アトピー性皮膚炎
 赤ちゃん・子どもに
Q 夜中、入浴、汗…かゆみ対策、具体的に知りたい
Q アトピー性皮膚炎 イラストいちばん大切なことは、「かくことをこわがらない」ことです。アトピーはかゆい疾患です。かくのがあたりまえ、と思ってください。かいて傷ができても、やがて「かいても傷のできない皮膚」となり、治っていきます。かゆいときはかくのがいちばんです。

夜中、「こどもがかゆみで眠れない」といったことがあります。子供はかきながらでも結構寝ています。でも「ポリポリ」という音を聞いて、お母さんが眠れません。実は眠れなくて困っているのは、子供ではなくてお母さんなのです。親がこどものかゆみにつきあうと負担がかかってしまいます。

こどもは夜、一人で掻きながら起きていればよいという発想も必要。できれば、お母さんは別の部屋でぐっすり寝るほうがよいでしょう。夜、監視してかかせまいとする姿勢も親と子を疲れさせてしまいます。アトピーのかゆみは長丁場です。のんびりつきあってください。

はじめのうちは、こどもが掻きながら泣いて親を求めてくるかもしれません。けれども、「かいてもだれもかまってくれない」→「自分でかくしかない」→「そのうち眠くなって眠る」、こどもは自分で掻くだけかいて寝ます。アトピーのかゆみは、このようにあつかうと意外にも小さくなっていきます。大騒ぎをして手を出すと、ますますかゆみが大きくなっていくということもあります。

また、かゆみの原因として「汗」がよく悪者にされます。汗をかくときは体温・皮膚温があがり、かゆみが出ます。※1アセチルコリンが出ることによってもかゆみが出ます。

アトピー性皮膚炎 イラストバスケットの試合にたとえてみると、最初に準備体操をしているときはむずむずとかゆくなりますが、試合がはじまって夢中でボールを追っているあいだ(全身から多量の汗が流れ落ちます)はまったくかゆくありません。試合が終わって、勝って泣いたり、負けて泣いたりした後にあと片づけをしはじめると、またごそごそとかゆみがでてきます。

汗は多量に出ても、瞬時にかわきます。洗ってきれいにするという必要はありません。気持ちが悪いときは、水道水で流します。タオルでこすったりしないで下さい。おさえるようにふきます。「皮膚をこすらない」ということがポイントです。汗の成分には保湿作用のある尿素や抗菌作用を有するペプチドも含まれます。汗を避けずに汗は友達と思ってください。

【幼児によくみられる感染を伴い悪化した湿疹】 【育児中のお母さんへ】
幼児によくみられる感染を伴い悪化した湿疹 写真 育児中のお母さんへ
▲抗生剤の投与によって、よくなりました。  

 
日常生活編

衣類
つねに薄着を。薄い綿またはシルク素材で皮膚全体を包みます。外気の影響を受けにくく、汗をよくかわかす素材が最適です。冬に寒いからと、何枚も重ね着をすると皮膚が蒸れて湿疹が悪化します。

 
パジャマ
素材は薄い綿かシルクで、汗をかわかし、湿気がこもらないようにします。肘の内側をよく掻くので、袖口をワイシャツのようなボタンをかけて、めくれないようにするとよいでしょう。シルクパジャマの上から掻かすと皮膚に傷ができません。かゆみだけでは湿疹はできません。じん麻疹はとてもかゆいのですが、※2かいてもアトピーの子供の肌のように皮膚はこわれませんね。アトピーの子の皮膚はかくとこわれます。ですから、爪が直接肌をえぐらないようにすることがポイントです。 シルクのパジャマにお肌はサラサラ

 
ふとん
夜は暑がりますから、軽くて薄いもの。冬でもふとんをけって、手足が冷たくなりながら寝ます。皮膚温度がさがるとかゆみが麻痺して気持ちがよいためです。
冬にパジャマの上にチョッキを着せたり、ぬいぐるみの様な寝袋に入れて寝せるのはもっての他です。
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爪 皮膚の症状をつくるのは爪です
爪きりを使うと、深爪になり痛みがでます。爪が皮膚の傷をつくりますから、爪ヤスリでていねいに毎日ヤスリがけをします。赤ちゃんの爪はやわらかいので、あらいジーンズの生地などを使って、爪をこすって下さい。ヤスリの代用ができます。

 
入浴
皮膚温度があがること、皮膚がぬれたあと急にかわくことから、入浴はかゆみを強くします。かゆみがひどいときは入浴なしで着替えだけします。ぬれたタオルで皮膚をふく(こする)こともかゆみが出ますから、お尻だけふきます。かゆみを感じやすい性質の人には、入浴ナシをおすすめしたいですね。子供は入浴ナシで何ヶ月でも過ごせます。入浴によるかゆみが出ないので、かく傷がへって、こどもはよろこびます。

入浴習慣は日本・韓国・中国の一部にあります。日本のように湿度が高く、皮膚が湿気る国は、入浴をしないほうがアトピーの子には負担が少ないのです。どうしても、「不潔」にとらわれて、皮膚に負担をかけています。

熱があるときに身体の安静のために入浴をしません。骨がおれると固定して動かさず安静を保ちます。同じように皮膚にトラブルがあるときは「皮膚の安静」が大切ですね。
世界中の多くの人々は風呂に入らないのですから(^_^)。

入浴を控えましょう

 
食事とおやつ
油を多量にふくむスナック菓子やインスタント食品はひかえましょう。基本は和食がおすすめです。ケーキよりもおまんじゅう、ジュースよりもお茶、パンよりお米を食べてください。香辛料の多いもの(キムチ、辛いカレー、タバスコ、七味など)も発汗作用があるので避けます。

食事による変化


※1 副交感神経繊維などコリン作動性神経線維の伝達物質。副交感神経によって発汗はおこります。かゆみそのものを起こすヒスタミンとはちがいますが、かゆみの引き金のようなはたらきをします。
※2 アトピー性皮膚炎とじんましんは、病変の部位がちがいます。アトピー性皮膚炎など湿疹は一階の皮膚(角質・表皮・真皮)の病気です。じんましんは地階で、真皮下層の血管がヒスタミンの作用で膨張して水がもれ出ることで皮膚がもりあがり、かゆみを生じます。じんましんがおこっても、一階の皮膚は健常であるためにかいてもこわれません。

 
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