壱哉はゆっくりと歩を進めた。
 樋口達までもう少しで手が届く、と言う距離まで近付いた時。
「?!」
 突然、足に何かが絡み付いて自由を奪った。
 太い幹から鞭のように伸びた触手が、次々と壱哉の身体に絡み付いて来る。
 両手足を捕らえられ、壱哉は身動きが出来なくなる。
「壱哉様!」
 思わず吉岡が叫んで近付こうとしたが、壱哉の厳しい視線に動きを止める。
 きつい色をした瞳は、壱哉がこうなる事をも予想していた、その覚悟を窺わせる。
「俺を捕らえてどうする?この場で命を奪うのか?」
 動じた様子もない壱哉に、青年医師は苦笑した。
「そんな野蛮な事はしないと言っているでしょう。私は博愛主義者なのですから」
「ふん。ものは言いよう、だな」
 臆面もない青年医師の言葉に、壱哉は鼻を鳴らした。
「この所、あなたはこの三人に御執心でしたからね。つれなくされて、寂しい思いをしていたんですよ?」
「そう言いながら、お前の事だ、気に入った患者でも垂らし込んで楽しんでいたんだろう」
「おや、見ていたような事をおっしゃいますね」
 悪びれた様子もなく認めた青年医師は、軽く、眼鏡を指で押し上げた。
「邪険にされた軽い意趣返しと思えば、可愛いものでしょう?」
 薄く笑った青年医師が、目を細めた。耳元の小さなピアスがきらりと光る。
 青年医師が軽く指を鳴らすと、触手達がざわりとうごめいた。
「‥‥‥っ」
 触手の強い力に両脚を大きく引き開かれ、壱哉は息を詰めた。
「今のあなたは私の敵ですからね。遠慮なく、楽しませていただきますよ」
 楽しげな表情で青年医師は壱哉を眺めた。
 その意思を受けて、細い触手が壱哉の胸元に這い込み、飾りボタンを外した。
 顕わになった胸肌を、赤黒い触手が這いずり始める。
 同時に、しなやかな両脚に絡み付いた触手が、ゆっくりと上へ進み始めた。
「くろ‥さき‥‥っ」
 自分も触手達に嬲られながら、樋口が呻いた。
 壱哉も自分達と同じ目に遭うのだろうか。それが、自分達が捕まってしまったせいなのだと思うと、居たたまれなかった。
「あまり口を出されてはうるさいので。少し黙っていてください」
「っ、ん‥‥!」
 強引に口の中に細い触手が入り込み、樋口は息を詰めた。
 まるで巧みなキスのように、舌を絡め取られ、樋口の頭の中は真っ白になる。
「樋口‥‥‥っく!」
 そちらに注意を奪われた壱哉は、後ろの窄まりを太い触手がつつく感触に身を固くした。
「あなたはもう慣れていますから、彼らと違って遠慮なく責められると言うものです」
 まるで初めての実験材料が手に入ったような楽しげな様子で、青年医師は目を細めた。
「このモンスターは私の自信作なんですよ。精神構造は単純ですが、それだけに、快楽と食物である人間の体液には執着が強いんです。分泌する体液の催淫効果もかなりのものですから、あなたがどうなるか楽しみです」
「う、あぁ‥‥っ!」
 壱哉が、掠れた声を上げて仰け反った。
 本当に容赦しないつもりなのか、男の性器に似た先端を持つ太い触手が、まだほぐされていない窄まりにずぶずぶと入り込む。
「‥んっ‥‥くぅ‥‥」
 壱哉が、苦しげに眉を寄せて呻いた。
 いくら壱哉でも、ろくに慣らされずに受け入れるのはきつい。
 強引に捩じ込まれて来る触手の表面が粘液に覆われているから、何とか受け入れられるようなものである。
 逃れようにも、もがこうにも、手足はしっかりと捕らえられていて、動く事すら出来ない。
 一気に入り込んだ触手は、そのまま動きを止めた。
 壱哉は大きく息を吐き、引き攣れるような痛みを伝えて来る部分の力を少しでも抜こうと試みる。
