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刹 那 に 生 き た 子 ね こ
2003年12月
30日
突然隣の家に現れる!1時間近く誰かを呼ぶように大きな声で鳴いていた。
このままでは近所のねこ嫌いの人間に何をされるかわからないと思い、保護しようと近づいてみた。するととても人間に懐いている。すぐに抱っこさせてくれ、顔を鼻がくっつくまで近づけてくる。
推定4〜5か月の子ねこだ。
舞茸の様なしめじ茸の様なエリンギ茸の様な淡いこげ茶とベージュのきれいなトラ模様!
スージーはこの子に「茸吉(たけきち)」と名付けた。

当日メールで友人各位に飼い主を募ったが見つからず、5匹の子ねことその母ねこを保護していた隣の家でひとまず引取っていただけることになった。
(茸吉はこのお宅に上がり込み既にごはんをいただいていたので)
きのこ色だから茸吉!
2004年1月
5匹の子ねこ兄弟の仲間にはなれないのか、独りぼっちでいることが多い茸吉くん。
でも茸吉は隣の奥さんに「しまちゃん」と名付けてもらい、お腹いっぱいごはんを食べ、温かいお布団も確保されていた。
それでもスージーは茸吉のことが気になってたまらず、隣のお庭を毎日覗いていたのだ。

人の姿が目に入ると、すっとんで行き、ねこ嫌いなおばちゃんに小石を投げられても、それをエサだと思ってか、まったく避けない茸吉くん。
人間を疑うことを知らない・・・。誰かに甘えたくて、愛されたくて懸命なのがよくわかる・・・。
水面下でスージーは茸吉を引き取りたいとスージーファミリーに交渉していた。
人間大好き甘えん坊
2004年2月
1日
またこっそり茸吉の様子を観察していると、なんだか様子がおかしい。
懐くとつらいので近づかないようにしていたが、この時ばかりはすぐ外に出て茸吉に近づいてみた。すると長い尻尾が真ん中からダラリと垂れ、ちぎれかかっているではないか!
即、捕獲し、土曜日で休日だったスージーは動物病院に直行した。
骨の部分は完全に切断されており、断面は既に腐り始めていた・・・。
残念ながら、皮一枚で繋がっていた尻尾は切断するしか方法がなかった。
(人間による虐待か、事故かは不明。茸吉はとびきり人懐こいので、前者の疑いが濃厚・・・)
隣の家の飼いねこだということを前置き説明したため、獣医さんは手術されることをためらわれた。
しかし「飼い主さんには私がきちんと説明し、責任を持ちますっ!」と説得し、治療を開始していただいた。
夜、麻酔から覚めた茸吉を動物病院に迎えに行き、隣の家のご夫婦に無断で手術をした旨を詫びた。(逆に病院に連れて行かなくて悪かったと謝られた。)
週末の度、スージーは隣の家に茸吉の様子を見に行った。
隣のおじさんは「元気だよー」と教えてくれたのだが、茸吉を確認することはできなかった。

21日
久々にお庭に出てきた茸吉を見つけ、思わず駆け寄った。
な、なんと切断した尻尾の断面が赤く腫れ、ただれ、糸が切れ、出血が止まらない状態なのだ!
隣の家はお留守なので、また勝手に捕獲し、動物病院に連れて行った。
獣医さんは、しばし絶句し、さらに短く切断するか、皮膚を再生する秘薬をつけて傷口を治す方法のどちらかだと言われた。
これ以上短く切るのはあまりにもかわいそうなので、長期の治療になるが、皮膚再生法を選ぶことにした。
この時、スージーは是が非でも茸吉を引き取り面倒を看る!決意した。
しかし、ウチには先住ねこQちゃんがいるので、猫エイズ・猫白血病の検査をしていただいた。
そして(−)判定が出たため茸吉を家に連れ帰った。
スージーは家族を説得し、お願いし、ひれ伏し、「ケガが治るまで」という条件付で、茸吉を我が家に引取ることを認めてもらった。
(それ以前に、隣のお宅からは茸吉をもらってほしい・・・みたいなことは言われていたんだけど・・・)

なんとも長い一日だったがスージーは茸吉を迎えられた喜びでいっぱいだった。
しかし、我が家は大騒動の日々が始まった・・・。


騒動@エリザベスカラー

茸吉は尻尾に秘薬を付け、アルミ箔と包帯でグルグル巻きにしてそれを1週間KEEPしなくてはならない。ザラザラの舌で尻尾をなめたりしないように茸吉の首にはメガホン状のエリザベスカラーが着けられた。(獣医さんには「かわいそうに思えるケド、絶対に外さないでください!」と念を押された)
バランスが取りづらく、視界も悪くなるので、茸吉はあちこちにぶつかりながら歩く。ムチウチ症にならないかと心配した。

