個展を終えて


去年も、同じ時期に「小渕陽童とどうこう会展」として装芸画の展覧会を致しましたが、この度は、春光個展として、あえてアトリエ春光庵のお弟子さん( 総勢11名)に出品をお願いし、装芸画展と致しましては、とてもささやかなものとなりました。
大変遅ればせの御礼となりましたが、三月という年度末のお忙しい時期にも関わらず、お忙しい中、御来場頂きました皆様、本当に有り難うございました。
茲に厚く御礼申し上げます。

春光の名にふさわしく、私の一番好きな季節でした。
何といっても冬の厳しい寒さから、ようやく水ぬるみ、まさに柔らかな春光射し込む日々の始まりと 共に幕が開きました。
今年の寒さほど、骨身に沁みた事は無く、毎日のように整形外科に通い、最も嫌いなブロック注射を自ら進んで受けていた程でした。

そのような状態でも何とか個展を開けましたのは、本当に廻りの方々の温かいご支援と、こんな私にお力添えを頂きました安藤家御家流の御宗家、安藤綾信先生をはじめ、御社中の皆々様。
それから、音楽での応援を頂いた、ドイツ在住のヴァイオリニスト阿部真也さんと、初めてご縁を頂きました地歌・生田流筝曲演奏家 奥田雅楽之一さんのお二人。
そして、いつも「匠のつぶやき」でお世話になりっぱなしの野崎先生には18日のお茶席を添え席して頂きました。
本当にこのような力強い応援団があったればこそ、でした。
(と、いうより、いい加減な作品は出せないな、という責任感、いや、まさに切迫感に背中を押されて何とか初日を無事に迎える事が出来ました。)

土、日曜日が、会期中4回ありましたが、その4日間ともお茶席と、お香席を添え席して下さるとの、有難いお話。
合わせて、ロビーコンサートもなんと、一日二回の大サービス。
それもお二人の共演もさることながら、毎回、曲目を変えての、ソロ演奏はまことに楽しい限りでした。
特に奥田雅楽之一さん作曲の「百鬼夜行」と阿部真也さんのバッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番シャコンヌ は圧巻でした。
勿論、毎回演奏されたあの「春の海」は今でも耳に残っているほど、新鮮なコラボレーションでした。
御家流、「若藤会」の皆様の凛々しい紋付袴姿に、ホテルのロビーの雰囲気が一変してしまったようでした。
ギャラリー地階では、別世界のようなみやびな香席が設けられ、初めての方にも分かりやすく御説明して下さり、とても喜ばれました。
そして何よりも驚きましたのは、19日の朝のことでした。
お茶席の床の間に、私の三十六歌仙に合わせて、惜しげもなく、四代家綱公直筆の「柿本人麻呂像」が掛かっていたのです!安藤先生は本当に計り知れない先生です!
そんな訳で、ホテルの広いロビーを存分に生かし、お越し頂きましたお客様が、ゆっくりと楽しんで下さる事が出来ましたのも、ひとえにこうした皆々様の御協力の賜物でした。
この場を借りまして、心より御礼申し上げます。
人は、一人では何も出来ない、という事を、あらためて教えられた上、幸せな 素晴らしい十日間の展覧会の御報告をさせて頂きました。


ロビーコンサート


小大君


柿本人麻呂像


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