瀬越先生の著作より(3) 


         上手と下手の対照20ケ条(下) 

11.上手の石は恰も舟を行る(やる)如く、下手の石は繋がれた舟の如し。

12.上手はコウを利用し、下手はコウを怖る。

13.上手は敵の疲るるを待ち、下手は敵のつまずかんことを希う。

14.上手は黒を持ちては治らんことを欲し、白を持ちては乱れんことを欲す。

15.下手は黒を持ちては取らんことを欲し、白を持ちては潰さんことを欲す。

16.上手は黒を持ちては数目の勝ちを理想とし、白を持ちては一目の勝ちに

   満足す。

17.上手は考えて後に石を持ち、下手は石を持ってから考える。

18.上手は投げる時期を選び、下手は最後のトドメを刺されるまで打つ。

19.上手は決して負け惜しみをいわず、下手は負けると愚痴をこぼす。

20.上手は負けても決して腹を立てず、下手は負けると腹を立てる。


野次馬談議

C:これを見ると時代を感じるね。14条はコミのない先番必勝を理想とし

    た時代の話だろうね。。古人の頃はコミが無かったのではないか。

A:17条以下はマナーの気味もありますね。

B:マナーについてはサンサンでも時々問題になったことがある。外国人

    の囲碁愛好者が増えてきている現在、マナーもこの時代とは少しづつ

    変わってきているのではないかな。「囲碁はゲームであるから、ルール

    に違反しないで勝てばいいのだ」 という発想と「囲碁は芸であって、

    その内容についても勝敗と同じ位大切である」という発想、或いは「囲

    碁は棋道という一つの道であって、人間の修練の場である」という発想

    では、マナーに対する考え方が全然違ってくる。それらはその人の囲

    碁観であって、どれが良い悪いというものではではないでしょう。

A:マナーの前に、マナーが拠って立つOSみたいなものがあるから、OS

    が合っていないと良い悪いの議論にならない、という事ですか。

   (郡山市   塚本記)