「まさか、もう降参と言う訳ではないでしょう?」
 青年医師が、答えを承知している口調で言った。
「ふ‥こんなもので終わりなら、お前としていた方がまだマシだな」
 口元に笑みすら浮かべた壱哉の言葉に、青年医師の表情から感情がすうっと消える。
「そうですか。それなら、あなたがどの程度で満足できるか試してみましょうか?」
 青年医師は、まるで実験の指示をするかのような無感情な口調で呟いた。
「‥‥っ」
 壱哉の後ろを犯す触手の表面が、大きく波打った。
 同時に、体内に大量に注ぎ込まれた液体状の何かに、壱哉は眉を寄せて呻いた。
「その体液は、肌から吸収しただけでも強い効果をもたらします。それを直接粘膜から吸収したらどうなるでしょうねえ?」
 青年医師は、楽しくてたまらない、と言った様子で笑った。
 壱哉の体内に大量の体液を注ぎ込んだ触手は、そのまま、うねるように、かき回すように抜き差しを始める。
 同時に、壱哉の胸肌や太腿などに絡み付いた触手が、肌を擦り立てるように動き始めた。
「っふ、あ‥‥ぅ‥‥‥」
 全身に与えられる人外の刺激に、壱哉は背中を震わせた。 
 まだ馴染んでいない体内を容赦なく抉り立てられ、普通の行為ならあるはずの痛みは最早感じられない。
 いや、そればかりか、体内と、触手が触れて粘液をなすりつけられた肌が奇妙な熱を持っていた。
 これが、触手の粘液の催淫効果なのか。
 それを裏付けるように、触手に触れられている場所はますます熱くなって行く。
 強いられる熱さはむず痒さにも似て、もっと触れられる事を、もっと強い刺激を求める。
「は‥‥ん‥‥」
 襟を大きくはだけられ、剥き出しにさせられている乳首が、いつの間にか固くそそり立っていた。
 両方の乳首には細い触手がきつく巻きつき、或いは押し潰すようにして刺激を与えている。
 そればかりか、わき腹や背中、首筋、耳の後ろなど、あらゆる場所を触手が這い、粘液をなすりつけながら嬲るような刺激を続けていた。
 勿論、体内を人間では有り得ない動きで抉り立てる触手には、勝手に腰が浮いてしまう。
 敏感な場所に触れる度に電気のような刺激が走り、体内が強く収縮して触手を締め付けている。
 くびれの辺りまで抜き、すぐにまた深々と突き入れる触手は、抜き差しの他にうねるような動きも加えて壱哉の中をかき回す。
 余程大量に注がれたのだろうか、太い触手を受け入れている体内からは動きに合わせて薄青い体液が溢れ落ちて来ていた。
「んぅっ、あ、ん‥‥‥」
 甘さの混じり始めた喘ぎに、青年医師は目を細めた。
 すると、触手の一本が、半ば開かれた壱哉の唇を割って、口内を犯し始めた。
 くぐもった呻きを洩らす壱哉の瞳からは、最早強い色は失せているようだった。
 口の端から唾液を細く滴らせながら、壱哉はいつしか口内を犯すものに舌を絡ませ始めていた。
 喉を鳴らしながら触手の分泌する液体を飲み下し、猥らな音を立てて舌を這わせる。
 太い触手を突き立てられ、激しく犯されている体内も、今や強烈な快感を呼び起こしていた。
 壱哉は、触手の抜き差しに合わせるかのように腰をうごめかせ、自分から更なる快感を求めているかのように見えた。
「さすがにこれは、気に入っていただけたようですね」
 青年医師が喉の奥で笑った。
 その意思を受け、触手達が動いた。
 上と下から壱哉を犯す触手はそのままに、別の触手が壱哉の腰に巻きついた。
 更に細い触手が黒いチャイナドレスの長い裾を捲り上げ、色白の脚をM字型に大きく広げる。
 今や高々とそそり立ち、透明な雫を吐き出しているものも、赤黒く太い触手を深々と飲み込んだ後ろの窄まりも、残らず顕わに見せ付けられる。
