万世大路 新沢橋周辺 その2




今回は同じ消防団のF班長と同行である。
栗子峠には何度も一緒に出掛けているが、F班長はここは初めてである。
雨で地盤がゆるんでいるため、ロープを持参して、
安全に明治の新沢橋のたもとより降りる。
沢に降りて橋脚を見上げる。
古びてはいるが、凛とした明治の気高さを感じさせるような佇立。
明治14年10月3日、供奉員325名を引き連れ、明治天皇が板輿に乗って通られた橋があった所である。
(翌年2月9日に、この道は明治天皇によって、万世大路と名付けられた。)
山形側に登り、福島側を見ると、石積の擁壁であることが分かる。
山形側、明治の道である。
シダ類が多く、樹木が歩行を邪魔することはない。
振り返って見た、山形側の道。
今回はこのまま引き返すことにする。
今日の狙いは別なところにある。
途中、福島側の道を見る。
山形側は石積されてないが、福島側はこのように補強されている所が多い。
昭和の新沢橋から、沢へ降りる。
いよいよ、本日の目的とする所へ向かう。
明治に20メートルの橋を架け、昭和でも40数メートルの橋を架けた難所である。
ところが現13号線は橋梁ではない。
土盛りして道を築いたのだろうが、沢の水をどう処理しているのか。
暗渠があるに違いない、と考えて、それを探検することにしたのだ。
先を行くF班長の「おおっ、あったぞー。」という声で
沢に気を取られていた目を上げる。
思ったとおり、暗渠が現れる。
コンクリートが苔むしている。
思ったより、スケールが大きい暗渠であった。
どこから取り付くか、しばし考える。
暗渠に流れ込む沢の水。
入り口?で中の様子を伺う。
傾斜はどうか、水量は、水ゴケですべらないか、等々。
ツルって滑って、ウォータースライダーになってしまっては
シャレにもならないし、思わぬ竪穴があるかもしれない。
ライトを点検し、緊張しながら中へ入る。
幅はおよそ1間半くらいか。高さは手を挙げても届かないので、3メーターはあるかと思われる。
土砂が流れ込んだ様子はなく、スムースに歩ける。
途中で左に直角ちかく折れる。
そこからはドーム型でなく、四角のトンネルのようになっている。
こちらは比較的新しい。
先の暗渠に継ぎ足したもののようだ。
途中、直径50CMほどの土管のようなものが2.3本突き出ていて、水を吐き出していた。
さらに右に折れると、まもなく外界に出られる。
小川との合流地点である。
総延長距離は百メートルちょっと、という所だろうか。
外界に出られて、ほっと一息。
13号線の南側は何のためか現在、盛り土の山が築かれている。
そこから此処を見つけるのは難しい。
盛り土の山を登って、13号線を横断し、荷物を置いた新沢橋まで戻るか、それとも、今来た暗渠を戻るか、相談する。
結局、この暗渠を戻ることにする。
この方が楽だからだ。
暗渠に入る時は、多少びびったが、暗いだけで、安全な行程であった。
(ただし、増水時は安全なはずがないのは無論のこ。)


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