瀬越先生の著作より(6) 


        囲碁の別名

   坐隠、手談、方円、爛柯、烏鷺の争い、橘中の楽、などがある。

世説に「王忠郎は囲棋を以て坐隠と為し、支道林は囲棋を以て手談となす、とあり、

坐隠、手談共に碁を打つことを意味している。

   明治時代に村瀬秀甫の創立した方円社、日本の碁の歴史を書いた坐隠談叢などが

ある。

   方円は方は四角にして碁盤、円は円くして碁石を意味している。

   手談とは面白い字句である。一局の碁を打って百年の知己を得る、意を偶してい

る。                                                                                                 

 

(塚本   追記)

爛柯(らんか)    爛はただれる、柯は斧ということ。

   私の手元の漢和辞典には次のように書いてあります。

  斧の柄が腐る義。「述異記」に王質という樵夫が山中で、二童子の囲棊するを観

ること暫時であったが、仙家の一日は人界の百年千年にもあたる故、その携帯した

斧の柄はもはや腐れ、郷里に帰れば従来の知人は既に死にはててなく、全く隔世の

感があったとある故事。転じて囲棊の楽しみ。