 夥しい粘液のおかげで、壱哉の後ろの穴は、まるで女の性器が蜜を吐き出しているかのように濡れていた。
 色白のしなやかな肢体がグロテスクな触手に囚われ、粘液に汚され、あまつさえ上と下から太い触手に犯されている様は、眩暈がする程背徳的で、息が詰まりそうな程煽情的だった。
 いつも冷静で冷たい刃物のような緊張感を湛えている壱哉がこんな風に乱れている。
 あられもない姿を晒しながら、それでも壱哉は綺麗に見えた。
 樋口も新も山口も、その淫猥な美しさに目を奪われた。
 同じ触手に嬲られながら、壱哉に煽られるように、自分達もまた昂ぶっていた。
「ふふ‥‥きれいですよ?」
 青年医師の口元に、どこか残忍な笑みが浮かんだ。
 その言葉に合わせるかのように、壱哉の体内を抉っていた太い触手の動きが変わる。
「うぅっ、んっ、く‥‥」
 大きく目を見開いた壱哉の身体が、撥ねるように仰け反った。
 人外のものであるが故に、触手は太さも、形も定まってはいない。
 陵辱の意思に、触手は壱哉の体内で姿を変えた。
 馴染んだばかりの体内を押し広げるように太さを増し、更に体内に入り込んでいる部分に無数のイボのような突起を作り、激しくかき回す。
 小さな突起も、媚薬で敏感になった体内には棘でかき回されているような痛みと刺激をもたらした。
 人間相手では絶対に有り得ない強烈な陵辱を、壱哉は全身を痙攣させるようにして受け止める。
 ぼんやりと宙を見上げる瞳は、快楽の色に染まっている。
「‥ふっ‥‥う、ぅ‥‥‥」
 無意識なのだろうか、壱哉が腰を突き上げるように身を捩った。
 更なる刺激が欲しいのか、口内を犯すものを激しく舌で舐め上げる。
 触手の蹂躙を受け、貪るように快楽を追っている壱哉の姿に、青年医師はごくりと唾を飲み込んだ。
 自分相手では‥‥いや、人間相手では決して見られなかった壱哉のあられもない姿に、眩暈を起こしそうな程の陶酔を覚える。
 壱哉は早くも限界に近付いているのか、猛り立ったものを触手の表面に擦り付けるように腰を突き上げている。
 体内から直接吸収させた体液の催淫効果が、ここまで壱哉を乱れさせているのかも知れない。
 夥しい先走りを吐き出しているものに、何本もの触手が巻きついた。
「最初は、私からのサービスです。焦らさないであげますよ」
 その言葉通り、触手達は壱哉のものを一気に擦り上げた。
「んっ、んん‥‥‥!」
 壱哉が軽く頭を仰け反らせ、全身が小さく痙攣するように震えた。
 絡み付く触手達の間に白濁した液体が飛び散ったように見えたが、それはすぐに吸収されてしまったらしい。
 時を同じくして、壱哉の体内と口を犯していた触手がうねるように波打った。
 ほぼ同時に、触手が夥しい体液を吐き出した。
 精液のように白濁した、粘性の高い液体が壱哉の喉奥と体内に放たれる。
 口の端から唾液を溢れさせながらも、壱哉は放たれた体液を喉を鳴らして飲み下した。
「んっ、ふ‥‥‥」
 口内を蹂躙していた触手が、力を失ったかのように抜け、壱哉は大きく息をついた。
 後ろを犯していた触手もゆっくりと抜ける。
 一呼吸置いて、白濁した粘液が、まだ口を閉じきっていない窄まりから溢れ落ちて来る。
「中々のものでしょう?さすがにあなたも、楽しんでいただけたと思いますが」
 青年医師は、うっとりと壱哉を見詰めながら微笑した。
「うっ、く‥‥!」
 別の触手が、たっぷりと濡れた窄まりを再び貫いた。
 眉を寄せ、壱哉が切なげに呻く。
「これは敵への『攻撃』ですからね。今度は、イかせたりはしませんよ。モンスターの体液だけ注いで、焦らし続けてあげます。あなたが素直になって、私に屈するまで、ね」