騒動Aひどい下痢
我が家に来る前から茸吉は下痢だったらしい。何の治療もしてもらっていなかったので、茸吉はよく食べる割には痩せていた。
尻尾の包帯替えの時、念のため採取した下痢便を持って行き、検便してもらったところ、条虫&カンピロバクターがウヨウヨいるとのことだった(ショック!)。先住ねこQちゃんにも条虫がうつってしまった・・・。だが、条虫は2匹のねこに同時に薬を飲ませることで簡単に駆除できた。(これで下痢が治ると思っていたが、一向に治らず、注射と整腸剤の治療を1か月続け、やっと完治した)

茸吉は我が家に来てすぐにトイレを覚えたとーっても賢い子。なのに下痢便の時はお腹が痛くて苦しいのか、家中を走り回り、つらそうに一鳴きしてからしていた。また、エリザベスカラーを着けているのでトイレの後、おしりをなめることができず、スージーとスージー母はトイレの後にいつも待ち伏せしてティッシュでおしりを拭いていた。
※飼い主さんは病気の動物がいる場合は特にズーノーシス(人獣共通感染症)には気をつけましょう。

騒動Bクサイ!
飼いねこは普通無臭のはずなのだが、茸吉は臭かった。下痢が起因しているのかもしれないが、ともかく家中が臭くなってしまい、スージーとスージー母は毎日グルーミングのできない茸吉を蒸しタオルで拭いた。

騒動CQちゃんダウン

当初からQちゃんは茸吉と相性が悪かった。Qちゃんは単独で、なおかつお姫様状態で暮らしていたので茸吉が来た事により、かなりストレスを感じていたと思う。

新しいねこを迎える場合は、先住ねこを優先させ、慣れるまで部屋を別々にするということは常識だが、茸吉を急遽引き取ることになったことや、ケガと病気をかかえたねこだったため、家族の目が常に行き届く居間に居させざるを得なかった。結果的にQちゃんの居場所は減ることになってしまった。
従順でかわいかったQちゃんは日に日に凶暴化していき、すぐにスージーの手を咬んだり、ひっかいたりするようになった。
茸吉が来てからトイレを3ヶ所に増設したが、すべて茸吉が使ってしまうため、Qちゃんはイヤになって家のトイレを使わなくなってしまった。(外でしていた)スージーはQちゃんの暴力?に耐え、謝り続けた。

茸吉と同居して2週間後、Qちゃんのお尻の穴から虫が這い出てきた。スージーは恐れおののき、すぐにQちゃんと茸吉を病院に連れて行った。この時ウチにはねこ用キャリングケースが1つしかなかったので、おとなしい茸吉をハーネスで繋ぎ、凶暴化したQちゃんをケースにいれることにした。が、いつもなら簡単に捕獲できるQちゃんは性格が荒れていたため大暴れし、結局座布団袋に入れ、無理やり連れて行くことになった。2匹には条虫駆除の飲み薬とフロントラインの手当てをしてもった。これはよかったのだが、Qちゃんには病院へ連れて行ったことが更なるストレスとなったようで、この日からまる3日間、食べては吐きをくり返し、ダウンしてしまった。獣医さんにもお電話で相談に乗っていただき、非常に心配したが、何故だか突然回復してくれたので、ひとまず安心した。
皮膚再生治療1ケ月後の患部(当初、尻尾の先に皮が何も無かった!)
皮膚再生治療2ケ月後の患部(少し毛が生えてきたがまだ楽観できず)
スージー家初日の茸吉。ちょっと疲れたね・・・。
エリザベスカラーを我慢
した茸吉くん、。エライ!
Qちゃんと茸吉くん
仲良く寄り添って眠ることもあったね。でもQちゃんには母性本能は無い!
この頃の体重:Qちゃん3.8キロ、茸吉3.6キロでほぼ同じ大きさだよ。
Qちゃん、やまお、茸吉
全員集合!
2004年3月
尻尾の治療期間は当初1か月間の予定だったが、皮膚がまだ傷口すべてを覆っていないため治療は続けられた。

3月中旬、秘薬治療が終了し、あとは皮膚を乾燥させ、傷口に毛が生えてくるようになれば全快と説明を受けた。獣医さんも嬉しそう!

