庄市大手町にある「新庄市民プラザ」を拠点に、社会参加できない若者たちの居場所づくりを視野に収めつつ、そうした子どもを抱える親たちの会を定期的に開催している「hotto(ほっと)する会」。代表を務める八鍬美津子さんと、事務局を担当する菖蒲順子さんに話を聞いた。

菖蒲 順子さん(左) 八鍬美津子さん(右)





■はじめに、活動の概要を教えてください。


八鍬 現在は、二ヶ月に一回の頻度で、奇数月に定例会を開いています。日時は、第二金曜日の夜七時から九時まで、場所は、新庄市の施設「市民プラザ」第四研修室です。参加費は一回三〇〇円。現状としては、社会参加できない子どもをもつ親たちが集まる会ですね。この定例会に、団体の発起人である五人のメンバーとそれ以外の一般参加者の人びとが集まって、それぞれの近況を報告したり、支援に関する情報を交換したり、という感じで活動しています。基本的に、来てくれた人から必ず一度はお話ししてもらうようにしています。


■ということは、「当事者の親の会」という位置づけでよろしいですか。


八鍬 現状としてはそうなってしまっていますね。参加しているのは、「親」という立場の人たちです。菖蒲さんのみ支援関係者ということで、ちょっと違った立場から世話役のような関わりをしていただいています。
菖蒲 団体の発足当初の思いとしては、「親の会」を開いて回していくのと同時に、もう片方で、「若者の居場所」みたいなものもつくっていきたいと考えていたんです。社会参加できずに悩んでいる若者たちが、新庄市をはじめ最上管内にもいるということもあるので、そういう人たちが集えるような居場所づくりも別個に進めていかなければならない。でも、そちらのほうは具体的には全然進んでいないというのが現状ですね。


■定例会の参加者は毎回どのくらいですか。


菖蒲 発起メンバー五人と数名の一般参加者なので、多くて一〇人、少なくて六、七人といったところです。ほとんどが四〇代くらいのお母さんたちですね。


■定例会の活動は、具体的にはどういうものですか。


八鍬 最初に触れたとおり、当事者を子どもにもつ親たち、特にお母さんたちが集まって、お互いの近況を話したり情報交換したり、というのを基本に、会を運営してきました。
菖蒲 そこでは、一人ずつが順番に話をしていくのですが、その中に必ず誰か「今日はぜひとも話したい」みたいに、思いの強い人がいるんですよ。なので、ほとんどその人の話だけに終始してしまうときもあります。普通の人間関係では話せない、この「hotto(ほっと)する会」だからこそ話せるような話題のときは尚更そうですね。ここで、自分では抱えきれない悩みを吐き出していく、という感じなのでしょうね。
八鍬 でも、会合を重ねていくと、それぞれが自分のことを一方的に話して終わり、みたいな感じになってきたんですね。そのうち、毎回ただ集まってお喋りするだけでは物足りないと感じるようにもなってきたんです。 そこであるときから、毎回担当者を決めて、各自が何らかのテーマをもってきて話題提供をして、それをもとにみんなで話すという形をとるようになったんです。発起メンバーが五人おりますので、順番にそれぞれが、そのときみんなに伝えたいと思うテーマを準備してきて、それを発表したり紹介したり、レジュメがあればそれをみんなで読み合ったり、そんな形で新しい情報を入れていくようになっていますね。


■具体的には、どんな話題提供がありましたか。


八鍬 先日の例で言うと、ある雑誌に載っていた著名人のインタビュー記事ですね。そこで語られていた内容について、自分が読んだ感想としては「こんな考えかたもあるんだな」と感じたけれど、ではみんなはそれについてどう思うんだろうと興味がわいたので話題としてもってきたということでした。それが今、自分の目に興味深く映ったということは、きっと他のメンバーにとってもそうなる可能性があるということで、みなさんいろいろな話題をもってくるのだと思います。あとは、「相田みつを」の詩をみんなで読んだりもしましたね。資料なしで、自分が今、頭の中で考えていることや思いを話す方もいます。


■特に「不登校・ひきこもり支援」みたいなことに限定した話題提供ではなくて、それぞれが興味をもって他のメンバーに伝えたいと思うことならどんな内容でも構わないということですね。


八鍬 あとは、新庄市教育委員会や庄内地域若者サポートステーションで相談員としてお仕事をされている菖蒲さんが参加してくださっていることもあり、専門的なアドバイスやさまざまな支援情報を提供するということも日常的に行われていますね。