「く‥‥‥」
 もがきかけた身体を触手が押さえ込み、後ろを犯す触手が容赦なく突き上げ始める。
「あなたが屈服したなら、どうしましょうかねぇ。あの三人もろとも私の奴隷にしてしまうのもいいですが、それだけではちょっとつまらないですし。あの西條に一度引き渡して、貸しを作っておくのも悪くありません」
 青年医師は本気で考え込んでいるのか、嬲られる三人を眺めながら顎に手を当てて首を傾げた。
「‥‥それは、どちらも願い下げだな」
 酷く冷静な響きを帯びた声に、青年医師は愕然として顔を上げた。
「‥‥‥っ」
 彼の耳元を、細い触手が鞭のように掠めた。
 ピアスと見えたのはクリップイヤリングだった。
 触手にもぎ取られたそれは、きらりと光りながら壱哉の手に収まる。
「なるほど‥‥これでこいつに思考を伝えていたのか。相変わらず、つまらんものだけは器用に作るな」
 手にしたイヤリングを光に翳して、壱哉は苦笑した。
「‥‥‥どうして‥‥‥」
 いつも冷静で余裕たっぷりの青年医師の呆然とした様子と言うのは、実に貴重なものだった。
 壱哉は、太い触手を椅子代わりに片膝を立てて腰掛け、艶然と微笑んだ。
 触手の粘液に身体のあちこちを汚され、陵辱の跡を隠しもしない壱哉は、酷く艶っぽく、背徳的な香りがした。
「こいつが単純な精神構造をしていると言ったのはお前だぞ。だからこいつは、より強い快楽を与えてくれる相手に従ったと言う訳だ」
 壱哉は、触手の一本を手に取ると、男性器に似た先端部のくびれにねっとりと舌を這わせた。
 途端、その触手が大きく震えると、まるで精液のような白濁した体液を吐き出す。
「まぁ、人間とは違う相手でそこそこ楽しめたのは認めるがな。テクニックとしてはいまいちだ。俺を本気で墜とすつもりなら、最低でもこいつにお前並みのテクは教え込んでおくべきだったな」
「‥‥‥確かに‥‥私は、あなたを随分見くびっていたようですね」
 観念したのか、青年医師が肩を竦めた、
「どうする気だ?まだ、何か悪あがきをするか?」
 壱哉の言葉に、青年医師は苦笑した。
「いえ。今日の所は敗北を認めます。引き際は綺麗にするのが私の主義ですから」
 青年医師は、今は触手に囚われているだけの樋口達を一瞥した。
「彼らも私の手に収めたかった所ですが‥‥諦める事にします」
「当たり前だ。せっかくの獲物を、味わわんうちお前に渡せるか」
 あまりと言えばあまりの言葉に、樋口達は絶句し、青年医師は楽しげに笑った。
 それでは、と一礼して立ち去りかけた青年医師は、足を止めて振り返った。
「あぁ、そう言えば、それはある特殊な液体を定期的に投与しないと死んでしまうんですよ。多分、あと半日もすれば動かなくなります」
 医者というよりはマッドサイエンティストと言う言葉がしっくり来る青年医師の言葉に、壱哉は苦笑した。
 これをコントロールする手段を手に入れたからと言って、勝手には使わせない、と言いたいのだろう。
 青年医師がどこへともなく姿を消し、壱哉は触手から滑り降りた。
「壱哉様‥‥‥」
 吉岡が、労わるように、黒いレースのストールを肩に着せ掛ける。
 その吉岡に微笑して見せた壱哉は、青年医師から奪ったクリップイヤリングを左耳に付けた。
「まぁ、半日保つなら充分だな」
「え‥‥‥?」
 開放されるのか、と安堵していた樋口達は、強くなった縛めに戸惑う。
「ちょっ、なに‥‥あ、んんっ!」
 指一本程度だが、いきなり体内に入り込んで来た触手に仰け反る。
「お前達、あいつにイイ顔を見せたんだろう。俺の物だと言う自覚が足りないから、お仕置きだ」
「は?!」
「‥‥‥(汗)」
