AM変調方式の性能の課題は検波の飽和をいかに防ぐか、というものでした。 単純に考えれば、受信電波の強度を下げれば良いのですから、アンテナと受信器 の間にATTを入れることを思いつきます。ステップATTを挿入して実験を すると、飽和しだす領域ではATTの効果によって正しい方位を示します。しかし、 電波の発振源にさらに近付くと、いくら減衰量の大きなATTを入れても検波の 飽和を防げないことが解りました。
なんと、アンテナを外しても飽和してしまいます。つまり、受信器の中のプリアンプ に直接電波が混入してしまうのです。10Wの出力局に対し、距離にして数km~ 数百m以下でこの状態になります。(この距離は送信局のアンテナ性能や伝搬状況 によって異なります。)プリアンプのゲインを下げれば、、、という考えもありま すが、通常の受信器として使えなくなってしまうのは気に入りません。受信器を改造 することにも抵抗があるでしょう。
良い方法はないかと考えていたところ、アクティブATTという記事(*2)を見つけま した。アクティブATTを簡単に説明すると、局発を持ったミキサーのことです。 つまり、受信周波数を変換してしまい、局発の注入レベルを変えることで減衰量を コントロールするというものです。これを使えば直接混入する強力な電波の周波数 ではなく、アンテナからアクティブATTを通して変換された周波数を受信して 検波の飽和が避けられそうです。
記事の回路を参考に、4MHzの局発回路とダイオード2本による簡単なアクティブ ATTを作り実験すると、ステップATTと組み合わせることで、2Wのハンディ器 送信の発振源に対し、10mぐらいまで近寄って方位を探知できました。10W送信 に換算すると、約22mです。
アクティブATT
(*2:May.1993 S.Yorozu JA1PZD File Name:AATTDESC.DOC)