21日 初めて固形の「う○こ」が出た!!!やった〜!茸吉、よーく頑張った!
ウチに来て1か月、茸吉もスージーファミリーも下痢便と戦い続けた甲斐があったよ〜。

この頃よりスージーが家に居る間、エリザベスカラーを外し、グルーミングや追いかけっこができるようにし、体力面でのリハビリを始めた。
祝!初固形う○こ記念
感動のあまり写真
を撮ってしまった・・・。
2004年4月
9日 茸吉家出!
エリザベスカラーはまだ着けていたのだが、昼間、Qちゃんの後を追って外に出ることを覚えてしまっていた。茸吉は初めての発情が訪れてしまい、我を失って帰って来なくなっしまった。
3日後、やっと発見し、プチ家出は終わったが、スージーは寝食忘れて捜し回ったぞ。

発見後、すぐに去勢手術の予約を入れ、その週末手術日を迎えたが、また下痢症状を発症し、手術は延期することになってしまった。 (茸吉の去勢手術へ
お昼寝中
2004年5月
ついに去勢手術へ。この日のためにケージを購入した。
朝、食いしん坊の茸吉にごはんを我慢させなければならないからだ。
ところが茸吉はケージを力ずくで押し開け、脱出してしまう。
こうなったら病院に連れて行ける時間まで放っておくしかなく、茸吉も暴れ疲れて寝てしまった。
手術では思いがけなく「潜在陰睾」という先天性異常が見つかったが、摘出により病気の予防もできたのでよかった。

去勢手術後の回復が滅茶苦茶早い!
尻尾のケガも長く首に巻きつけていたエリザベスカラーを外せるまでに回復した。
茸吉は月齢的に遊び盛りで、さかんに遊びをせがみ、まるで♪「疲れを知らない子どものよう」だった。
ひもの追いかけっことネズミのおもちゃが大好き!
ひも目がけて1メートル以上ジャンプできるようになったし、ネズミのおもちゃを投げると犬のように銜えて持って帰って来る。
それを夢中で何回でもやる。朝から晩までやる。
それが可愛くて、可愛くて、茸吉はスージーにとって体の一部のようにかけがえのない存在になっていた。
回覧板を届けにきた隣の奥さん(茸吉を最初に引き取ってくれた人)も、スージーが茸吉と楽しく遊んでいるのを見て、「よかった〜」と安堵されていた。最高の5月だった・・・。
5月某日の週末
ここはどこかな?
茸吉は、思いっきり跳び回って遊んだね!エレベータにも乗ったぞー。
2004年6月
6月月初、スージーは体調が悪かった。
2日連続で病院に行き、仕事から帰った後も、茸吉と少ししか遊んであげられなかった。
茸吉は退屈していたのかもしれない。ものすごく外に出たがった。
カーテンにぶら下がったり、障子紙を破ったり、トイレの砂をかき出したりとイタズラばかりしていた。

4日
茸吉は朝、ウチを飛び出したまま帰って来なかった。茸吉は死んでしまった。
やっと健康に、幸せになれたのに・・・。
去勢手術をしたから遠くへ行かない、大丈夫・・・そんな人間本位の思い込みで茸吉の脱出を許してしまった私は愚か者だ。
ごめんね、茸ちゃん、君のHISTORYは終わってしまったよ・・・。本当に、ごめんね。

5日
タウンページで探したペット霊園に茸吉を連れて行った。
そこはお寺併設のペット霊園で、本物のお坊さんがありがたいお経を唱えてくれた。
曹洞宗のお寺なので、お経は聞き覚えのないものだったが、スージーとスージー母は号泣しながら一心に茸吉の冥福を祈った。
そして形見に茸吉のきのこ色の毛を少し切り取り、火葬後、歯の部分をもらった。
残りのお骨は小さな骨壷に入れ、今も自宅の居間に置き、祀られている。

夕方、茸吉を最初に保護してくれた隣の奥さんが、茸吉が好きだったという缶詰を「お供えしてね」と持って来てくれた。
私が責任を持って引き取ったねこなのに、こんなに早く死なせてしまって申し訳ありませんと謝るしかなかった。
でもここに茸吉が生きた記録を作り、このサイトにお立ち寄りいただいた方々に茸吉を知っていただけることで供養にもなり、心の中に生き続けることができるのだと思う。   
茸吉お気に入りのキャットタワーと「ひも」のおもちゃ。つめ研ぎはまだ上手にできなかった。
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