「一体いつから、俺が黒崎さんのものになったって‥‥っ、あっ、やめろ、よっ‥‥!」
 真っ赤になって反論しかけた新は、容赦なく肌を擦り上げる触手に切なげな顔になった。
 これはもしかして、青年医師への嫉妬、と言うやつなのだろうか。
「お前‥‥っ、こう言うこと、人がやるのは嫌で、自分がするのはいいのか?!」
 精一杯声を張り上げた樋口に、壱哉は平然とした表情を向ける。
「当然だろう。せいぜい、あいつに見せたより色っぽい顔を見せてもらうぞ」
 事も無げに言った壱哉が指を鳴らすと、サングラスに黒いチャイナドレスの工作員が現れて膝をつく。
 敵への裏工作を担当する者達より軽装な彼らは、情報収集のプロフェッショナルだ。
 政敵の情報収集、ターゲットの体重にまで及ぶ詳細な調査などをこなしており、全員が画像処理関係の専門家で、映画の一本など一週間で作ってしまう能力を持っている。
「複数の角度から、しっかり撮っておけよ。後でじっくり編集するからな」
「はい、七台の高画質カメラを常時回しております。音声も高音質のマイクで集音、ノイズ除去処理を行っておりますので、クリアな音質をお楽しみいただけます」
「よし。続けろ」
「はっ!」
 深々と頭を下げ、工作員は姿を消した。
 壱哉と工作員の会話を、樋口達は触手に身体中をまさぐられながら聞いていた。
 これでは、あの青年医師に捕らえられていた時と変わらない気がする。
 しかし、文句を言おうにも、壱哉の意思を受けた触手が弱い場所ばかり刺激するので、口を開けば甘い喘ぎになってしまうのだ。
 その上、触手の体表から分泌される粘液は、確実に肌から染み込み、身体の内からも煽り立てて行く。
 触手達に弄ばれる三人を眺め、壱哉は満足げな笑みを浮かべた。
「その触手が達した時に出す体液は、催淫効果を中和するようだからな。早く逃れたいなら、そいつらをさっさとイかせる事だ」
「‥‥そんな‥‥むりっ‥‥んっ、あぁ‥‥!」
 樋口の言葉尻が甘い声に変わる。
「あいつの話は聞いたろう?半日経てば嫌でも終わるさ」
 平然と言う壱哉は、もしかしてあの青年医師よりタチが悪いかも知れない。
―――全然、助けられた気がしない‥‥!
 快感にぼやけかけている頭で、そっくり同じ事を考える三人であった。


 ちなみに、結局触手が力尽きるまで嬲られ続けた三人は、丸二日疲労で動けなかった。
 当の壱哉は、ベストアングルからの映像を長時間かけて編集して悦に入っていたと言う―――。

〜次回予告〜
ぶらっくの我が身を犠牲にした活躍で、敵の手から逃れた魔女っ子ふぁいぶ!
だが、復讐に燃える青年医師と西條が最大の敵を送り込んで来た!
さあ、五人揃って反撃だ!新たな力を見せてやれ!
次回『新生!魔女っ子ふぁいぶ!』
見ないと、巨大な隕石が落ちてぞ!

前編に戻る!

第五話へ続く!
(来週をおたのしみに!!)

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はっはっは(乾いた笑い)。なんでこんなに長くなったんだか。もう、読み直すたんびに文章が長くなってましたよ。一応、「深夜一時間スペシャル」の名にふさわしい長さ(長さだけは、ね‥‥)にはなった気がします。
こんなんupしちゃって本当にいいんだろうか(もう遅いって)。男性向けHゲー好きの体質がこんな時に現れてしまうんですねぇ(他人事かい)。
取り敢えず、読み終わって怒らないでいただければな、と‥‥‥(急に低姿勢)。青年医師に二人セットでいたぶられるのは当初新と山口だったんですが、思い直してこの企画の主催者であるあさか様仕様(新と樋口)に書き直してみました。